本来仕事は、絶対に楽しい!
岡野雅行著『世界一の職人が教える仕事がおもしろくなる発想法―結果が出ない人はいない』(青春出版社)の読書感想です。
この本について
「痛くない注射針」や携帯電話のリチウムイオンなどでおなじみ、岡野工業の岡野雅行社長が仕事観や人生観を語っている本。
以下、本書の読書メモです。
減点主義より加点主義(P4)
人はトライ・アンド・エラーによって成長していく。だから失敗しない人間は成長できない。
組織が減点主義、失敗を評価しないで罰する仕組みになっていると、失敗を避けて無難な選択しかしない人間が増えていく。
すると組織はどんどんダメになっていく。だから人を育てて評価するためには、減点主義ではなく加点主義でいくことが大切。
いいものにお金を遣う(P47)
仕事で一流の人間になりたいと思うなら、まず一流のものを知ること。
この意味で、良いサービスを経験したり、手の込んだ高級品を手に入れることはとても価値がある投資となる。
良いものを知るからこそ、ホンモノとニセモノの見分けがつくようになる。それが必ず、仕事で生きてくる。
何があろうと我が道を行く(P60)
世の中を変えたり、人とは違う結果を出す人は、周りとは違うことをする人。
変わり者になってもいいので、人とは違うことをする。人から反対されようと、我が道を行く。そうすれば、人とは違う結果を出すことができる。
最終的には人からも評価される。
完璧は存在しない(P75)
この世で何もかも完璧なものなど存在しない。
どんな強靭な人でも、大組織でも、必ずどこかに弱点がある。自分より強い者と戦うには、敵の弱点を見極め、そこを集中的に突いていくこと。
一つのかごに卵をもらない(P77)
何か一つだけに特化して頑張っていると必ずスランプに悩まされる。
だからこそ何事も同時進行。いろんなことを複数で取り組み、どれかダメになっても良いような状態を維持する。
これが安定して成長していくための秘訣。
自分の仕事を安売りするな(P80)
仕事は安く引き受けてはダメ。
自分の仕事を安く売るかわりに、人にはできない、自分にしかできないことをする。そうすれば、自分の仕事に自分で値段をつけることができる。
友だちについて(P91)
友だちとは、何かにつけて自分のことを助けてくれる存在のように思いたいが、実際問題、友だちによって足を引っ張られることも多い。
特に、学校や会社など、利害関係がからむ友人はなおさら。誰が味方で誰が敵なのか、その見極めを誤ってはいけない。
もし友だちと思っていた人が自分の足を引っ張る敵だったら、すっぱり縁を切ること。
つまらない人間になる方法(P169)
ミスをしてはいけない。決められたことだけする。貯金ばかりして投資しない。そんな守りの発想ばかりしていると、人間がつまらなくなる。
結局何かを得るためにはミスをしたり失敗したり、いろんなことを経験していく必要がある。
しかし、ミスを恐れて安全パイばかり狙っていると、そこから成長できず、最終的には行き詰まる。
失敗はしてもいい。むしろ結果を出したいなら、積極的に挑戦し、どんどんミスをしても構わない。ミスをするということは、前向きに行動している証なのだから。
縁がある人(P177)
世の中は広いようで狭い。
縁がある人とは、一時的に離れたとしても、必ず人生のどこかでまた、縁がつながるようになっている。
つながった縁は必要だからつながっている。大切にすること。
人生は回り道せよ(P179)
人生最強の人は、失敗してどん底を味わったり、回り道をして散々悩んで生きてきた人。
失敗をし、悩む。いろんな経験を積んでいるからこそ、それが表面的でない、本質的なその人の魅力になる。
だから人生は何度も失敗してもいい。いろんな経験をして、人付き合いや人の感情の機敏を学ぶこと。人として大切な仁義を知ること。
そうすれば最後には逆転できる。
感想など
「世の中で成功している経営者は本当に視野が広くて、何より考え方が合理的なんだなぁ」
と強く感じた本。
本書のキーワードは加点主義の大切さが強く語られているのですが、確かに、人生守りの姿勢でいくか、攻めの姿勢でいくかは、本当に気持ちが変わってきます。
「もう失敗できない」と気持ちが守勢に入ってしまうと、自分が小さくなって、そこから良い発想や大きく逆転するための活路は決して見えてきません。
しかし、「別にミスしてもいい。最後には取り返せるから」と鷹揚な気持ちでいれば、自分に自信が持てるし、良い発想も浮かんできやすいもの。
この意味で、減点主義より加点主義というのは本当にそうだな、と思います。
私が減点主義の職場に勤めたらきっと、すぐに気が滅入りそう。そして、一ヶ月持たずに仕事をクビになりそう。
でもクビになったときは、最高に幸せな気分を味わえそう。
ということで、この本を読むと気持ちが大きくなるというか、視野がグーンと広がります。
「結局考え方が大きい人は人生もいろいろ楽しめる!」
そのことを実感できた本でした。