『日本人のためのピケティ入門』の読書感想 – 格差はなくならない、であるならば

日本人のためのピケティ入門: 60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

格差はこれからも広がっていく。これまでも、これからも。

池田信夫著『日本人のためのピケティ入門: 60分でわかる『21世紀の資本』のポイント』(東洋経済新報社)の読書感想です。

この本について

『21世紀の資本』を理解するためのピケティ入門本。

ピケティの本にはどんなことが書かれているのか、資本主義の格差はどうなるかなど、『21世紀の資本』のポイントをQ&A形式で分かりやすく理解することができます。

以下、本書の読書メモです。

格差はどんどん広がっている(P4)

「格差は一時的な問題でいずれどこかで平等化されていく」と考えられてきた。

しかし、実際には格差はどんどん広がり続け、アメリカでは、上位1%の人々の所得はGDPの20%まで増えている。

日本では、2000年以降、名目賃金が下がり続け、非正社員の比率は労働者の4割に。

一方、企業は儲けを溜め込み、貯蓄超過になっている。余剰資金は労働者に還元されず、経営者の手元現金になっている。

ピケティ本の大雑把な内容(P12)

資本主義では、歴史的に所得分配による格差が拡大する傾向があって、それは今後も続く

所得が拡大しなかった例外的な時期(戦後の平等化した時期)もあるが、ほとんどの時期で、格差は拡大している。

富は行き渡らない(P17)

今までの経済学では、「資本主義の発展する→富が多くの人に行き渡る→所得分配は平等化する」と考えられてきた。

しかし実際には所得格差は一時期の例外をのぞいて拡大し続けており、今後も格差が広がっていく。

日本の所得格差(P24)

日本の所得格差はフランスと同じで、ヨーロッパに似ている。

日本の場合、資本収益が株主や社員に還元されておらず企業の内部留保になっているおり、企業が貯蓄過多となっている。

そのため、格差はアメリカほど広がらないものの、今後の成長も期待できない状態になっている。

日本の格差の本質は「身分」格差(P38)

アメリカの格差は1%と99%の格差。日本の場合は正社員と非正社員の格差。

日本では非正社員が増加、正社員よりも安い賃金で働いている。

非正社員の増加に伴い、平均賃金がダウン、年収300万以下の労働者が40%に増加、年収200万以下の貧困層は24%を超えている。

格差を防ぐには(P69)

生まれが貧しくても能力があれば豊かになれる。教育は社会的流動性が確保すると考えられている。

身分社会のように、貴族はずっと豊か、貧乏人はずっと貧乏という状況にならないため、教育の役割がある。

しかし、現実には、金持ちが有利なのが現状。金持ちの子は金持ちになる可能性が高く、「機会は不平等」であるという現実がある

感想など

ブームに遅れてピケティに挑戦、があまりの分厚さに読むのを断念。

「大まかな内容でいいので分かりやすいピケティ本はないか?」と見つけたのが『日本人のためのピケティ入門』。

ページ数も77ほど、内容がコンパクトにまとめられおり、なぜピケティが話題になるのか、理解できたように感じました。

この本を読んでいて気になったのは教育と格差の話(P69~)。

「教育が格差を防ぐ防波堤になる」と考えられていますが、実際には教育もその役目を果たすことはなく、金持ち有利な状況が続いているのが現状。

エリート大学に通うにも何よりお金。授業料はどんどん上がっているそうです。

日本でも東大の学生の親は年収が高いという話がありますが、結局どこも事情は同じ。「お金と意欲さえあれば」という前提条件で、機会は均等なのかもしれません。

昔(1970くらいまで)は、国立大学なら貧乏な学生でも自分で学費を払えるくらいの授業料だったそうですが、今、大学に行くにも入学金に授業料、お金がないと話になりません。

それに、大学を出たからといって就職できるとも限らない。今は昔とは何もかも状況が違います。

生き抜くために、「昔はこうだった」「こう働いて生きるのが当然」という考え方から自由になって、自分の現状や能力に応じた、最善の方法、快適な場所を見つける必要があるのかもしれません。

本の購入はこちら