人の行動に合理性なし。『予想通りに不合理』を読む

予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

人の行動について、心理学や経済学など、様々な視点で研究。それを実用レベルで理解できる学問が行動経済学。

人はなぜその行動をするのか。なぜそれを買って買わないのか。その面白さが実感できる本がこちら。

ダン・アリエリー (著)『予想通りに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(早川書房)です。

この本について

本書は行動経済学について、日常の事例をもとに、分かりやすく解説。

この本を読めば、私たちの行動は決して合理的な選択の結果にあらず。むしろ、その行動は非合理で、ときには理解ができないような「不適切」な行動をしてしまうことも。

ではなぜそうなってしまうのか。その答えは本書がずばり、教えてくれます。

以下、本書の読書メモです。

決断の基準(P28)

人は何かを決断するとき、ある一定の基準によって決断しているように考えがちだが、実際はそんなことはない。

絶対的な基準によって物事を決めるよりもむしろ、そのときどき、相対的な優劣によって決断している。

この意味で、誰かを決断させたいなら、露骨に良いもの悪いもの、比較対象となるものを用意して決断を勧めるのが良い。

選択には比較対象を用意する(P44)

人は1つだけでは物事の良し悪しを判断できない。したがって、決断もできない。

だからこそ、売りたいものがあるなら必ず、それと比較するためのアイテムを用意しておく。これによって人は比較でき、納得して商品を購入できる。

大切なのは周囲と比較した結果(P48)

年収1000万稼ぐ人でも、その周囲の人の収入が年収2000万3000万なら、ちっとも幸せを感じられない。

逆に、自分の年収300万400万でも、周囲の人の年収が100万200万なら、幸福感を感じることができる。

つまり、人は結局、周囲との比較によって自分の状況を判断している。

だからこそコミュニティ選びは非常に重要。

上位の下ランクよりも、中位の上ランクに所属するほうが、自分に自信が持てるし、幸せを感じられる。

限定の効果(P59)

人はかんたんに手に入るものを価値がないとみなし、手に入りにくいものを価値があるものと考え、有難がり、大金を払う。

つまり、人に高いものを買わせたければ、それがいかに入手困難なものなのかを認知させ、「限定であること」をPRすればいい。

値段の話はしない(P132)

デートやプレゼントなど、誰かにお金を使って好感を引き出したいなら、決してレストランの値段とか、プレゼントでいくらのものを買ったとか、そういう具体的な話はNG。

値段の話をしてしまえば、その人間関係は市場規範に組み込まれ、特別な関係になりにくくなってしまうから。

誰かと特別な関係を結びたければ極力、お金の関係は排除した方がいい。

性欲の影響(P188)

人は結局、本能のちからには勝てない。

性欲によって頭が支配されているときには合理的で冷静な判断はできず、のちのち後悔してしまう行動をしがち。

だからこそ、性的に興奮しているときは決断や選択はNG。頭が冷静になってすればいい。

手に入るものより失うもの(P250)

人はメリットよりもデメリットに強く反応する。

このため、広告のコピー等で人の関心を得るためには、プラスの訴求よりもマイナスの訴求の方が反応が見込める。

例)

・この商品を買えば○○がお得→この商品を買わなければ○○で損します

感想など

非常に秀逸なタイトルで、ついつい「何の本なのか?」と思って手にとったら行動経済学の本。

内容が気になって仕方なくて買って読んでしまいましたが、専門的な話にも関わらず、非常に平易で分かりやすい文章。

グイグイと興味を引かれ、あっという間に読了してしまいました。

いろいろ書かれていることはありましたが、本質的に理解できたことはシンプル。

人の行動は、必ずしも正しい思考に基づいて決定されるものではない。場合によっては、非合理的なおかしなことさえしてしまう。

その事実でした。

だから、ビジネスの現場にいる人。広告宣伝に関わる人。彼らが「行動経済学がおすすめだぞ」と言っている理由が、自分も納得できた次第です。

行動経済学については、『経済は感情で動く』など名著がたくさんありますが、本書は行動経済学の先駆的な本とのこと。

いわばこの分野の古典であり、内容も今現在も変わっていない普遍性があります。

ということで、行動経済学について興味をお持ちの方は、この本が導入として、グイグイ興味を引っ張られていきます。

読後はきっと、自分の日常の非合理な行動についても、多少の理解が深まること。この意味で本書は非常に実用的な本です。

行動経済学にピンと来た方は、一読をおすすめします。

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