人は皆寂しい、というのが人生の前提。
ひろさちや著『「孤独」のすすめ』(ソフトバンク新書)の読書感想です。
この本について
仏教的な視点から人生、孤独を考える本。
「人生は苦である」という認識のもと、いかに人生を考えるか、ポジティブになれるメッセージはほとんどないですが、暗さの中に明るさを見つけたくなる、そんな内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
道徳とは(P25)
道徳=強者が弱者をいじめるための武器。弱者が強者にとって都合のいいことを破ったとき、道徳を大義名分に、強者が弱者を糾弾する。
人生は難しい(P31)
物事に対する万能な解決策はない。人はいろんなしがらみにとらわれ、どちらかの顔を立てれば、もう一つの顔が潰れる、そんな思うままにならない世界。
日本文化について(P85)
日本文化の根底には、
1・縄文文化の仲間意識
2・弥生文化のライバル意識
この2つの根底がある。
日本人の孤独の背景には、弥生時代にもたらされたライバル意識が根底にある。
孤独と孤独感(P129)
孤独=たんなる状態。孤独感=周囲に誰かがいても、孤独を感じて悩むこと。
世間虚仮唯仏是真(P136)
世の中は嘘偽りの世界。
いろんな馬鹿らしいことがあるけど、世の中の虚仮を真面目に相手せず、適度に受け流して生きていくのがいい。
物事の因縁(P182)
人生は苦で、生きることも苦。
楽しいことの裏には悲しいことがあり、幸せを裏返せば不幸がある。物事はコインの裏表。人生、ハッピーハッピーに暮らしていけるものではない。
感想など
ある意味、身も蓋もないメッセージが満載の本で、道徳の話とか、「まぁそうだよなぁ」でという感じでつい納得してしまった。
孤独はいやせないし、世の中は強者がいて、人生どうにもならないことがいろいろある。
「暗い」話というか、ポジティブバンザイを考える人は頭に血がのぼってしまうような話も多いですが、「確かに現実、そういうところがあるよなぁ」と思うこともしばしば。
世の中、こんなふうに、少し距離を置いて、冷静に見てみるのも、それはそれで大切なのかもしれませんね。