理屈として精神分析は面白い。『精神分析的人格理論の基礎』を読む

精神分析的人格理論の基礎―心理療法を始める前に

人の心を解き明かす精神分析の考え方。

馬場禮子著『精神分析的人格理論の基礎』(岩崎学術出版社)の読書感想です。

内容について

フロイトやなど、いわゆる精神分析の基本的な考え方が勉強できる本です。

精神分析の歴史と定義をはじめ、

・フロイトが提示した「自我・エス・超自我」の基本的な構造論

・人間の精神的メカニズム

・心の病気や退行症状

など、この本で精神分析の基本的な内容を知ることができます。

例)

・自我の諸機能

・心の病理と退行

・フロイトの自我理論やマーラーの分離理論、スターンの発達理論

専門的な内容が含まれますので、きちんと理解しようとするとかなり時間がかかりますが、文章自体は読みやすいです。

精神分析・心理療法の入門書として最適な一冊です。

最近ありがちな、「コップをみてあと半分しか残っていないと思う人→ネガティブな人」系の内容の商業心理学本よりも、本格的な心理学の理論が学べます。

以下気になった内容の要約です。

フロイトと自由連想法(P2)

フロイトはもともと、催眠療法を用いていた。

しかし、催眠療法の効果は一時的で、患者の症状が良くなっても、すぐにもとに戻ってしまう。

そこで、患者を催眠状態にせず、話をしてもらおうと、自由連想法を取り入れるようになった。

意識のバランスについて(P23)

「こうあるべき」という秩序意識を持つことは必要だが、自意識に偏りがあってはいけない。

意識が厳しくなりすぎると、行動が萎縮してしまい、思うように動けなくなってしまう。

「こうあるべき」という意識が強すぎると、人にもそれを求めるあまり、人間関係のバランスが欠けてしまう。

逆に意識がなさすぎると、好き勝手な行動で人や社会に迷惑をかける人間になってしまう。

厳しさに優しさ、ほどほどのバランスが必要。

外と内のバランス感覚(P31)

通常は、人は自分の内側で起こっていること、外の世界で起こっていることの区別がきちんとできる機能が働いている。

現実と空想の区別がつかない人は、この機能が働いていない。現実検討機能が働いていない。

エネルギーを有効に使う(P70)

子どもは思春期の頃から、欲動エネルギーが強くなってくる。このエネルギーを、無意味に発散させず、有効な活動に向けさせることが重要。

知識を覚えるエネルギーに向けさせたり、運動に向かせたりする。

ポイントは、欲動エネルギーを代理満足させること。

幼児のトイレットトレーニングの意義(P123)

排泄のコントロールはセルフトレーニングの1つ。

自分の器官をコントロールすることで、自分の内面もコントロールできるようになる。それは、他者との関係をコントロールするための力になる。

感想など

一週間かけてゆっくり読了。

もともとは、精神科医やカウンセラーなど、心理療法家の方が読む本らしいですが、個人的には、人間の心の機能を理解しようとする精神分析の考え方はとても面白いと思いました。

一人一人性格の違う人間を、こうかもしれないああかもしれないと、いろんな方向から理解しようとしていく試み。それが心理分析です。

精神分析の理論が正しいか正しくないかは別として、心理療法家の提示する考え方は独特で、「こんな解釈の仕方があるのか」と驚くことばかりです。

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