人生の根底には共通的なテーマがある?『神話の力』を読んで

神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

世界に残る様々な神話。それぞれの民族によって、語られる神話は、カタチこそ違えど、根本には共通のテーマがあり、それが私たちの社会を作っている。

神話は私達に何を語りかけ、何を伝えようとしているのか?

神話の奥に潜む深い人間の精神性を追求するのが本書。ジョーゼフ・キャンベルの『神話の力』です。

読書メモ

この本、元はNHK教育テレビで放送された内容だそうですが、東京の八重洲ブックセンターで置かれていたのを手にとって買った本です。

以下、本の気になったところの抜粋です。

・生命とは。

あらゆる苦しみや悩みの隠れた原因は生命の有限性であり、それが人生の最も基礎的な条件なのだ。

もし人生を正しく受け入れようと思うなら、この事実を否定することはできない

P22

・貧困と苦しみ。

唯一の正しい智恵は人類から遠く離れたところ、はるか遠くの大いなる孤独のなかに住んでおり、人は苦しみを通じてのみそこに到達することができる。

貧困と苦しみだけが、他者には隠されているすべてのものを開いて、人の心に見せてくれるのだ。

P22

・英雄の象徴。

英雄は暗い情念を克服することで理不尽な内なる野蛮性を抑制できるという人間の能力の象徴。

P25

・神話の課題=生の残酷さ、冷酷さと知性に折り合いをつけること。

生命の基本は生命そのものを食べているという事実!生命は生き物を食べることによって成り立つ。

P112

・アダムとエヴァについて。

あの物語が「罪」から始まっている理由。男性と女性、それぞれは対立項。善と悪、男と女。このような対立項は人と神の対立を表現している。(P120)

・人間の変わらない発達段階。子供のころに規律と服従の世界で育てられ、他人に依存して生きる。

成年に達すると、そのすべてを変え、他人に依存するのではなく、自己に責任を負い、主体性を持って生きなければならない。

P164

・聖地の役割とは。

人は聖地を創りだすことによって、また、動植物を神話化することによって、その土地を自分のものにします。

P208

・自分の精神のなかから、人のこころを高みにつれていく素晴らしいものを見出すにはどうすればいいか?

とてもいい方法を教えましょう。部屋に座って本を読む。ひたすら読む。しかるべき人たちが書いたまともな本ですよ。

すると知性がその本と同じ高さまで運ばれ、あなたはそのあいだずっと、穏やかな、静かに燃える喜びを感じ続けるでしょう。

P220

・地理の重要性。

文化や宗教が作られるには、地理的要因がある。

P224

・ダンテの『神曲』における、神の愛が地獄の底まで満たしている意味。

人生は苦である。しかし、それを生き続けることを可能にしてくれるのが慈悲なのです。

P244

・なぜ生きる喜びが必要なのか?

無上の喜びを追求したことのない人間。世間的には成功をおさめるかもしれないが、まぁ考えてご覧なさい。

なんという人生でしょう。自分のしたいことを一度もできない人生に、どんな値打ちがあるでしょう?

P256

・これがしたい、という理想の仕事に就く方法。

きみは誰も相手にしてくれない失意の10年に耐えられるかね?それともきみは、最初の一発でベストセラーをものにするつもりかな。

どんなことがあろうと、ほんとうにやりたいことをやり続ける根性があるなら、がんばってやってみたまえ。

P259

・幸せの見つけ方。

もし自分の至福を追求するならば、以前からそこにあって私を待っていた一種の軌道に乗ることができる。

そして、いまの自分の生き方こそ、私のあるべき生き方なのだ、というものです。

P262

・神話とヴィジョンについて。神からのメッセージ、ヴィジョンを求めて旅立つ、という共通性が神話にある。(P273)

・性格についての考察。

生活が性格を引き出す。生きていくうちに、それまで知らなかった自分を次々と発見する。

だから、自分のより低い性質ではなくて、より高い声質を喚起するような状況に身をおけるとすれば、それはいいことです。

P276

・何かに熱を上げることに危険性について。

欲求や熱情や感情に従ってなにかをするときには、精神をしっかりコントロールして、衝動に駆られて破滅する危険を避けるべきです。

P281

・スター・ウォーズのダース・ベイダーについて。

ダース・ベイダーは自分の人間性を発達させてなかった。彼はロボットだった。

自分自身の意志ではなく、押し付けられたシステムに従って生きる官僚だった。これは今日私達みんなが直面している脅威です。

システムが私達を押しつぶして人間性を奪ってしまうのか、それとも私達がシステムを利用して人間の目的に役立てるのか

~中略~

しなくてはならないことは、自分の置かれた時代に人間らしく生きるすべを学ぶことです。

P305~306

・心の声に耳を傾けることの大切さ。

もしある人があるプログラムに固執して、自分自身の心の要求に耳を貸さないとしたら、その人は精神分裂症に陥る危険を犯しているのです。

そういう人は自分を中心から外している。

P312

・自分とは何か?

あなたが自分で欲しがっているもの、あなたが信じようと思うもの、あなたが自分に可能だと思うもの、あなたが愛すると決めたもの、あなたが自分を絶対こういう人間なんだと思うもの、それがあなたの自我です。

P316

・生きる喜びを取り戻すには。

死の恐怖を克服することは、生の喜びを取り戻すことでもあります。

人は、生の反対物ではなく、生のひとつの相として死を受け入れたときのみ、無条件な生の肯定を経験することができる。

成りつつある生は、常に死の殻を脱ぎ捨てつつ、死の直前にある。

P322

・探求の報酬とは。

冒険こそ冒険の報酬です。が、そこには必ず危険が伴う。

よい方向と悪い方向という両方の可能性があるけれども、どれもコントロールできるものではない。

私たちは自分の道を歩んでいるのであって、パパやママの道を歩いているわけではない。

だから私達は、自分の知識を越えた力が支配する領域においては、保護の枠外にあるのです。

P336

・人生とは。

(人生は)苦しみを伴うものです。それを取り除こうとしても無駄です。

この世の中で、だれがいったい、いつ、どこで苦悩を取り除くことに成功したでしょう。

P342

・最高の人生を送るために必要な覚悟。

人が自分の無上の喜びに従ってどんな人生を選ぶにしても、それには、だれから脅されようが、この道から絶対に外れないという覚悟が必要です。

そして、どんなことが起ころうと、この覚悟さえあれば、人生と行動は正当化されます。

P398

・聖杯の象徴は人生。人生とは自分の意志で進むもので、善や悪、光と闇、対立するものの間を進むもの。

あらゆる行為はよい結果と悪い結果の両方を生む。

P411

感想など

本のタイトルだけ見ると、神話的な内容に思えますが、実際は、神話をモチーフにした人生論、自己啓発、結婚や仕事など、語られる内容は多岐に渡ります。

そして、神話にこれら人生の問題に悩んだときの答えとなる普遍性があることが分かります。ジョーゼフ・キャンベル入門におすすめ。

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