人生、人は何を残せるのか?『僕らのワンダフルデイズ』を観る

僕らのワンダフルデイズ 通常版 [DVD]

人生、人が残せる生きた証とは。

竹中直人、宅麻伸主演『僕らのワンダフルデイズ』(2009年)の感想です。

あらすじ

食品会社に勤める50代のサラリーマン、藤岡(竹中直人)は病院に入院。そこで、余命半年を医者から告げられる。

絶望のため目の前が真っ暗になった藤岡だが、ある日息子の文化祭に誘われ、藤本は学園祭のバンドに釘付けになる。

藤岡は高校生の頃、バンドでブイブイ活躍した時代があり、人生の最期、自分の音楽を残したいと強く希望する。

そこで、藤岡は、かつてのバンドメンバーだった友人たちに声をかけ、バンドを再結成。おやじバンドとしてコンテンストに出演することになるが・・・。

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感想など

藤岡の病気で高校時代のバンドが再結成、バンドをやるなから、家族の絆や、仲間の絆、人間関係がつながっていく様が心地良い映画。

映画の主人公たちは、高校時代のバンド仲間として活動した藤岡ら4人の男たち。

ボーカルの藤岡は食品会社のサラリーマン、山本はT◯Y◯T◯勤めのエリート会社員。渡辺は個人不動産屋、栗田は酒屋とそれぞれ別々の人生を歩んでいます。

高校卒業後、別々の人生を歩んでいで男たちが、藤岡の病気(実は勘違いと判明します)により再開、おやじバンドを結成、コンテストに出るというのが物語の流れ。

ドラマーだけはアメリカで弁護士をしているとのことで、新メンバーの日暮(金持ちの資産家の息子で嫁は芸能人、「クリスマスキャロルの頃には」で有名なプロの稲垣潤一さんが役者をしています)が参加する形になっています。

以下、ネタばれあります。

死を覚悟した藤岡が、「家族に自分が残せるものを残したい、それは音楽だ!」と知り、昔の仲間に声をかけるのですが、個人的に、この映画は藤岡よりも、宅麻伸さん演じる山本が、真の主人公ではないかと感じました。

TO◯O◯Aに勤務し部長として辣腕を振るう山本ですが、一人息子とは関係がよくなく、実は山本自身、末期のガンに侵されています。そんなとき、「自分は死ぬ」と勘違いした藤岡が、バンドの結成を山本に依頼。

体に不安を抱える山本ですが、それを藤岡に教えることなく、バンドに参加。最後の最後、息子のため、自らの生きた証を残し、息子に愛を伝えようとします。

その姿は漢の中の漢。カッコよさが半端ないです。映画の主人公は、竹中直人さん演じる藤岡ではなく、山岡ではないかと錯覚してしまいます。

思い出を胸に人は老いていく

印象的なのは、映画の一コマ、山本が藤岡に話すこのセリフ。

「昔は金がなかったけど、夢はあった。そのことを思い出したよ。今は少し金できたけど、その分悩みも大きくなった。」

そして、昔好きだったマドンナのことを思い出し、「彼女も年をとって子どもを産んで、今ではおばさんになっているのだろう。」と人生の感慨をつぶやきます。

山本のセリフを聞くと、年を取ることはどういうことなのか、生きていくことはどんなことなのか、短いセリフの中、いろいろ考えさせられるものがあります。

年を取れば、いろんなことができるようになる反面、若い頃に持っていた何かを失います。

情熱、希望、夢、失うものはいろいろありますが、何かを得て何かを失うのが人生。その中でこの世に一体何を残すことができるのか?

30歳を越えた私には、考えさせられるテーマです。

映画はコミカルタッチで描かれているので、シリアスさはあまり感じない演出になっていますが、少しだけ、若き日の藤岡らのように希望と夢を持っていた昔の日々を思い出し、感慨にふけってしまいました。

映画の最後、山岡は藤岡の娘の結婚式に参加、新しい夫婦、新しい命の誕生を予感させるシーンで、式を見ていた山本は、覚悟を決めた安らかな表情で、家族に支えられ、静かに式場を後にします。

こうして映画は終了しますが、

「あなたの人生には終わりがある。栄枯盛衰、良い時は過ぎ去り、人生の終わりは刻一刻と近づいている。ではどうするのか?大切なことは何なのか?どう生きるのか?」

この映画は、そんな問いかけを投げかけてきます。

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