曇りの日は中島義道を読むに限る。『非社交的社交性 大人になるということ』を読み直す

窓の外は曇り。曇りの日は、どうも気分が乗らず、今ひとつ仕事をする気になりません。

ということで、本棚にある本の中から、気分がスローなときに読みたくなる中島義道の本をピックアップ。

『非社交的社交性 大人になるということ』(講談社現代新書)を読み返してみることにしました。

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この本について

『非社交的社交性 大人になるということ』は、隠遁希望者のための人間関係論です。

一般的な人間関係論とは違い、独特の思考を持った人間論で、普遍的な、「自分を変えて、人と上手く付き合っていこう!」的な人間関係論とは一線を画した内容になっています。

このような具合です。

・大人になる条件。1、金銭的に自立すること。2、金銭面以外に、人に依存しない生き方を確立し、居心地の良い人間関係を自力で作ること。(P6)

・人との関係は対等であることが基本。親と子、それぞれ依存しあう関係でも、徐々に対等な関係へスライドさせていくべき。(P36)

・人生、孤立は避けるべきだが、人と依存し合うのも危険。人間関係で、「互いの人格を尊重し合う」ような理想的な人間関係は簡単には手に入らない。理想的な人間関係を追い求めるから、傷ついて、「浅はか」な人間嫌いになってしまう。(P37)

・期待という残酷な暴力。親が子に東大に入って欲しいと期待する。妻が夫にもっと稼いで欲しいと期待する。期待されるほうは「オレにそんな期待をしないでくれ」と軽妙に振る舞うかもしれないが、人に期待を押し付けることは、とてつもない暴力性が潜んでいる。(P45)

・他人の痛みを知ることはできない。人は、「私の痛み」を通じてでしか、「痛み」を想像できない。(P49)

・「嫌い」という感情について。人の前で好き嫌いをあからさまに表現するのは、一般的には無礼なこと。しかし、「嫌い」という感情は、実際に消すことはできない。嫌いな人の前にいるとき、「嫌いではないですよ」と演技をするのがイヤなら、その状況を避ける生き方をすればいい。(P57)

根本にあるのは、人付き合いを避ける隠遁者の価値観です。世間と大いに交わり、名誉を求め、成功を良しとする。そんな一般的な内容の本ではありません。

社会の基準からそれたアウトサイダーや、人間関係の煩わしさから逃避して生きようと願う、隠遁希望者のための本です。

中島義道作品について

中島義道の本を知ったのは、フリーランスになって3年目くらい、私が27~28歳くらいの頃。

何かの書評ブログに、『人を<嫌う>ということ』が紹介されていて、それを読んでみました。

最初この本を読んだ時は、「何だこの人は?イヤな人だなぁ」と当時は思ったもので、中島義道の本とは縁がありませんでした。

それからしばらく。別の中島義道の本(『人生を<半分>」降りる』)を読んでみたところ、心に響くものがありました。

そこで、改めて中島義道の本を読み直してみたら、見事にハマってしまいました。

中島義道の本を読んで感じるのは、世の中への虚しさのようなものです。

『人生に生きる価値はない』や『孤独について』、『人生を<半分>」降りる』など、どれを読んでも、人生のポジティブな面を見出すことはなく、気持ちが晴れることはありません。

人生を良くするためのヒントもなく、生きることの悩みも解決することはないでしょう。

苦しい現実から抜け出す希望を求めて中島義道の本を読んでも、時間とお金のムダになると思います。

中島義道の本に書かれていることは、どれも「それを言っちゃあおしまいよ」的なことばかりだからです。

「努力すればいい人生が送れる!」とか、「頑張れば成功して幸せに慣れるよ!」なんてことは一言もいいません。でも、私にはそれが心地良い。

なぜ、中島義道の本を読むとスッキリするのか?

それは多分、氏が提唱する「半隠遁」という生き方が、自分の理想的な生き方と近いものがあるからかもしれません。

人間関係、仕事など、世の中嫌なことが多すぎる。どうせ人はいつか死ぬのだから、したくないことは一切せずに生きていきたい。

しかし、完全に世の中を捨てることができないならば、半分だけ世間と関わり、残り半分は好きに生きていけばいい。これが中島義道の唱える「半隠遁」の考え方。

無意味に感じることはせず、自分が本当にしたいと願うことをやる。それを追求できれば、無意味に感じる人生にも意味を感じることができるかもしれない。

しかし、現実問題、働きもせず世間とも交わらず、自己探究的生活ができるのは、恵まれた資産家か、どこかの王侯貴族ぐらい。

私のような一般人は、生きていくために、何らかの手段でお金を稼ぐ必要があります。

そこで、半分だけ現実と折り合うために世間と関わり、生活の糧を得る。もう半分は、面倒なことは一切放棄。自分の主義を貫く。

処世、出世、名誉、そんなものは興味なし。できれば、煩わしいことは避けて、したいことを、好きなだけ、マイペースにしていきたい。めんどくさいことは、出来る限り避ければいい。

この考え方が好きで、中島義道の本を読みつつ、私もそんな生活を確固たるものにしたいと思っています。

完全な隠遁は無理(それに退屈)かもしれない。しかし、世の中の面倒なこと、嫌なことを減らして生きていくことはできる。

中島義道の本を読むと、そのことに気づかされます。

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