分かったことは人の本質が変わらない、ということ。『エセー』を全巻読破した感想

読書セット

「人生一度は読んでおきたい」本かどうかはわかりませんが、ついに有名な古典『エセー』を1〜6まで半年ほどかけて全巻読破。

このページで、読んだことを忘れないようにメモしておきます。

『エセー』について

『エセー』はフランスの哲学者、モンテーニュの随筆集。それは「人間そのものを率直に記述しようとした」試みで、1580年に出版された古い本にも関わらず、読めば驚き。

登場する事例は古いものが多く、語られる内容をすべて理解するには相当の教養が必要だと思われますが、こと人間についての考察については話は別。

「結局、現代人と昔の人は一体何が違うんだ?」と驚き、人の「不易」を目の当たりにする話が満載です。以下、ツイッターでつぶやいていた『1』〜『6』のかんたんな感想メモです。

エセー(一)

フランス貴族の家に生まれ法官となるも世間に疲れて37歳で隠居。その暮らしの中で書かれた本ということで興味を持ち購入。

1580年に書かれた古い本だけど、世の中には幾年経てども決して、絶対に変わらないものがあることを教えてくれた。

内容は人生訓や人間観察、処世訓、時事など多岐に渡るけどやっぱり気になるのは人生訓や人間論、そしてこの世の渡り方。

読んでいて特に面白いかったのは、「この話は今の時代でもそのまま役に立つ」と思う話。習慣が人格を作る話(P216)や信念の話(P347)は、特に印象に残った。

エセー(ニ)

『(一)』に続き、人間や社会への観察眼が楽しめる本。

「欲しいものが手にはいらぬうちは、そのものが最上に見える。だが、一度これを獲得すれば、また別のものが欲しくなる。こうして欲望は変わることがない」(P183)

など、人の「不易」を知る言葉が満載。

「心の働きには下等なものもあるが、そういう面も見なければ、心を知りつくすことはできない」(P169)

「たとえ他人が私を欺いても、少なくとも私は私自身を欺きません」(P335)

という感じで、「人」に関する言葉の一つ一つが、興味を引く。

『エセー(三)』

(一)(ニ)と続き、社会や人間、世の中の諸事についての考察が刺激的な本。

400年も昔の話なので、社会の事柄に関しては今ひとつ「ピン」と来ない事例もあるけれど、こと「人間」についての考察は、この本が400年も昔に書かれた本であることを忘れてしまう。

「思い上がりは人間の生まれつきの病気である。あらゆる被造物の中で、もっとも傷つきやすくもろいのは人間である。同時にもっとも傲慢なのも人間である」(P34)

引用したい言葉が多すぎて全ては挙げられないけど、人の変わらぬ特質について、じっと考え込んでしまう。

『エセー(四)』

人生から法律、教育、歴史など語られる話題は多岐に渡るけど個人的に最も興味が湧いたのはやはり人間の話。

・自惚れについて(P61〜)

・嘘をつくことについて(P120〜)

・怒りについて(P212〜)

といった性質は、今後も変わらぬ人の本性なんだろうね。

「もう一つの別の虚栄は、われわれが自分の価値についてあまりによすぎる意見を持つことである」(P61)

「深い喜びには愉快よりも深刻さがある。極度の、充分な満足には陽気よりも平静がある。幸福はわれわれを打ち砕く」(P138)

ほんとうそう、と一つ一つ納得する言葉が多い。

『エセー(五)』

「われわれの中には、純粋に肉体的なもの、純粋に精神的なものは何もない」(P192)

「運、不運は、私の考えでは、神の二つの力である。人間の知恵が運命の役割を果たしうると考えるのはあさはかである」(P284)

「行為は何か自由の輝きをもたないと、優美でもないし、名誉でもない」(P342)

「知恵ではなく、運命が人生が支配する」(P372)

など自分の中で咀嚼し、引用したくなる言葉が多数。

「人間性」をテーマに語られる言葉の一つ一つに生命を感じた。

『エセー(六)』

ついに全巻読破。今からおよそ500年前に書かれた本だから時事や用いられるたとえは「ピン!」と来ないものも多数。

だけれど、社会や政治、人間関係、健康など人間の活動における本質的な部分についての考察は、令和の今読んでも心に残る言葉が多かった。

以下意訳だけど、

「これから起こる不幸など予想するな。不幸を予想することが苦痛の元凶だ」(P91)

「自分が本当に聞くべきことを語るのは他ならぬ自分だ」(P136)

「人の言葉を聞く時は覚悟して聞け、それは決して甘くはない」(P142)

など自己考察における言葉は強く、印象に残った。

最後に

個人的に読書は実用。「教養を深めて」というよりは、自分の人生において知る必要があること、役に立つことを探し求めて本を読んでいます。

実際、読書をすることによってある考え方、ある情報を知ることによって、現実というリアルが大きく変わった経験をしたことが、あなたにもあるかもしれません。

この点『エセー』では、「人間とはなんぞや?」という、重要度が高い情報が得られる読書体験をすることができました。

正直読み飛ばした点も多数ありましたが、こと人間や社会に対する考察については、今も昔も本質は変わらず。我々が生きていくこの場所は人が集まり人によって作られている世界。

結局世の中とは何なのか?人間はどのような存在で、どのような問題を抱えているのか?じっくり考えたい方には、その疑問にアンサーしてくれる本となるでしょう。