こんな社長の会社は要注意!
高嶋健夫著『しくじる会社の法則』(日経プレミアシリーズ) の読書感想です。
この本について
長年記者として様々な会社を取材してきた著者が、伸びる会社潰れる会社の法則を述べている本。
ダメになる会社には法則あり。財務データでは見えない生き残る会社の見分け方をこの本でチェック。
以下、本書の読書メモです。
はじめに(P16)
社長は会社の鏡。社長を見れば会社の未来が分かる。
会社の規模に関わらず、それは鉄板。良きにしろ悪きにしろ、社長の人柄、人格、個性が、会社の運命を決めていく。
ダメな社長の特徴(P25)
高級スーツ、ロレックスを身に着けているのにメガネが汚い。靴が汚い。
そんな身だしなみに問題がある社長は要注意。心がけに問題があるので、会社でも何らかの問題を起こす可能性が高い。
もし社長が高級車を買い始めたら(P27)
社長がベンツなどの高級車を買い始めたら、それは要注意のサイン。
業績が良くなったからといって、すぐに外車を買うようになるような社長の未来は明るくない。
会社は事業では潰れない。会社が潰れるのは社長の見栄。だから浪費癖がある、見栄っ張りな社長はヤバイ。
社長の器量はココに出る(P32)
自分の気持ち、自分の考えやビジョンを自分の言葉で語れるかどうか。そこに社長の器量が現れる。
コンサルタントが使うような「借り物」の言葉ではなく、誠実かつ真摯に話ができる。そんな社長は信頼できる。
上手くいく会社=社長のキャラ(P47)
社長が明るい会社は雰囲気が良く、風通しが良いので、会社そのものが上手くいく。
社長が従業員とどのように接しているか、それによって会社の雰囲気がガラリと変わる。社長が従業員に気を遣い大切にしている会社は、必ず伸びる。
この会社はヤバイ鉄板の法則(P102)
自社ビルなど新築のオフィスを建てたり、本社が新しくなった会社は要注意。
本社そのものは何も利益を生まない。
にも関わらず、建物を新しくしたり、見栄のために賃料の高い場所にオフィスを借りるようになったら、何かがズレだした証拠。先行きは怪しい。
会社の素顔はコールセンターで分かる(P129)
コールセンターの対応=その会社の本当の素顔。コールセンターの対応が悪い会社は顧客をなんとも思っていない。
良い会社ほどコールセンターに力を入れており、そこでの対応、お客から得た情報を企業活動に生かす。
そのため、コールセンターの対応が良い会社は伸びる会社であり、逆にコールセンターの対応が悪く不誠実な会社は、先行き要注意。
同業者が語る危ない会社のチェックポイント(P151)
「こうなればヤバイ」という潰れる会社のポイント。
1・三期連続赤字続き。
2・総資産が残っていない。
3・借り入れを返済できない。借り入れはOK、大切なのは返済力。
4・元請けに頼りすぎている。どんなに取引歴が長くても、切られるときは一瞬。
5・身内でいさかいがある会社。会社が潰れる大きな理由は身内の造反、裏切り。
6・同族会社ならオーナーが株式の半分以上を持っていない。それが骨肉の争いを招く原因になる。
会社の評判を聞き出すコツ(P155)
自分の足で会社の評判を聞き出すコツ。
1・社員ウォッチング
→会社近くの定食屋、喫茶店など
2・タクシー
→最寄り駅からタクシーに乗り、「○○会社まで」と言う。ここで運転手が会社の場所を知っていれば「知名度あり」。車が動き出したら、運転手に「最近○○会社はどうですか?」と話を振る。これで情報が得られる場合がある。
3・会社の清掃員やガードマン
会社に着いたら、清掃員やガードマンなど、そこで働く人に話を聞く。
嫌な会社とは付き合わない(P181)
フリーランスへのアドバイス。どんなに長く、仲良く付き合っている担当者がいても、相手はサラリーマン。最後まで面倒は見てくれない。
また、担当者が変わってとんでもない嫌なヤツと付き合うことになる場合もある。中途半端に仲良くしてしまうと、後々困ることになるので、早いウチに手を打ち、関係をキレイに断つ。
基本的にパワハラ傾向のある会社、法規無視の傾向がある会社と仲良くしてもロクなことはない。自分の身を守るために、付き合う相手の人間性はきちんと見分けること。
企業のHPで分かること(P199)
会社のHP=会社の姿勢。
1・会社の電話番号はきちんと掲載されているか?
2・会社へのアクセスマップは分かりやすいか?
3・情報の更新頻度は適切か?
4・自社直販サイトがあるか?
5・公共機関や公益法人へのリンクを貼っているか?
などをチェックすることで、会社の姿勢が分かる。
感想など
「本社ビルを建てた会社はヤバイ」
「スーツは高級なのに靴やメガネが汚い社長の会社はヤバイ」
「社長が○○○を買ったらヤバイ」
など、ダメになる会社の経験則的な話が興味深い本。
結局、会社と言っても、それを動かしているのは人間。そして会社のトップ立つ社長もまた人間。人間がダメになってしまったら、当然会社もダメになってしまいます。
つまりは、ダメになってしまう会社を見分けたいならそこで働く「人」に注目すればいい、ということになります。
特に、会社のトップである社長の人間性は会社の命運を予測する重要ポイント。
本書では、「こんな社長の会社は伸びるけど、こんな社長の会社はヤバイです」という話が満載。
この本を読めば、どんな会社が大丈夫でどんな会社がヤバイのか、その傾向が分かります。
これから会社に就職する方は企業研究の一貫として、今会社で働いている人は、自社の未来を予想する材料として、読んでおいて損がない一冊です。