人はいとも簡単に心を操られる?岡田尊司著『マインド・コントロール』を読んで

マインド・コントロール

人は誰でも簡単に洗脳されてしまう?

洗脳の仕組みが分析されている本、岡田尊司さんの本『マインド・コントロール』の読書感想です。

人がいかに簡単に心を繰られてしまう可能性があるか、マインド・コントロールされる状況がどのようなものか、分かりやすく分析されている本です。

以下、気になった内容と考察です。

マインド・コントロールの二面性(P2)

・他人を操作するネガティブな側面

・自分の心理状態をコントロールすることで期待できるポジティブな側面

→マインド・コントロールは使い方1つで人を生かすこともできるし、殺すこともできる、ある意味非常に恐ろしい技術。

テロリストになるようマインド・コントロールされた人の特徴(P14)

・理想主義者で純粋な人。純粋がゆえ、黒か白、善か悪かなど、二分法的な思考パターンに陥りやすい。

・社会に適応しているように見えて、実際は生きることに苦痛や困難を感じ、社会に対して強い不信感を抱いている人。

→純粋であるがゆえ、視野が狭く、思いつめてしまう、理想主義的な人が悪い人にコントロールされてしまいやすい。

普通の青年がテロリストに洗脳されるまで(P15)

・まず、外部から遮断された環境に置かれる。

・次に、小さな集団に所属させ、そこで時間を過ごさせる。ここで、外部からの情報は与えず、小集団内のルールや価値観を、教えこまさせる。自分の周りにいる人の価値観や思想が、意思決定に大きく影響を与える。

→テロリストというと、「凶悪で一部の偏った思想を持つ人がなるもの」と思いがちだが、人は誰でも、マインド・コントロールによって「凶悪なテロリスト」になりうる。仕組みが整った環境に置かれれば、誰でも「思想洗脳」される可能性がある。

この洗脳の仕組みは、学校や会社など、「日常的」に過ごす場所と似た特徴がある。学校や会社も、ある一定の人が過ごす小集団の1つ。

学校や会社などの組織に属する場合、その組織の価値観や考え方を、知らず知らずのうち、「自分のモノ」として認識してしまう。注意しないと「洗脳」されてしまうことも。閉じられた世界、外部から遮断された世界は、人を洗脳へと導く「トンネル」の役割を果たす。

上昇志向を目指す環境の副作用(P18)

難関校を目指す進学塾や進学校に入ること、有名スポーツ選手を目指すためのクラブに入ることは、自分を良い意味で洗脳するための舞台になる。

進学塾は「難関校合格」、スポーツは「一流になる」という特定の目標のもと、そこに向かうためにガムシャラに前進させる力となる。

しかし、当然副作用もある。目標を重視することの副作用として、それ以外の価値観や視野が狭められ、目標が達成されない場合、絶望してしまい、自暴自棄になるリスクもある。

例)

・「◯◯大学合格を目標に、1日15時間、ガムシャラに頑張った、でも不合格。もう人生どうでもいい」

・「テニスで一流選手になるため、クラブに入り日夜練習に励んだ。しかし怪我ですべてダメになった。人生、おしまいだ。」

カルトや独裁者、イジメなどに走る人間の共通点(P48)

・閉鎖的集団内で優位な地位にあること。「生殺与奪」の力があること。

弱者に対する思いやりや倫理観がもともと欠如している

・人をコントロールすることに「快感」を覚えている。

→閉鎖的集団内で、力のあるものが、その権力を乱用せず、集団の安定のために用いれば、その集団ではイジメや争いは起きない。

しかし、力のあるものがダークな人間であれば、その力を用い、イジメや虐殺が起こる。そして、人をコントロールしようとするものは、もともと何らかの問題がある人間であることが多い。

マインド・コントロールされる側の傾向(P60)

・最大の特徴は依存性。主体的に考えず、受動状態になることがマインド・コントロールの基本。だからこそ、受け身な人、依存的な人は、マインド・コントロールされやすい。

・愛着不安を持っている。親が支配的であったり、気まぐれな行動で振り回されて育った人。いわゆるアダルトチルドレン。

→洗脳する人とされる人の関係は、心理学でいうところの「共依存」の問題に近い?

マインド・コントロールのステップ(P193)

・第一に情報を制限する、もしくは過剰にすること。

・脳を疲れさせ、考える力を奪う。

・「救われる道がある」と提示する。

・仲間であることを強調する。

→今の現代人が生きる環境は、誰もがマインド・コントロールされやすい環境。テレビやネット、情報は過剰とも言えるほど増え、忙しく働き、疲れている。特に、ブラック企業と呼ばれる会社に勤務する人は、狭い環境で長時間労働で疲労させられており、洗脳される危険度が高い。

感想など

分厚い本でしたが即読するほど面白かったです。この本を読むと、人がいかに簡単に心を操られるかが分かり、空恐ろしく感じてしまいます。

学校でも職場でも、「マインド・コントロールされる状況」はたくさんあって、「自分が考えることや感じること」は、もしかしたら、自分が本当に考えて感じていることではないのかもしれない、そんな気にさせられます。

名著です。

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