『ワーク・シフト』の読書感想 – ぼくらの働き方はこれからどう変わるのか

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

世の中で起こりつつある未来へのシフト、変化を生き抜くためのキーワードとは。

リンダ・グラットン著『ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図』(プレジデント社)の読書感想です。

この本について

様々なデータをもとに、未来の働き方の変化を考察する本。

世界はテクノロジーの進化やグローバル化、環境問題によって、急速に状況が変化しています。

それにともない、私たちの働き方も変化。働き方、人間関係、様々な変化が予想されています。

この本では、未来で起こりうる働き方の可能性を言及。未来で幸福な生き方を実現するためにはどうすればいいか、考えるための材料にすることができます。

以下、本書の読書メモです。

未来の変化に対応するための3つのシフト(P26)

これからの未来に向けてシフトすべき3つの常識。

1・ジェネラリスト的な技能は価値が低くなる。「なんでもほどほどできる」よりも専門に特化した高度な専門能力を身につける。コモディティな人材を目指すよりスペシャリティな人材に

2・労働の個人主義的で競争主義的な価値観を変える。他者と争って働くのではなく、人とつながる、協力し合える働き方を模索する。

3・自分にとって幸せな職業生活を考える。お金中心の消費主義的な生き方を続けるために働くのではなく、仕事を通じて幸せを感じられるような生き方を考える。

今後の未来で起こること(P36)

これから2020年以降、変わっていく世界の変化10のポイント。

1・テクノロジーの飛躍的発展

→技術の発展で、コンピューターのコストがダウン、安価なコストで、高度かつ複雑なデバイス、テクノロジーを利用できる。

2・インターネット網がますます広がる

→人々がネットでつながりあい、ネットを通じて、グローバルな意識が生まれる。

3・クラウドの発展する

→サービスやアプリ、情報にアクセスするためのクラウドが発達する。クラウドから、誰もが気軽に情報にアクセスできるようになる。

4・生産性が向上する

→テクノロジーの発達で、コストは下がるが、ますます生産効率が高まる。

5・「ソーシャル」への参加が高まる

→ネットを利用した「ソーシャル」な交流、関わりが増える。それによって、ユーザー参加型の新しい生産手法が生まれる。

6・知識のデジタル化が進む

→教育機関、政府がデジタル化を推進、正規の教育を受けられない人も、教育を受けられるチャンスが広がる。

7・大企業と個人事業家が活躍する

→グローバル化の発展で、ますます大企業が世界を股にかけて活躍する。その一方、無数の個人起業家が、隙間産業で活躍、新しい価値を生み出す。

8・バーチャル空間においてアバターが活躍する

→ネットを通じてコミュニケーションが盛んになり、アバターを使うことが自然になる。

9・人工知能アシスタントが普及する

→膨大な情報を上手く整理、活用するための人工知能アシスタントが用いられるようになる。

10・テクノロジーが多くの労働者の仕事を奪う

→技術発展にともなう生産の拡大、ロボット技術の導入により、多くの労働者の仕事がなくなる。

予想される社会の変化(P52)

これから変わっていく社会の7つの変化。

1・家族のあり方

→家族の規模が縮小する。養子縁組や離婚、再婚が増え、伝統的な家族の姿が変わっていく。

2・自分探しをする人が増える

→家族のあり方が変わり、人間関係も多様性が増え、自己アイデンティティーを見失いやすくなる。そのため、自分について考える機会が増える。

3・女性の躍進

→企業トップ、政府、様々な場所で、女性が活躍していく。

4・バランス重視の男性が増える

→仕事だけでなく家族、働き方、生き方にバランスを求める男性が増える。

5・大企業、政府への不信が強まる

→様々な変化のなか、国や大企業への個人の不信が強まる。

6・幸福感が弱まる

→何かを得て得られる幸せには限度がある。現在のペースで消費が拡大し続ければ、人々の幸福感は減退する可能性が高い。

7・余暇が増える

→工業化、技術の発展で、作業の効率化が進む。それによって、人々の余暇時間が増える。

時間に追われることの弊害(P79)

日々の時間に追われうると、大切なことを考えたり、必要となる技術を磨いたり、腰を据えて何かをしづらい。

時間に追われることで、物事に集中する時間が失われてしまい、今後必要となる、専門的な能力を磨く機会が失われてしまう。

同僚とは気軽に付き合えなくなる?(P102)

日々の幸せ感覚は、同僚や身近にいる人との関係に影響を受ける。

今後バーチャル化、クラウド化が進む世界では、毎日同僚と顔をあわせる機会が減り、人間関係が変化していく。

それによって、同僚と気軽に付き合える機会が減る可能性がある。

お金で得られる幸せには限界がある(P124)

経済的繁栄と幸福度はある程度までは比例する。しかし、ある段階までいくと、収穫逓減の法則によって、それ以上幸せは高まらない。

幸福感と満足感を高めるためには、お金を求める生き方ではなく仕事で満足度を得られる生き方にシフトしていく必要がある

格差社会の拡大の危険性(P156)

少数の「持つ者」と多数の「持たざる者」で構成される格差社会。

国内に大きな格差が存在するほど、平等な社会に比べ、経済発展がしにくく、政治状況も安定しにくい。子どもの死亡率も高く、教育水準も低い。

スペシャリストへのシフト(P237)

技術の発展にともない、誰でもできること、万能主義的なジェネラリストが活躍できる場所はどんどん減っていく。

それにとまない、特別なスキルに特化したスペシャリストが活躍するようになる。これが社会のシフトの1つ。

未来の世界でニーズが高まる分野での高度な専門技術を習得、その技術を取引相手に売れるセルフマーケティング力を磨く。

これが、今後変わりゆく世界の中で必要とされる力になる。

今後の社会では、広く浅く、何でもそこそこできるような、旧来のサラリーマン的人材はどんどん食い扶持がなくなっていく。

会社も将来を保障してくれず、今までと同じ考え方で将来を予想するのはとても危険。

真似されにくい、自分しかできないことが一番の武器に(P246)

専門技術を磨く上で大切なのが、自分しかできない、人には真似されない技術を持つこと。

ニーズが多い、しかしそれが出来る人が少ない。そういう技術を持つ人は強い。専門技術を磨くのであれば、「他の人と代替されない」力を身につけることを意識する。

仕事は好きなことを選ぶ、ただし(P263)

職業選択の基本は、自分のやりたいことを選ぶのが一番。ただし、その選択にともなうマイナス面も受け入れることが重要。

ジャーナリストを目指すなら金持ちになることを諦める必要がある。大企業で出世を目指すなら、好きなことをして自由に過ごす時間を諦める必要がある。

職業選択における様々な選択肢と、それにともなうメリット、デメリットを理解した上で、職業を選ぶ。

人との関わりをどう持つか(P334)

未来では、時間に終われ、人と人との直接的な関わりが減る。どうすれば良い人間関係を持てるのか、そのカギとなるのが職業選択。

今後は、「ポッセ」と呼ばれる関心分野を共有できる人間関係を気付き、それを単位に、人との関わりを深めていく。

未来では意識的に人間関係を作らないと良い人間関係は築けない。人間関係を作るための、意識的な努力が必要。

高収入を得ても幸せになれない理由(P349)

収入が増えれば、人はそれに見合った消費、ライフスタイルを目指す。

買うものは高価、家は豪華になるが、それによって、「当たり前」の基準が上がってしまい、小さなこと、日々の些細なことに幸せを感じられなくなってしまう。

以前幸せを感じたことに幸せを感じられなくなり、より刺激的なものを求めるようになる。得れば得るほど、満足できなくなり、幸せが感じられなくなってしまう。

自分の選択に責任を持つ(P358)

会社が自分のキャリアを決めてくれる時代は終わった。

未来の世界で幸福な生き方を実現するためには、自分の道を主体的に決める必要がある。

将来どんな働き方をしたいのか、主体的に自分の人生を選択し、自分がしようとしていることに、明確な意図を持つことが大切。

Aを選ぶかBを選ぶか、いろんなジレンマがあるが、選択で起こりうる可能性を検討、その結果、どちらを選ぶのか、明確な意図を持ち決断、責任を持つことが大切。

感想など

未来に起こる3つのシフトについて考えさせられる本。

技術の発展で働き方が変化、私自身もその変化に影響されている一人なので、『ワーク・シフト』の内容はなかなか現実味がありました。

個人的に印象に残ったのは「ポッセ」と人間関係の話。

私も今の仕事、働き方自体はとても満足しているのですが、基本自宅仕事なので、人間関係の面で多少寂しさを感じるときもあります(面倒な人間関係で悩まないで済むという利点もありますが)。

会社員の友人たちとはペースが違うため、学生時代のように気軽に会う時間は減ってしまいましたし、意識して外に出ないと新しい人間関係も作れない。

なかなか、「全ての面で良い」という生き方は、なかなか難しいなと実感しています。

本書で書かれている通り、これからの未来は、働き方が変わるにつれ、「意識して」人間関係を作らないといけないのはそうなのかも。

時代は変わる、であるならば、私たちもそれに適応していくことが大切なのかもしれません。

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