解剖学者とアニメ監督の刺激的な対談集『虫眼とアニ眼』を読んで

虫眼とアニ眼 (新潮文庫)

『バカの壁』で有名な解剖学者の養老孟司さんと、ジブリアニメの宮崎駿監督の対談本『虫眼とアニ眼』の読書感想です。

解剖学者と天才アニメ監督、発想の視点やユニークさ、その道を極めた一流人モノを見る「眼」が勉強できる本です。

以下、気になった内容の抜粋です。

宮崎駿、子どもの教育について(P45〜46)

「よく画一的な教育の対極として、個性尊重って言うけれど、(こどもの)尊重するほどの個性なんて、まだ養われていないでしょう。ところが学校も親も都合のいいところで手を打って、それを個性と言う名で呼ぶもんだから、個性の中身がどんどんつまらなくなってしまった。」

宮崎駿、映画『もののけ姫』の制作にあたって(P59)

「ぼくは、少なくとも戦のやり方だけは、室町を境に変わったと感じるんです。〜中略〜戦というのは、すべからず人殺しだと思うかもしれないけど、時代や文化や技術によって違う、ある種の作法みたいなものだと思うんです。

それが室町以降、とくに南北朝時代はえげつないことになって、安っぽい刀を大量に作り、中国にどんどん輸出して、逆に火縄銃が入ってきて、戦のやり方をすっかり変えた。

ぼくは、その根本にあるのは、人間と自然との関係が変わった、つまり自然を敬わなくなったという変化があるんじゃないかと、勝手に妄想を膨らましたわけです。」

養老孟司、人と情報化社会について(P148)

「情報は一見動いているように見えるけれどもじつは止まっている。それを、情報は毎日変わるけど、人間は変わらないと考えている。生きているっていうのは、人はひたすら変わっていくということで、それはこの年になればいくら何でも分かってくるんです。

おれは変わらないはず、と思っていても、白髪のじじいになっているじゃないか。じゃあ、いつ白髪になったんだと言ったら、いつなったか分からない。

ずっと変わってきて、ただひたすらなっちゃった。いわゆる情報化社会にいると、それを間違えてしまう。みんな「おれはおれだ」と思っている。」

感想など

解剖学者とアニメ監督、ジャンルは違えど、一流の人は「モノを見る眼、視点が違う」ということを実感した本でした。

対談本なので文章は読みやすく、サクサク読めますが、「コレはどういう意味だろう?」と読後いろいろ想像してしまう内容も多かったです。

ちなみに、この本には宮崎駿監督によるこどもが育つ環境や教育のことをテーマにしたイラストが掲載されているのですが、これがまた面白いです。

面白い保育園、こどものためのカリキュラム、こどもが暮らす家、街のデザイン。こどもの教育、自然のこと、今の日本のこと、「宮崎監督の視点」がでわかります。

宮崎駿監督の視点、考え方が分かる良い一冊でした。

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