魅力的なあの人の裏の顔とは?『サイコパス』の読書感想

サイコパス (文春新書)

「愛想が良くて感じがいい」あの人を信頼してはいけない理由がこちら。

中野信子著『サイコパス』(文春新書)の読書感想です。

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この本について

美人脳科学者、中野信子さんがサイコパスについて分かりやすく説明している本。

魅力的だけど自己中で残酷。あなたの身近にそんな人がいたら、もしかしたらその人はサイコパスかも。その特徴と対策をこの本で詳しく。

以下、本書の読書メモです。

はじめに(P4)

サイコパスとは、連続殺人犯など、反社会的な人格を説明するために開発された概念。

近年の研究により、サイコパスは他者に対する共感性や痛みに関する認識部分が一般人とは大きく違うのが特徴。

サイコパスの見抜き方(P7)

サイコパスを判断するためには、まず彼らの特徴を知ること。典型的なサイコパスの特徴はこちら。

・外見や語りが魅力的。ナルシスティック。

・恐怖や不安、緊張を感じにくい。どんなときでも堂々としている。

・多くの人がためらうことを平然とする。

・お世辞がうまい。周囲に取り巻きがいる。

・常習的にうそをつく。話を盛り、自分の主張をコロコロ変える。

・口と態度はでかいが、物事を最後までやり遂げる力がない。

・付き合う人によって態度を変える。

・人当たりは良いが、他者への共感性が低い。

尊大で、自己愛と欺瞞的な対人関係を築き、他者への共感が根本的に欠如していて、行動は衝動的で反社会的。

そんな人はサイコパスである可能性が高い。

サイコパスは人の感情に共感できない(P48)

悲しい、不安。サイコパスは人の表情からその人の感情を読み取る力は一般人より優れている。

ところが、その感情に共感することができない。つまり、「共感できない」けれど「理解はできる」のがサイコパスの特徴。

反社会的な行動の要因(P62)

サイコパスが反社会的行動を起こす4つの要因。

1・欠如仮説

恐怖や不安といった感情が欠如しているがゆえ、サイコパスには歯止めが利かず、行動を起こしてしまう。

2・注意欠陥仮説

サイコパスには注意の向け方、情報処理の仕方に独特の方法があるという考え方。

サイコパスは関心があることだけに意識が向かう(集中力が高すぎる)ので、それとは関係がないことに注意が離れてしまうという考え方。

3・性急な生活史戦略仮説

サイコパスが環境に適応しようとした結果、そうなったという考え方。彼らが生存し、子孫を残していくため、環境に適応しようとした結果が彼らの性質になった。

例)

女を騙し、複数の女に手を出しまくってガン逃げする男はたくさんの女を妊娠させられる→自身の遺伝子をばらまき、子孫繁栄が期待できる。

行動そのものは反社会的だが、生存戦略としては優れている。)

4・共感性の欠如仮説

サイコパスは脳のなかの扁桃体という部分の機能に欠陥があり、扁桃体と眼窩前頭皮質の結びつきが弱いため、反社会的な行動に出てしまうという考え方。

扁桃体について(P76)

脳には扁桃体という部分があり、そこは考える前に本能的に反応してしまう脳の部分。

扁桃体を切り取ってしまうと、人は唸り声や悲鳴など、否定的なサインが理解できなくなってしまう。

サイコパスは扁桃体の働きが弱いがゆえに、恐怖や不安など、動物が本来持っているはずの基本的な情動が弱い可能性が高い。

勝ち組サイコパス(P112)

サイコパスは反社会的で厄介な人物には間違いないが、時代がサイコパスを必要とすることもある。

例えば、歴史上の勝ち組サイコパスとして有名なのは、織田信長が挙げられる。サイコパス特有の合理性によって、旧態依然とした状況を打破し、新しい時代を作った。

フリーライダーとサンクション(P163)

人類は、一人一人の存在が弱いがゆえ、みなで協力し、繁栄していくという生存戦略を選び、進化してきた。

生き残っていくために自然環境の変化に適応し、みなと協力して効率的に食料を集め、親子で愛着を形成し、仲間を大切にし、集団を維持し、生存してきた。

みなそれぞれが犠牲を出し合い、そして強調して生きていく。これが人類の適応戦略で、それがゆえに、集団のルールを守ること、みなと強調することが必要とされた。

ところが集団のなかには、ルールを軽視し、守らないフリーライダーという存在が現れる。

フリーライダーは自らは犠牲を払わないのに、自分だけ利益を得ようとする。そして集団にパラサイトする。

通常、フリーライダーは同じ集団の仲間からバッシングされ、行動を改めるか、集団から去るか、選択を迫られる。

つまり、集団の規律、公明性を維持するためにはサンクション(制裁)が絶対に必要であり、こうして人類は、集団で発展してきた。

集団の秩序を乱す人、他の人とは違う行動をする人を攻撃するというのは、人類にとって正しい行動であった。

「このルールを守らない人を制裁する」という脳の習慣は今でも残っており、集団の秩序やルールを守らない人を攻撃したくなるのは、脳が反応しているから。

感想など

専門的ながら分かりやすくスッキリ理解して読めた本。

サイコパスというとウソをついて人を騙し、トラブルを撒き散らすようなイメージしかありませんでしたが、この本を読んで納得。

なぜサイコパスがそのような行動をするのか、脳という視点で分かりやすく説明されており、サイコパスとは何なのか、特徴や実態が理解できました。

まぁ、世の中にはいろんな人がいます。

信頼して何もかも語り合える人がいる一方、大切なことを何一つ話してはいけないような人、ありきたりな話しかしない方がいい人もいます。

人付き合いへの理解を深めるための知識として、「世の中にはこういうタイプの人もいるんだなぁ」ということを知っておくことは、長い人生、どこかで役に立ちます。

タイトルに「ピン!」と来たあなたなら、読んで損はないと思います。

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