『感情と勘定の経済学』の読書感想 – 「なんでこんなもの買っちゃった?」と後悔する理由

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感情と勘定の経済学

お金は「使う」のではなく「使わされる」?

友野典男著『感情と勘定の経済学』(潮出版社)の読書感想です。

この本について

日常の様々な例をもとに、行動経済学が分かりやすく学べる本。

行動経済学とは

人がどのように選択して行動するのか、その結果はどうなるのかを研究する経済の学問。

この本を読むことで、「だからお金を使っちゃうのね」といろいろ納得。マネーリテラシーがグーンとアップするかも。

以下、本書の読書メモです。

決定のプロセス(P2)

人が物事を判断し、何をするのかを決定する基礎は、感情と勘定。直感などの感覚や、損得、理論や計算、そういうものが混ざって、決定を下している。

「自分だけは何とかなる」という誤解(P47)

人は、自分のことについては楽観視したがる性質がある。

自分は例外であり、自分には当てはまらない、そんな無意識の楽観意識が働き、物事を捉えているところがある。

未来と現実(P51)

人は遠い未来のことは楽観的に考え、近い現実のことには苦痛や面倒を感じる。

目の前のことはあれこれ面倒で大変、だから目先の快楽に飛びつき、自分を甘やかしてしまう。

成功より失敗から学ぶ(P61)

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉があるとおり、勝因に明確な理由や法則性は見出しにくいが、敗因には必ずそれなりの理由がある。

成功にはいろんな要因があり、原因がよく分からないことも多いが、失敗には必ず理由がある。だから失敗からたくさんのことが学べる。

コンコルド効果について(P76)

ムダにしたくないという気持ちが更なる損を引き寄せる。ダメなものが途中で劇的に上手くいく可能性は低い。

例)

・彼女を口説くためにデートして○万円使った。でもなかなか落ちない。○万円お金を使ったのだから、もうちょっと頑張ろう→金づるコースへ

・新規ビジネスを立ち上げ、その事業に○万円投資した。しかし、赤字が続き、継続のために毎月かなりのお金を使っている。上手くいかないまま撤退したくない。このまま頑張ろう→全財産が0円になるコースへ

損失が見えた段階、「これは無理かも」と思った段階で、潔く引く勇気を持つ。それまでの損はどうにもならないが、撤退することで、損失を最小限に抑えることができる。

選択肢を増やし過ぎない(P52)

人は、選択肢が多すぎると、かえって決断ができなくなる。

選択肢がたくさんあると、何を選ぶのかを考える時間がストレスになってしまう。モノを売るのであれば、顧客に選択肢を与え過ぎないこと。

大切な人間関係にはお金を持ち込まない(P111)

家族や地域、学校、そういう場所にお金の関係を持ち込まない。

お金を持ち込んでしまうと、そこに市場原理を持ち込むことになり、それによって、競争意識や比較意識が芽生え、人々の共同意識が崩れてしまう。

仕事では競争意識がプラスになるかもしれないが、共同体のなかでは、人々の共同体意識を乱すものは、取り入れない方がいい。

売れるキーワードは「みんな」(P140)

人は人に影響されやすい。「みんな買っている」という言葉は消費の免罪符になる

今の幸せを見逃さない(P219)

人生には、そのときにしかできないことがある。人生の一瞬一瞬、喜びを先延ばしにしていると、将来後悔することになる。できることは、できるときにやっておく。

高所得で幸せになれない理由(P223)

お金があれば、人より高収入であれば、ある程度は満足できるかもしれないが、あまり幸せにはなれない。

所得は常に人との比較対象になり、身近な人より自分が稼いでいれば、少しは良い気分になるかもしれないが、そうでない場合は良い気持ちになれなくなる。

また、所得が増えれば、生活水準も上がり、満足度も目減りしていく。

お金で手に入れられる満足度は、いつか慣れてしまうもの。ぜいたくしていれば、日常生活も色あせて見えてくる。

幸福度が低くなる原因(P228)

日本の幸福度を下げる4つの要素。

1・拝金主義

→お金万能の考え方・物質主義が幸福度を下げる。

2・ストレス

→お金を稼ごうと一生懸命働くことが、幸福度を下げる。

3・将来不安

→将来安心して暮らせるかどうか、疑問を持ってしまう不安材料がある。

4・お金の使い方

→稼いだお金をどう使うかが、幸福度に影響する。

幸福度を上げるお金の使い方(P240)

お金を使ったときの満足度は、モノを買うより、旅行などの体験、経験にお金を使う方が高い

高級品、ブランド品を買い漁るより、旅行に出かけたり、美味しいものを食べたり、趣味にお金を使う方が、幸せを感じやすくなるかも。

感想など

行動経済学ってこんな学問なんだなと勉強になった本。

「クリティカル・シンキング」「計画の錯誤」「損失回避」など、専門的な話も身近な例で分かりやすく解説されていて、「へぇ~」とうなづいてしまうこと度々。

この本を読むと、人の行動が「感情」と「勘定」、そう一筋縄ではいかないことが分かります。

人の行動って、きちんとしているようで、案外合理性とはほど遠いのかもしれませんね。

本はこちら

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