人同士が争うのは生得的な本能なのか?『ヒトの本性』の読書感想

ヒトの本性 なぜ殺し、なぜ助け合うのか (講談社現代新書)

人いるところ争いあり、その理由はこちら。

川合伸幸著『ヒトの本性 なぜ殺し、なぜ助け合うのか』(講談社現代新書)の読書感想です。

この本について

生物学の研究者が人間の「本性」について考える本。

最新の実験やデータから、なぜ人間社会にはいじめや争いがあるのか、その理由を考察していく内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

同族を殺すのは人間だけ?(P3)

人が同種の仲間を殺す、それは人だけ。

例外的に、他の動物も仲間を殺すことがある(例えばサルが他のオスの子どもを殺す子殺しなど)が、基本同族殺しはしない。

自分の子どもまで殺してしまう、そんな動物は人以外ない。

子どもの学習行動(P26)

子どもは周囲の大人の行動を見て、何をしていいのか、してはいけないのか、行動を身につけていく。

兄弟が怒られている場面を見た子どもは、その行動をしないように学習し、怒られないための行動を身につけていく。

暴力が暴力の連鎖を生む(P29)

アメリカの研究によると、3歳まで家庭内暴力を見て育った子どもは、5歳までは問題ないものの、小学校に入ったとたん、問題行動が激増した。

一方、家庭内暴力を見ずに育った子どもは、小学校から徐々に攻撃行動が減少していった。

他人に暴力を振るう様子を見た子どもは、それが赤ちゃんのときであったとしても、暴力行為が脳内に焼き付いており、一定の期間を経て、その行動を真似するようになる

ゲームの功罪(P46)

暴力的なテレビゲームの影響について。

20分間でも暴力的なゲームをすると、他人への援助行動が弱まる。

日常的に暴力的なゲームをしていると、他者への痛みに対する感受性が低下。脳内構造が変化して、暴力への嫌悪感を感じる反応が鈍くなる。

セロトニンの役割(P77)

反社会的で衝動的な行動には、セロトニン不足が影響している。

セロトニンは脳内で抑制的な働きをして、攻撃的な行動にブレーキをかける。恐怖を和らげ、行動を抑制する。

セロトニンの放出量が少ないほど、反社会的・衝動的になる。これは、犯罪者だけでなく、一般人も同じ。

女性の攻撃行動について(P88)

女性の攻撃は男性とは違い、間接的な形で現れる。

特に多い女性の攻撃行動は無視などの仲間はずれ。女性はグループの和の維持を大切にするため、その和が崩れることを恐れる。

そのため、グループに新しい人間が入ってくることに嫉妬し、警戒を強める。女性のグループでは、新参者は特に受け入れられにくい。

互恵性が関係の維持に必要不可欠(P176)

自分が人から何かをしてもらったら、今度は自分がその人に何かをしてあげる。このことを互恵性と言う。

人間関係の維持にはこの互恵性が不可欠で、偏った関係は上手くいかない。お互いが必要し合い、与え合う関係が関係維持に必要

感想など

人が攻撃的になるのは、生物的、進化的、環境的、いろいろ理由がある、そのことが分かる本。

何せよ、生きていく上で一番悩んでしまうのが人間関係で、世の中にはいろんな人がいます。

善意と常識が全く通じない人、常にオレオレオレな人、友人ヅラしたフレネミーな人、現実問題、出会う人全てと仲良くすることは難しいのが人間関係ではないでしょうか。

でも一方で、「なんでこんないい人がこの世の中にいるんだろう?」と思うような人もいて、損得なしに関係が続く良い人間関係もあります。だからこそ、人間関係は不思議で大切、味わい深いもの。

では、利己的で攻撃的な人と、共感的で協力的な人、一緒にいられる人とそうでない人、違いは一体どこにあるのか?何が違いを分けるのか?

そのことを考えると、ますます人間関係は不可思議なもののように思えます。難しいですね。

本の購入はこちら