人の一生は短いが、その短いときを無駄に過ごせば。『シェイクスピアいろいろ』の読書感想

シェイクスピアいろいろ

初心者のためのシェイクスピア背景知識入門。

青山誠子著『シェイクスピアいろいろ』(開文社出版)の読書感想です。

この本について

シェイクスピア劇の基本&背景知識を分かりやすく理解できるシェイクスピア入門本。

・シェイクスピア劇が生まれた時代(P2)

ルネサンスの気運がイングランドへ到来、最盛期を迎えた時期にシェイクスピアの劇は生まれた。

ルネサンスによって人間観、世界観が大きく変化し、中世キリスト教文化の伝統とそれに反対する両極の価値に揺れたこの時代、シェイクスピア劇も、揺れる価値観の変化を描いている。

新旧、対象的な価値観のうねり、対立を背景にシェイクスピア劇を理解すると、劇中の登場人物たちをより深く理解できる。

・なぜロミオとジュリエットは不倶戴天の敵同士の生まれなのか(P59)

モンタギューとキャピュレット、ロミオとジュリエットの家は互いに不倶戴天の敵同士の間柄。

「星回りが悪く敵同士の家に生まれた少年と少女が恋に落ちる不幸な運命」というのが「ロミオとジュリエット」の設定。

シェイクスピアの時代、人は運命や神に対して、無力な存在であり、運命を受け入れるしかない受け身の存在であった。

しかし、ルネサンス以降、人間中心の新しい思想が生まれ、シェイクスピアはジュリエットを通じて、新しい女性像(親の強制する結婚に反対する意志を持った女性)を描いている。

など、シェイクスピアが生きた時代背景を始め、時代感が劇にどのように取り入れられているのか、それぞれの作品ごと、分かりやすい解説で楽しめる内容になっています。

感想など

時代背景、劇の登場人物像、シェイクスピアが描いた人間観など、興味ワクワクで楽しめた本。

後半部分は、やや劇中の女性に焦点を当てた内容が多いですが、当時の女性観、結婚観など「へぇ」を連発してしまう話が満載。

シェイクスピアはつい暗記してドヤ顔で使いたい名言がたくさん多いですが、この本を読むと、シェイクスピア劇が生まれた時代が、大きな時代の変わり目、人々の価値観が変わっていく変化の時代であったことが分かります。

そんな時代だからこそ、人々の現実的でダイナミックな姿が、いつの時代でも普遍性を持つリアルな劇、言葉として、伝わってくるのかもしれません。

「人間洞察の教養としてシェイクスピアを勉強したい!」というとき、この本がその入門知識を与えてくれると思います。

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