意思の弱さは生まれつき?『なぜ意思の力はあてにならないのか―自己コントロールの文化史』を読む

なぜ意志の力はあてにならないのか―自己コントロールの文化史

「明日までにやらなければならない仕事があるのに、やる気が出なくて頑張れない。」

「ダイエットのため、過食をやめたい。でも食べ過ぎて太ってしまう。」

「なんて自分は意思が弱いのだろう・・・。」

もしかして、それは、あなたのせいではないかも!?

ダニエル・アクスト(著)、吉田 利子(翻訳)『なぜ意思の力はあてにならないのか―自己コントロールの文化史』(NTT出版)の読書感想です。

内容について

自己コントロールを題材にした本で、人には本当に自由意志があるのか、自分で自分自身を完全にコントロールすることができるのか、社会科学や経済学、心理学、脳科学、政治学など、様々な方面から検討していく本です。

私達は、誰もが「意思」を持っていて、今日何をするか、何をするのか、どんな人生を歩むのか、自分で何もかも決めることができるように考えられています。

しかし、実際には、意思というものはあやふやで、人それぞれ、生まれつき、意思とは関係なく、何らかの制約や傾向を持っているようです。

本書では、

・自己コントロールは遺伝が関係していて、特定の遺伝子を持つ人間は、問題を起こしやすい。(P198)

・反社会的な人たちは文字通り冷血である。(P252)

という具合に、人間の意志力とは別の物(遺伝子や環境など)に焦点を当てて、人間の意思の脆さ、柔らかさについて云々されています。

もちろん、意思は鍛えることができるそうですが、実際には、「意思の力はよく筋肉にたとえられる。時間をかければ鍛えられるが、しかし短期的には筋力と同様に疲れて弱ってしまう。」(P345)というように、意思を鍛える事自体、難しい面もありそうです。

では、自分の意思が頼りにならないときはどうすればいいのか?

「子どもっぽい考え方をしてはいけない。わたしたちは気づかないうちに環境に影響される。だから、望ましい反応ができるように環境を整えることだ。」(P353)

自分の「意思」が自分自身で管理できないとしたら、やるべきことは環境を調整するのが一番なのかもしれません。

したいこと、やるべきことをやりやすくする環境を作ること。家でしっかり勉強できるようにするなら、家の中に遊びやサボりを誘発するものを置かない。自然の多い、落ち着けるところで暮らすこと。本棚を用意して、本をたくさん買うこと。

これらの行動で環境を変化させることで、自分の意志力を頼りにして努力するより、効果的な結果が生まれるかもしれません。

人の意思は弱いもの。それであるなら、「自分の意思をコントロールしよう!」とマッチョ的超人を目指すより、環境を変える方が、適切な選択なのかもしれません。

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