成功に共通点はないが、失敗に共通点はある。『なぜ倒産』を読む

なぜ倒産 23社の破綻に学ぶ失敗の法則

本当に学ぶべきは、成功例ではなく失敗例。

日経トップリーダー編『なぜ倒産 23社の破綻に学ぶ失敗の法則』(日経BP)の読書感想です。

この本について

倒産してしまった会社がなぜ倒産にまで追い込まれてしまったのか。その失敗例を通じてビジネス上大切な教訓を得るための本。

結局のところ勝ちに不思議の勝ちあれど、負けに不思議の負けなし。

この本を読めば、「こうすれば必ず成功できる」という法則はありませんが、「こうすれば失敗する」という、貴重な学びを得ることができます。

以下、本書の読書メモです。

はじめに(P3)

世の中では成功した人たちが「自分はなぜ成功したのか?」を語る成功事例をチェックすることができるが、実際それらはほとんど役に立たない。

なぜなら、成功事例とは様々な条件の組み合わせで、その人だからできたこと。つまり、他の人にとっては極めて再現性が低い。

だから成功事例を何件も学んだところで、それが成功に役立つことは一切関係ない。

成功事例を役に立てるなら、自分の状況に応じてその事例を応用化する試みが必要。つまり、ヒントとして活用するのが良い。

急成長の罠(P22)

事業が成功して会社が大きくなると、よくあるのが会社の成長スピードに会社の体制そのものがついていけなくなること。

追い風が吹いているときは気持ちも大きくなって会社を大きくさせていくことに躍起になってしまうが、それは危険。

急成長よりもむしろ、徐々に、着実に成長していくことが大切。

ヒット商品の罠(P57)

会社から思わぬヒット商品が登場すると、それをバンバン売ろうとするため生産を急拡大させたくなる。

しかし、大切なのは先を見据えること。

どんなブームでも、いつか必ず終焉する。ヒット商品が出たからといって、それを売る勢いに拍車をかけることは逆に、自分の首を早く締めることになる。

むしろ、ブームを長引かせるよう、生産を絞ったり、商品が長く売れ続ける方向を目指す。

引き際を見誤らない(P64)

一つの事業がヒットすると、他社が二匹目のドジョウを狙い、参入してくるのが世の中の常。

とくに、自分たちよりも強い資本力を持っている大企業が参入してきた場合、競争はさらに加熱を極める。

このとき、そこで無理して競争に転じるか。それともさっさと別の方向へ転換するか。そこに経営者の判断力が試される。

競争をする場合は先行きの見通しを立てれるかどうか。そのブームが続くのか。そこを間違えると致命的なダメージを負う。

先行きが見通せず、可能性的にうまくいかないことが予想できるなら、あえて身を引くのも一つ。その判断が冷静にできるかできないか。

そこが、会社の命運の分かれ道となる。

人気商品に依存しない(P74)

収入源を分散させる。一つだけの収入に頼らない。これは、会社も人も同じ。

なにか一つだけに収入源を依存している場合、それがダメになったとき、すべてが終わる。

だからこそ、なにか1つ、大きな収益源を作ることができたらそれだけに依存せず、1つ2つ、別の収益源を余裕があるうちから模索していく。

成果主義のリスク(P183)

結果を出す社員に給料アップさせる成果主義は、その業界が右肩上がりで、業界の勢いが上がっているときは役に立つ。

しかし、縮小傾向の業界や、大きな変動がない業界の場合、積極的な売上増加を狙えないので、成果主義が社員のやる気を著しく削ぐ。

そうなると会社を裏切って転職する社員が増え、ますます状況が悪化する。

給与体系にはついては、社員の本当の定着を狙い、やる気を削がない仕組みを作ることが大切。

不運は連鎖する(P276)

悪いときには悪いことが重なる。

何かがうまくいかなくなり、ストップがかかるような状況に陥ったときに大切なのは、そこから決して無理をしないこと。

一発逆転を狙うとか、そんなことは考えないほうがいい。ともかく状況が悪化しない、無理をせずに守りを固める。

そうすればダメージは避けられないが、事業が終わってしまうような致命的ダメージは避けられる可能性がある。

相談者を持つ(P284)

経営者とは孤独であり、自分自身で迷うことなく、未来を見つめ、切り開く宿命にある。

だからこそ、一人でもいい。冷静にそのときそのときの状況を正確に伝えてくれる相談者が必要。

耳の痛いこと。見たくないこと。それをきちんと見るように苦言を呈してくれる相談者を持つこと。

絶対に、裸の王様になってはいけない。

これからの日本で起こること(P287)

今後、必ず起こるのは日本の人口減少。それはすなわち、すべてのビジネスにおけるパイが縮小していくことを意味する。

もはや、人口増加を前提としたビジネスプランでは生き残ることはできない。個人でも企業でも、そのことを忘れずに、生き残りをかけた道を探る必要がある。

感想など

失敗から生き残りの道を探っていく本。

会社が何で失敗して倒産したのか。そして、そこからどんな教訓を得ることができるのか。

それがとてもわかり易く、会社経営云々関係なく、人生の教訓としても役に立つ話が満載です。

私も身分不安定。将来はどうなるか分からない暮らしをしているので、生涯現役。仕事を続けていく運命であることを受け入れています。

だからこそ、今が良くても明日どうなるかは分からない。そういう気持ちを持ち、変化に対応していくことが大切だと実感しています。

でもまぁ、冷静に考えてもみれば、人生安定なんて完全に幻想です。

この世の中、確かなものは何一つありません。何かで成功しても、それが一定の期間を経て終了する。そして、新しい変化が次々とやってくる。

この意味で、「もう自分の人生は安心だ」と思えない暮らしのほうがむしろ、これからの時代では安心なのかもしれません。

ということで、安定を恐れ変化を受け入れる。人生で詰まないために必要な教訓を学びたい。

そんな方は、本書の事業失敗が、きっと参考になることでしょう。

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