ワンマン経営の光と影を明らかにする傑作ルポ。『ユニクロ潜入一年』の読書感想

「うちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」

という柳井社長への返答がこちら。

横田増生著『ユニクロ潜入一年』(文藝春秋)の読書感想です。

この本について

『ユニクロ帝国の光と影』を出版、ユニクロから訴えられて取材やインタビューを「出禁」された著者が、

「ユニクロのことを悪く言うのはきちんとユニクロの現場を知らない人だ」

という売り言葉を買って、

「それなら現場で働いてみようじゃないか」

と、名前を変えてアルバイトとして1年間潜入取材した意欲作。

成長企業のダークサイド。『ユニクロ帝国の光と影』を読む

アルバイトとして3つの職場で勤務しつつ、ユニクロという会社の実情、問題点、ブラック企業かどうなのか。

その客観的な姿を浮き彫りする、会心の一撃的ルポになっています。

具体的には、

・「柳井王国」と言うべき柳井社長を頂点とした階級制システム。王に謁見、意見はやすやすとは許されない(P65)

・社長更迭も思いのまま。結局は柳井社長がユニクロのすべてを決定する(P92)

・柳井社長の失敗を誰も指摘できない強権政治(P100)

・ユニクロのすべてがマニュアル化されている本当の理由と目的(P123)

・柳井イズムの徹底と「信者」の増産システム(P182)

という、ユニクロが大企業ではなく、いまだトップダウンのワンマン経営企業であることが、この本で明らかになっています。

感想など

正直なところ、この本は素晴らしいと思います。

取材と言っても関係者から話を聞くだけではなく、わざわざ名前まで法的に変えて1年、ユニクロで働く。

現場を実際の目で見て、ユニクロの実情を極めて客観的に紹介している。

別にユニクロを貶めるとかそういうわけではなく、「現状の問題点はここにありますよ」ということを伝えている。

この意味で、これこそジャーナリズムではないか。そう納得せざるを得ない、素晴らしい本だと思います。

・相も変わらず安い賃金で、いいように使われているアルバイトたち(人件費の内部留保はかなりあるにも関わらず)

・ユニクロでの権力をもとに傲慢に振る舞う一部店長

など、いろんな問題は伝わってきますが、結局のところ、誰も社長に意見が言えないトップダウンの体質、そこに問題の本質が読者的には理解できます。

それと、本書を読んで明らかになるのは、資本主義の仕組みのシンプルさ。

つまり、結局のところ世の中は、誰かが「いい思い」をするためには、誰かの犠牲が必要になる。

安い賃金で利益を出す。そうすれば誰かが儲かる。安い賃金で人を払うお金以上働かせるためには、「教育」(=洗脳)が有効である。

そのことが一番印象に残っています。

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