『思い出のマーニー』を観る – 思いはどこかで、きっとつながる。

思い出のマーニー [DVD]

1つの出会いが心を閉ざした少女を救う。

米林宏昌監督作品『思い出のマーニー』(2014年)の感想です。

この映画について

札幌で暮らす杏奈は病弱で内気な少女。学校でも孤立し、継母にも心を開けず、「私は私が嫌い」と一人悶々と悩み、心を閉ざして生きている。

そんなある日、杏奈は持病の喘息が悪化、病気療養のため、自然の豊かな釧路へ。そこで杏奈はある一人の少女と出会う・・・。

トレイラーはこちら

感想など

ネタばれがあります。

北海道を舞台にしたジブリ映画。

知り合いが「マーニー最高、おすすめ。観てみなよ!」と激褒めしていたのでいよいよ見てみることに。

「この世には見えない魔法の輪がある。輪には内側と外側があって、この人達は内側の人間。そして私は外側の人間。私は私が嫌い。」

主人公杏奈の重い独白から物語がスタート、「今までのジブリアニメとは雰囲気が違うな」というのが最初の印象。

この物語の主人公の杏奈はとても病弱で内気で感情表現が苦手な少女。自分の感情を抑圧しているのか、最初の方は、ほとんど表情が変わりません。

しかし、内面は非常に複雑な様子で、おせっかいな女の子にキレて暴言を吐くシーンも。みんなと上手くできないこと、自身の出自に悩み、「私は私が嫌い」と悩んでいます。

なぜ杏奈が心を閉ざして生きているのか?その原因は家庭環境にあるよう。

杏奈は実はもらいっ子。実の両親は既に他界、祖母に育てられていましたが、その祖母も病死、現在は養母のもとで育てられています。

養母は養母なりに杏奈のことを心配しているものの、関係は上手くいっていないよう。杏奈も養母に対して馴染めずに、もらいっ子であることに悩んでいます。

内面に葛藤と悩みを抱える少女が主人だからなのか、やたらとヘビー、重い感じが続きますが、杏奈が病気療養(多分メンタル的なもの)のため北海道の釧路地方へ行き、そこでマーニーと出会ってからは、物語が動き始めます。

固かった杏奈の表情がだんだんと変わり、自分の内面の悩み、感情を、マーニーに語り出します。

それにともない、最初は能面のような、ほとんど動きのない表情だったのが、だんだん表情に動きが出てきて、内面の感情が顔に出てきます。物語の流れが杏奈の心の変化であり、この変化が映画を観ていて面白いところでした。

杏奈の心情の変化とともに、物語、マーニーの真実も核心に近づいていきます。)

それにしても、この映画は杏奈とマーニー、人物の内面描写がとても丁寧。

この映画のテーマの1つに、親子間の問題があると思うのですが、マーニーもマーニーの娘も、杏奈も、同じような問題が家族間で連鎖し、親子がそれぞれ、複雑な葛藤、事情を抱えています。

マーニーは派手好きな両親から放ったらかしで育てられ、自分の娘を愛そうとするものの、いろんな事情で娘を手放すことになり、娘もそんなマーニーを憎んで反発。

杏奈はその母が事故死、マーニーに育てられるものの、マーニーもすぐに病死、縁のない義両親に育てられ、反発。「自分が愛されていないのではないか、お金のために義両親が私を育てているのではないか?」と悩んでいます。

映画の最後は、親子三代、連鎖してきた問題が解決するような終わり方になりますが、映画の最後は、カタルシスというか、清々しいものがあります。映画に温かみというとか、優しさが感じられて、感情を揺さぶられる何かがありました。

愛を感じることで葛藤を克服し、次の一歩へ。

複雑なテーマで、登場人物の内面を掘り下げたジブリの中では異色の映画かもしれませんが、個人的にとても良い映画だと思いました。

映画のDVDはこちら

思い出のマーニー [DVD]

フォローする