人生で気にかけること、気にかけないこと。『考えすぎ人間へ』の読書感想

考えすぎ人間へ―ラクに行動できないあなたのために

ほっと一息休みたい、そんなときはこの本で。

遠藤周作著『考えすぎ人間へ』(青春出版社)の読書感想です。

この本について

狐狸庵先生こと遠藤周作さんの人生ふと立ち止まったときに読みたいエッセイ。

人生論から自己啓発、組織での処世訓など様々なエッセイが収録。肩が凝らない、しかしその意味をじっくり考えてしまう示唆に富んだ話が満載です。

以下、本書の読書メモです。

人生は塞翁が馬(P10)

人生にはいろんなマイナスがある。

しかし、そのマイナスはただのマイナスではなくて、時間の経過や何かの力によって、将来のプラスになっていく。

この意味で、人生のどんな経験にも無駄がない。

なぜ虚礼が必要なのか(P79)

虚礼=人と人との潤滑油となるべきもので、人間が長い間の経験から考えだしたもの。無駄ではあるが、無駄だからこそ礼儀になる。それは必要な無駄。

気に食わないやつ=自分に似ているやつ(P84)

こいつはどうにも気に食わない、しゃくに触る。そんな人は、自分と同じ自己嫌悪感を持っている相手。

いわば同族嫌悪で、自分と同じ共通点を持っている相手。だからこそ、鏡の前で自分の姿を見せられるようなもので、どうにも虫が好かない。

ありのままの姿を見せる(P90)

人前では、自分のいいところ、上手くいったところだけを見せてはいけない。それは嫌味になる。

いいところを見せてもよいが、必ず悪いところも見せる。そうすることで、人間味が出て、「あいつにもダメなところがあるのか」と周囲を安心させることができる。

それによって、人の自尊心を満たせるし、嫉妬されて面倒になることもない。

自分のいいところを3つ見せたら、自分の悪いところ、ダメなところも3つ見せる。そのくらいがちょうどいい。

あえて一番手を目指さない(P91)

人生は長距離レース。若いうちから一番手を目指して頑張ると、最後には息切れしてしまう。

若いうちに目立ち過ぎると、それが人の嫉妬を買ってしまい、知らず知らずのうちに敵を作ってしまう。仲間もできにくいので、いざというとき、人の助けが受けにくい。

なので、若い頃にすべきなのは、頭角を表して「こいつはできるな」と思われる人間を目指すのではなく、上から三番手くらいをキープしつつ、周囲に仲間を作ること。

若いころに自分の仲間を作っておくことで、彼らが将来のマイ派閥となってくれる。それが、三番手から一番手になるときの助けになってくれる。

お金を使うこと(P108)

お金の使い方=その人の品性、イメージを決定する。お金は稼ぐだけではだめ。生き金にするか死に金にするか、使い方を学ぶ必要がある。

最後には生理的なもので決まる(P143)

人にはそれぞれ、生まれ持った生理的な感覚がある。それに合わない考え方、人とは、どうしても相容れない。

若いときは、その生理的なものは潜在していて表には出てこないけど、年を取ったら、それが自然と出てくる。そして、生理的に持っているものが、その人の観念、思想となる。

そのため、生理と観念を調和させていくことが、良い生き方、自分らしい生き方となる。

自分の生理的な感覚を無理に抑えつけて、頭で考えていると、生き方においても、間違いを起こしやすい。

感想など

柔らかで飄々とした語り口で、読んでいると本が傍線だらけ、「これはどんな意味があるんだろう」とじっくり考えて読んだ本。

遠藤周作さんのエッセイは本当に魅力的な言葉がたくさんあって、肩が凝らないのだけれど、心にジワジワ響くというか、読んでいて「ホッ」とするような感じがします。

この本もそうで、人生論や処世訓、お金、いろんな話が出てきますが、自己啓発的な気合が入ったものではなく、ゆるーくまったり。

読んでいると、「人生楽しもうよ、お兄さん」的な感じがしていいです。ともかく、文章がクセになるというか、著者と会話をしているかのような感じがします。

毎日頑張っていて、ふと立ち止まって、「どこに行こうとしているのか、どこに行きたいのか」と考えたときは、遠藤周作さんのエッセイ。

折りに触れて読み返したい。そのたびに新しい発見がありそうです。

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