これがフリーランスで食っていくための第一歩。
中山マコト著『フリーで働く! と決めたら読む本』(日本経済新聞出版社)の読書感想です。
『フリーで働く! と決めたら読む本』について
雇われずお金を稼いで生きていくフリーランスの生き方入門本。
・フリーランスになる前に知っておきたいこと
・食べていくための仕事の取り組み方
・クライアントとの付き合い方や選別法
など、独立前に知っておきたいフリーランスのノウハウを分かりやすく学ぶことができます。
以下、本書の読書メモです。
フリーランスと会社員(P23)
会社員は組織に依存して生きている。何にしても組織に従い、機嫌を取る必要があるが、組織に守られるというメリットもある。給料も安定している。
一方、フリーランスは、何事も自分で決めてやっていく。スタートは0であり、収入も安定しない。なので、不安定を楽しむくらいの独立心がないと、フリーランスとしてやっていくのは難しい。
フリーランスとして食べていくために必要なもの(P29)
フリーランスとして食べていくために必要なものは専門性。この仕事を頼みたい、仕事をお願いしたい、そう思われるくらいの専門性が必要。
その仕事は他の人では無理、自分しかできない、それくらいの力量と専門性を持つことが、フリーランスとして食べていくための条件になる。
フリーランスのためのリスクヘッジ(P48)
独立にあたり注意したいこと。
1・借金は絶対NG。
→借金をすると毎月固定費用が発生する。フリーランスの収入は不安定なので、毎月の固定費用は最小限に抑える。そのため、毎月の固定費用が増えるものへお金を使うのは避ける。
2・オフィスは持たない。
→オフィスは賃料が発生する。当然、毎月必要なお金も増える。フリーランスは不安定。お金で余計な固定費用を発生させないことが大切。仕事の打ち合わせはこちらから出向くスタイルで。
3・通勤しない。
→通勤せず仕事は自宅で。通勤すると交通費もかかるし、朝という貴重な時間を効果的に使えなくなる。
4・スタッフを雇わない。
→フリーランスの仕事は自分一人でこなす。人を雇うと固定費が発生するので、スタッフは雇わない。自分以外でできない作業は、外注で依頼すればいい。
5・広告宣伝にお金を使わない。
→宣伝は効果不明瞭。効果が分からないものにお金を使わない。
「どう見られたいか」を意識する(P64)
フリーランスとして大切なのは、「何をしたいか」ではなく、「どう見られたいか」。
「どう見られたいか」を意識することで、自分の未来の姿が見え、それに向かって行動できる。自分の在り方をイメージすることで、自分で未来へのレールを敷くことができる。
自由を目指して(P112)
自由=「こうありたい、こうしたい!」という生き方を具現化した状態。フリーランスとして生きることを決めたなら、自由だけは妥協してはいけない。
お客は選ぶ(P115)
フリーランスとして食べていくために大切なのは、お客を選ぶこと。
「この人の仕事を受けたい」or「この人の仕事はしたくない」の区別をつけて、自分の能力を理解し、適切な報酬を支払ってくれる人の仕事のみ引き受ける。
それが、結果的に自分の価値を高める。
自分流ガイドラインを決める(P121)
フリーランスとして仕事をするなら、自分なりのこだわりとルールを持って仕事をする。
この仕事は引き受ける、この仕事はNGにする、こんな人とは関わらない、そんなガイドラインを決め、それを守ることが大切。
フリーランスは自己責任、だからこそ、働き方、仕事術にも自分なりのこだわりとルールを持つことが大切。
価格競争は絶対にNG(P182)
フリーランスで食っていくために大切なのは、自分のスキルを安値にしないこと。安易に値引きしないこと。価格競争に参加しないこと。
一度でも値引きしてしまうと、「こいつは仕事が欲しくてまけてくれる人間だ」とクライアントに認識され、どんどん値引きを要求されるようになる。
そのため、仕事は変わらず、報酬は少ないという最悪の状態になってしまう。フリーランスは自分が資本なので、安い仕事を引受けているとどんどん苦しくなってしまう。
値引きは自殺行為に等しいくらいの危険な行為。値下げを要求されるような仕事は引き受けない。
見積もりは有料でOK(P188)
仕事に関わることは全てお金をもらう。相見積もりや提案見積もりも当然有料で。それが気に入らないクライアントは仕事をお断りする。
見積もりはクライアントの姿勢を判断するための踏み絵。
見積もりにお金を払ってくれるクライントは本気度が高いので、安心して仕事に取り組むことができる。
ただ働きはしない(P193)
フリーランスは時間、知恵、労力、ノウハウ、全てが商品。
それが唯一の売り物であり、それ以外、フリーランスが売るものはない。だからこそ、何にしても、ただで何かをするようなボランティア行為はしない。
フリーランスの価値を理解し、お金を払ってくれるクライアントのみ。お金にケチな相手、「お金がかかるならいいや」という相手は切ってOK。
自分を安売りすべからず。
感想など
フリーランスとしての姿勢、仕事の引き受け方、お金の考え方、総合的な視点でフリーランスの生き方が分かりやすく学べる本。
フリーランスになると、何から何までが文字通り自己責任になります。だからこそ、どんな分野で仕事をするのか、お金はどう使うのか、自分で決めて自分で結果責任を取ることになります。
特に大切なのはお金のこと。
フリーランス(というか自営業全般)は収入が不安定で、この月は70万、この月は25万と、入がバラけることが多々あります(売上ではありません)。
なので、収入を平均化して考えた上で、いかに毎月の固定費用を小さく抑えるかが、フリーランス的生き方には必須。
そのため、本書に書かれている、
「事務所は借りるな!」
「人は雇うな!」
「通勤するな、仕事は家でやれ!」
などの考え方は、本当に大切だと思います。
フリーランスになると、勤めていたときは何もかもがガラリと変わってしまいます。
得るものと失うものがあって、不安に感じてしまうところもありますが、独力で暮らしていく体験は、一度経験するともう元には戻れないくらいの魅力があります。
自由か安定を大切にするのかを天秤にかけてみて、もし「自由」を大切にしたいと思うのであれば、フリーランスは挑戦しがいのある働き方だと思います。
「自分は会社員に向いていない。収入は不安定でいいから、何から何まで自分で決めて、思った通り働きたい。」
という方は、この本の一読をおすすめします。
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