信長は天才ではなく努力の人!『大間違いの織田信長』を読む

大間違いの織田信長

戦に弱く情にもろい。土下座をするのもおてのもの。

倉山満著『大間違いの織田信長』(ベストセラーズ)の読書感想です。

この本について

戦国の英雄、織田信長をイメージではなく、歴史的な資料等に基いて人物評をしている本。

織田信長といえば、いわゆる天才で合理主義のかたまり。

家臣を道具のように扱い、残酷だけれど天才的才能で天下統一目前まで日本を支配した「超人」的なイメージがあります。

ところが、本書ではその信長像に真っ向から「それは違います!」と意義を唱えます。

では実際の信長はどんな人間だったのかというと、本書が主張する信長像は意外。一言で言って努力の人

自分が24時間働き、先頭に立ち、家臣を引っ張っていく。そしてチキンであるがゆえに、何事も慎重。戦うのは弱い相手のみ。絶対に勝てると踏んだ相手のみ。

そうでない相手には徹底的に土下座外交をして、一歩一歩着実に進んでいったまさに「日本人的な努力の人」というのが本書が示す信長像。

そんな臆病でチキン、慎重で努力家だった信長が、上杉謙信の病没を気にコワイものがなくなり自己肥大化が発症し傲慢化。

その死の数年前の傲慢なイメージが、今私たちが抱いている信長像で、本来の信長は残酷ではないし、合理主義のかたまりというわけでもない。

この本を読むと、驚くほど「人間臭い」信長と出会うことができます。

感想など

読後いろいろ驚愕してしまう本。

「え、信長ってこんな人だったの?イメージと全然違いますやん」という内容が盛りだくさんで、特に驚いたのは長篠の話と、対上杉の話。

信長はかなりチキンで、武田信玄に対してはビビって絶対に戦いたくないほど臆病な姿勢。

そして信玄の死後も勝頼を恐れていて、本来勝頼が長篠に進軍したときも、戦場に援軍に行くのを躊躇していたという話。

しかし、家康が「いい加減に織田さんが援軍に来なきゃ、俺は武田に寝返ります!」という状況になって、しぶしぶ援軍へ。

それでも武田軍がコワイので、わざわざ野戦陣地(柵)を築くほどのビビリ具合。それで合戦が始まったら流れ弾が山県昌景に当たって武田軍が崩壊。

結果的に歴史的な大勝利になったわけですが、早い話、歴史で言われている長篠の鉄砲三段撃ちとかそういう話は全くのウソ。

実際の長篠の戦いはまぐれ勝ちの連続。「信長が全て計算づくで勝つべくして勝った戦いではない」という話でした。

それともう一点面白かったのが、対上杉謙信。

謙信には本当にビビリまくっていて、ずっと土下座外交を続けてきたものの、謙信の信長への態度が変化。

手取川の戦いにまで発展するわけですが、信長自らは謙信が怖いので出陣せず、重臣たちを出陣させ、自らは安土でガクブルしていた状況。

つまり「謙信には勝てない」と分かっていて、だから戦にボロ負けした柴田勝家や、「敵前逃亡」した羽柴秀吉には一切咎めはなし。

謙信が死ぬまで、土下座外交を徹底していたといのは本当に驚き。こりゃ、『信長の野望』とかの信長像とか、全然イメージが違う!という話です。

一言で言うと信長への親近感がアップする本!

信長は基本的に商人で経営者。実際戦は弱くて、何度も何度も負けまくっている。

そして冷酷で家臣を道具のように扱っていたというけれど、実際は古参の役立たない武将(佐久間信盛など)をずっと甘やかしていたり、「人間臭い」話が多いです。

それと、なぜ信長があそこまで大きくなれたかというと、周囲にアホな大名が多かったという話で、特に、

・美濃の斎藤龍興

・越前の朝倉義景

・中国の毛利輝元

この3人は、信長を活躍させるためだけに存在したような大名であったことがよく理解できます。

ということで、信長=残酷、天才、合理主義者というイメージはこの本で完全にくつがえりました。

なるほど、結局戦国武将のイメージはイメージであって、実際の現実とは違う。

ではなぜ信長のイメージはどうやって作られたのか、そういうことを考えるといろいろ興味がわきます。

織田信長をもっと身近に感じたい方には、本書がおすすめ。きっと、驚きの信長に出会えること間違いなしです。

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