『ローマから日本が見える』の読書感想 – 歴史から学ぶ、ということはこういうこと

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ローマから日本が見える

21世紀だからこそ振り返りたい、ローマの歴史。

塩野七生著『ローマから日本が見える』(集英社文庫)の読書感想です。

この本について

ローマの歴史を振り返ることによって、学びを得る歴史エッセイ。

ローマの歴史を振り返りつつ、国家盛衰の法則を考察。そこから今に生きる教訓を学べる刺激的な内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

歴史を学ぶ意味(P17)

歴史とは人間の歴史。歴史を学ぶことは、人間を学ぶこと。

人生、自分だけの体験で学べることは限られている。だから、映画を観たり、本を読んだり、人の話を聞いたりして、他人の経験から学ぶことに意味がある。

成長を急がない(P34)

急激な成長は混迷を伴う。成長の陰で、問題、矛盾が吹き出してくる。成長は急がない。ゆっくり成長する。

ローマの同化政策(P60)

ローマ帝国の原点は「敗者を同化させる」という同化政策。

戦った相手、征服した土地の人々をローマに同化させることによって、ローマという共同体を強化、拡大させていった。

弱り目に祟り目(P72)

どんな力強い権力者でも、勢いが衰えれば、その座を奪わんとするものたちの攻撃にさらされる。

調子のいいとき、好調のときは、誰も何も言ってこないが、運の悪いとき、勢いが落ちているときは、ここぞとばかり足を引っ張ってくる人間が現れる。

スキャンダルや悪い噂が流れることは、それイコールその人物の権勢が衰えている証拠。

なぜリーダーが必要なのか(P82)

リーダーのいないみんなが平等な社会=誰も責任を取らない無責任社会。「船頭多くして船山に登る」で、社会の秩序が失われてしまう。

だから、社会にはリーダーが必要。人々をまとめ、進んでいく方向を示すリーダーが必要。

ローマ人の問題解決法(P122)

ローマ人は、問題を明らかにし、問題解決の優先順位をつけるのが上手かった。

問題の原因を明らかにし、その要因を分析。一つ一つの課題に優先順位をつけて解決。最終的には問題を解決し、確実にゴールへ向かう。

ここがローマ人のすごさ。

優れたリーダーがいないときはどうするか(P134)

世の中、常に優れたリーダーが登場するとは限らない。むしろ、優れたリーダーはめったに現れないと考えた方がいい。

そこで大切なのは、常に一人だけのリーダーに頼らないような仕組みを作っておくこと。一人の天才に頼らず、周知を集め、地味でも堅実な道を選ぶ。

力を持たない権力者は滅ぶ(P224)

力を持たない権力は脆い。力がなければ、常に反対者たちの攻撃に脅かされ、最悪命も失う。

権力の行使や自身の理想を実現するためには力が必要。権力と武力はセット、権力者にとって絶対不可欠なもの

改革とは(P249)

真の改革とは破壊ではなく再構築すること。どんな組織も、自分たちの体質に合わないものを外部から取り入れてもダメ。定着しない。

自分たちが持っている要素、特質を知り、どれを生かしてどれを捨てるのかを決めて、再構築していく。

自分たちが持っているもので、今何が上手くいくのか、もしくは何が上手くいかないのか。最大限通用する組み合わせを考えて、最大の効果を狙う。

これこそが改革。

平和の条件(P295)

平和=国の安全を脅かす外敵を排除する+国内の治安が保たれて、国民が安心して暮らせること。外と内、両方が安心であって初めて、平和は成り立つ。

悪法について(P336)

どんな悪法も、最初から国民を不幸にしようと作られたのではない。当初の動機は「立派」なものだった。

作られた当時は良いものだったが、時代が変わるにつれ、マイナス面がどんどん増えて、結果的に悪法になった。

何か決まりごと、システムを作るときは、外部環境の変化と時代に応じて、それ相応、適切なものに修正していく。

感想など

無数の敗北と失敗を乗り越えてきたローマの歴史は今の日本に生きる私たちに無数の教訓やヒントを与えてくれると思うのです。

(P35)

という言葉通り、長編のエッセイなら、1ページ1ページ読み進めていくのがとても楽しかった本。

ローマの歴史というとハンニバルやスキピオ、アウグストゥスやネロ、共和制とか、それくらいの浅い知識しかありませんが、この本はローマの歴史知識がなくても楽しめます。

というのは、ローマの歴史を説明としつつ「こういう出来事、事件があってローマはこんなふうに変わっていたけど、そこからこういう教訓が学べます」という内容になっているからです。

引き出されている教訓も普遍的というか、今の時代でも役立つ、納得できる話が多いです。

歴史は人間の歴史、いつの時代も変わらないものは変わらないもの。

勝者必衰、国家盛衰、歴史を振り返ると、どんな組織も、どんな人物も、それぞれの時代、それぞれの役割を果たしていて、そしてたくさんの成功とたくさんの失敗があった。

歴史を学ぶことによって、そうした先人たちから「こういうことをするとダメ、上手くいかない」ということを学べるのは、とても素晴らしいことだなぁと思います。

歴史から学ぶということは具体的にどういうことなのか、そのことが実感できた刺激的な本でした。

本はこちら

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