人間関係が上手くいかなくなる本当の原因はこれ。
佐藤優著『嫉妬と自己愛 – 「負の感情」を制した者だけが生き残れる』の読書感想です。
この本について
嫉妬や自己愛が人間関係でどのように絡んでくるか、そしてそれらに巻き込まれないためにはどうすればいいかを考察する本。
家庭に職場、人のいるところ嫉妬と自己愛あり。世の中を生きていく上で知っておくと便利な、人の負の感情の傾向と対策をこの本でチェック!
以下、本書の読書メモです。
自己愛が誇大化した人間(P26)
「俺はすごい、特別だ」と自己愛が誇大化してしまった人間は、俺SUGEEEEEEEEEの精神上、他人への嫉妬心は薄いように振る舞う。
彼らの未来は大成功するか、人間関係で孤立化して社会の片隅に追いやられるか、極端な人生を送る。
自己愛も成功に役立てばいいが、役に立たない自己愛は、人生をダメにする。
非リアとボッチ(P108)
非リアとボッチ、彼らのメンタリティには驚くほど共通点が多い。
彼らは自信はないがプライドは高い。おまけに他人に認められたい願望が強く孤立したくない。でもそれができないので、SNSなど仮想世界に自分の居場所を求める。
実際は現実の世界で悩み苦しみ、「俺はダメだ・・・」を何度も味わいつつ立ち上がっていく必要があるが、それができない。ここに彼らの問題の深さがある。
まず自分ファーストな理由(P115)
自分に与えられないものは他人に与えることができない。
自分への自己愛が満たされてこそ、本当の意味で他者の自己愛を満たすことができる。この意味で、自分を大事にすることは、他者を大事にすることと同じこと。
ストーカーになる人(P124)
ストーカーになる人は、ストレスが高い職場で働いていることが多い。競争や人間関係、職場のストレスがストーカー行為の背景にある。
自己愛について(P142)
自己愛の本質は生物の自己保存本能。生きたい、生存したい、その生物的な本能の一端が、人間の場合は自己愛としてインプットされている。
嫉妬と自己愛(P156)
嫉妬と自己愛は表裏一体。
自己愛があるがゆえ、他者への嫉妬が芽生えてくる。これらは悪い方向へ進むことがある一面、場合によっては自己成長など、良い方面へ進む場合もある。
人の嫉妬に足を引っ張られないために(P200)
人と関わる上で大切なのは、人の嫉妬心を刺激しないこと。とくに普段の言葉の使い方には注意する。
自分ではなんでもないことが、人によっては嫌味になるように、不用心な言葉が人の嫉妬心を刺激し、それによって足を引っ張られることになる。
特に、他人のコンプレックスなど、気にしていることは絶対に触れてはいけない。
言葉で相手の地雷を踏まないためには、普段から言葉遣いを注意し、「自分が言われたらどう感じるか」を考えて言葉を発すること。
感想など
なぜ嫉妬と自己愛がやっかいなのか、それにどう対処するか、自分なりに理解を深められた本。
人には感情があって、特に嫉妬などの負の感情は攻撃力、破壊力があります。
なので、人の感情には注意を払っておきたいところなのですが、ときに何気ない言動が他人の嫉妬心を引き起こし、それによってトラブルが起こってしまいます。
人間関係ではこんなことがあるわけですが、ではそれに対してどう対処すればいいのか、そもそもなんでそんなことになるのか、その心理の理解が不可欠だと思います。
この本は小説等からの考察が多く、具体的な事例はあまり乗っていませんが、なるほど、こんなふうに嫉妬心が起こるのかという、人間心理の視点は分かりやすく理解できます。
他人に嫉妬される人は将来失脚する人。それくらい嫉妬には怖い力がありますが、世の中生きていく上で無用なトラブルは避けたいもの。
他人の地雷を踏まないために、嫉妬についての理解を深めておきたいものです。