権力の世界はコワイ。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』の読書感想

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

外務省のノンキャリア組としてロシア外交に携わった元外交官、佐藤優さんの本『国家の罠』の読書感想です。

「鈴木宗男事件」で逮捕された背景、検察とのやりとりなど、権力闘争の一端が明快に書かれている本で、500ページ以上あるにも関わらず、集中力を切らさずに読むことができました。

鈴木宗男議員と佐藤外交官が、権力闘争に巻き込まれ失脚していく過程もさることながら、個人的に読んでいて印象に残ったのは、「嫉妬心」が政治や権力の世界を動かしているというところです。

本書では、「まっすぐな性格で、嫉妬心が薄いばかりに、人の嫉妬心に気が付かない。それが失脚の要因になった」という鈴木宗男議員の話があるのですが、これを読んで思い出したのが、権力闘争の根本は嫉妬であると論破した谷沢永一さんの『嫉妬する人、される人』。

私的な欲が少なく、自身の政治的信念を実現せんがため行動しているまっすぐな政治家であるが故、権力欲の強い、自己顕示欲の強い他の政治家の嫉妬心に気づかず、他者の嫉妬よって足を引っ張られていく鈴木議員。

そして、ノンキャリから能力で活躍していく佐藤元外交官と能力がないがゆえに自身の権力がゆらぐことを恐れる上司からの嫉妬を受ける佐藤元外交官。

「嫉妬」というキーワードで本書を読むと、権力の世界が良心や愛国心よりも人間の嫉妬心によって動かされているかが分かります。

生臭いダークな感情が渦巻く世界を垣間見た本でした。

本の購入はこちら 

コメント