『輝く夜』の読書感想 – せっかくのクリスマスだから、こんなことがあってもいい

輝く夜 (講談社文庫)

聖夜に起こる奇蹟が人々の人生を変える。

百田尚樹著『輝く夜』(講談社文庫)の読書感想です。

この本について

クリスマスに起こる奇跡を描いたショートストーリー集。

人生で様々な悩みを抱えた人々が、クリスマスの夜の奇蹟によってその人生を変えていく話が中心で、読むとある種のカタルシスを味わえる小説になっています。

各ストーリーはこんな感じです。

ネタバレがあります。

【魔法の万年筆】

クリスマスの日、34歳の恵子は7年勤めた会社からリストラ。おまけに弟の会社も手形が落ちず倒産のピンチ。

悪いことが重なる恵子が街を歩いていると、そこには「3日間何も食べていません」というプラカードを掲げたホームレスが。

恵子は迷ったものの、ホームレスにハンバーガーと500円をプレゼント。するとホームレスはそのお礼に、「書けば3つだけ願いが叶う」という万年筆をプレゼント。

恵子は「アホらしい」と思いつつ、紙に願いを書くと・・・。

人のことばかり優先して自分の幸せを逃していた恵子が、人のことを思い、最後は幸せになっていく、そのシーンが胸熱。

【猫】

トラ猫のみーちゃんと暮らす独身派遣社員の雅子、27歳。

雅子は派遣社員としてベンチャー企業に勤務、クリスマスは30代の若手社長の石丸と仕事をしている。

雅子は石丸に魅力を感じているが、「自分はどうせ相手にされない」と最初から諦めている。

しかし、クリスマスの残業を通じて石丸は雅子の魅力を発見。おまけに、雅子が世話をしている猫、みーちゃんが実はずっと石丸が飼っていたミーシャであったことが判明。

石丸は雅子の実直で優しい性格に惚れ、めでたしめでたし。

【ケーキ】

施設育ちの美容師、杉野。若くてガンを患い、クリスマス、ベッドに横たわりながら、「なぜ私の人生はこんなにも辛いのか」と苦しんでいる。

「平凡な幸せが欲しい、今日はクリスマス、サンタさんお願い!」と願う杉野に奇跡が。ガンは消えうせ体は回復に向かう。

しかし、願いの代償として右手が使えなくなり、杉野は美容師を辞め、ケーキ屋の店員になり、ケーキ職人を目指す。

そこで杉野はケーキ職人として働く、不器用だが誠実な青年の伊藤と恋仲になり結婚。1年後、伊藤とともにケーキ屋として独立、子どもも生まれ、幸せな時間を過ごす。

夫婦としての幸せな暮らし、子どもの独立、幸せな人生を送った杉野は、70を超えて、静かに、豊かに、最期を迎える。

【タクシー】

29歳、依子。

クリスマスイブ、酒によって帰りのタクシーで、運転手に唐突に昔の阿嘉島へ行ったときのことを語り出す。

友人の女と阿嘉島に行った依子はいろんな男たちにナンパされ、そのなかで広島出身のTVクルーの鳥尾と親密になる。

依子は鳥尾に惚れていくものの「自分はスッチーだ」と嘘の自分を演じていることを心苦しく思っている。

そのため、鳥尾が依子に夢中になっていくものの、鳥尾との関係は上手くいかず。2人はお互いを思いつつ、接触を絶ってしまう。

タクシー運転手に昔の恋を語る依子だが、そこでタクシー運転手の声に聞き覚えを感じる。タクシー運転手の正体はなんと鳥尾で、2人の運命は再び邂逅する・・・。

感想など

読むと何だかスッキリする、良い気持ちになれる、そんな小説でした。

一話一話、それぞれ完結型のショートストーリーになっていて、話も分かりやすい(というか文章が読みやすい)ので、一度読み始めると止まらずに完読。

人生いろいろあるけれど、ときにこんな奇蹟がときに起こってもいいよなぁ、そんなことを考えながら、物語を楽しめました。

ともかくホッとする話で、読後の気持ち良さというか、スッキリした感じは、小説だから味わえるもの。

気持ちが疲れたときは、この小説でスッキリしてみませんか?(特に冬の寂しい時期とか)

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