努力が実らないのは必ず理由がある!
鈴木信行著『敗者の錯覚 あなたの努力が実らない40の理由』(日経BP社)の読書感想です。
この本について
経済誌の記者である著者が成功している経営者と失敗している経営者を分析。両者の違いはどこにあるのかを述べている本。
大切なのは考え方。
「成功する人はただの運で成功しているのではなく、成功する考え方をしており、失敗してしまう人は運が悪いのではなく、失敗するための考え方をしている」
というのが本書の主張。
では具体的にその考え方の違いとは何なのか?詳しくは本書をチェック。
以下、本書の読書メモです。
はじめに(P2)
成功者と失敗者を分けるのは決して運だけではない。成功者と失敗者には、考え方の点で大きな違いがある。
大切なのは成功するための考え方をインストールすること。そうすれば、仕事から日常生活、あらゆる面で全てが変わり、最終的には成功できる。
経営者の仕事とは(P14)
経営者の仕事は意思決定。会社としてどの方向へ進んでいくのか。社員にその道を示すこと。
自分なりに考えて答えを出して、そして組織を動かしていく。これこそが経営者の仕事。経営者にしかできない仕事。
気づきの力(P22)
優秀な経営者といえど、完全に未来を予測することなどできない。
しかし、優秀な経営者は今目の前で起きていることから、これから起こるであろうことを推測する力を持っている。
これが無能な経営者と優秀な経営者を分かつ決定的な違いとなる。
つまるところ、未来を予測するには今をしっかり観察できているかどうかで決まる。優秀な経営者はそこが違う。
本当の現場主義(P26)
ビジネスの課題は常に現場にあり。現場をおろそかにしている経営者に安心できる未来はない。
そこで現場を常に自分の目で確認すればいいのか、というとそうかんたんな話ではない。
現場を見るのは当然のこと。大切なのは現場で気づいた問題を今すぐ改善するための行動を起こすことができるかどうか。
気づき→改善してこそ、現場を知る意味がある。
小手先の戦略は無意味(P34)
優秀な経営者は、お客を完全に囲い込むことなど不可能であることを知っている。
そして、常にお客の指示を得るためには、本質的にサービスや商品の満足度を高めることが最善であることを知っている。
そのため、クーポンや割引など、小手先の対策ではなく、サービス及び商品価値を高めるための努力を惜しまない。
それこそが、長期的かつ安定的にお客を引き寄せるカギとなる。
コツコツ努力しても失敗する理由(P50)
「コツコツ頑張ればいつかゴールできる」と信じたいのは山々だが、現実には、コツコツ頑張ってもゴールできないことがたくさんある。
大切なのはただコツコツ努力することではない。本当に結果を出すために全力で努力すること。妥協せず、できることは全てやること。
そこまで完全に努力してこそ、最善の結果を手にすることができる。
「なぜ売れないのか?」を考えるな(P98)
無能な経営者ほど売上が落ちたとき、「なぜ売れないのか?」を考えるが、それは最悪の質問。
大切なのは、「なぜ売れないのか?」ではなく「どうしたら売れるのか?」、売れる理由を探すこと。
100の売れない理由を探そうとするよりも、1つの売れる理由を探す方が、挽回の可能性を見出すことができる。
ヒントは目の前にある!(P122)
事業が行き詰ったとき、多くの経営者はセミナーや勉強会に出かけたり、解決策をどこか別の場所から見つけようとする。
しかし、本当に大切な答えは常に目の前にある。今の目の前の状況をしっかり見ること。そうすればそこから、必要としている答えが見つかる。
できることからやればいい(P135)
できないことをできるようにするにはかなりの困難が伴う。だからできないことをムリに頑張る必要はない。
そのかわり、できることを最後までやる。それを徹底する。そうすればそこからブレイクスルーが起こり、最後にはできないことができるようになる。
感想など
「優秀な経営者、無能な経営者、それぞれの違いはこうですよ」
という切り口で、成功するにはどうすればいいのか、そのヒントが分かりやすく理解できる本。
「成功は運ではなく考え方」という主張がナチュナルで、確かに成功は100%運だけで決まるものではないというのは納得。
成功する必要は考え方→行動が他とは違うし、失敗する人は能力や運以前に考え方がそもそも違うというのも、本書を読めば納得。
「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」
という言葉があるように、結局は失敗するには失敗するなりの理由があるのかもしれません。
そんな感じで、何が上手くいって何が上手くいかないのか、その違いを考える上で、シンプルですが大切なヒントに気づくことができます。
経営者でなくても、一人の仕事人として知っておきたい「失敗学」が満載。この本の話を頭に入れておくと、それがどこかで生きてくるかも。