たった一言が、その人の人生を変える!
野村克也著『言葉一つで、人は変わる』(詩想社)の読書感想です。
この本について
野球の野村克也監督が、言葉の持つ力について説いている本。
いかに言葉が人を変えるか、人を成長させるか。言葉力の大切さが実感できるメッセージが満載です。
以下、本書の読書メモです。
はじめに(P4)
人は言葉一つで変わる。言葉が人を動かす。
人の行動は頭脳と感情によって生まれる。感情が刺激されることで、頭脳を使い、行動に移される。行動が変われば結果も変わり、人は成長していく。
人の変化は感情を刺激されることから始まる。そして、感情を刺激できるのが言葉の力。だから、人は言葉によって心を動かされ、変わっていく。
進歩は変化である(P19)
今とは違う結果を目指す。それなら何かを変えなくてはいけない。
進歩とは変化すること。現状の自分を変えていき、それによって新しい何かを得る。この意味で、変化とは何かを失うのではなく、何かを得ること。
変化することに楽しみを持ち、勇気を持って挑戦していく。それができる者が、成長し、新しい結果を得ることができる。
人の評価は思い通りにならない(P26)
人は他者からの評価のなかで生きている。
私たちは「自分は自分をこういう人間で、これくらい評価されてしかるべきだ」と考えがちだが、現実問題、人は自分のことを、自分が考えるように評価はしていない。
早い話、自分とは全く考え方が違う人間に評価されて生きていると考えた方がいい。
人から評価されず不満を感じたときに大切なのは、「俺の良さが分からんアホどもが」とグチを言うのではなく、他者視点に立つこと。
評価する人は自分に何を望んでいるのか。評価を高めるためにはどうすればいいのか。それを考えた方が現実的に対処でき、自分の人生を主体的に切り拓くことができる。
感じる力=成長の力(P30)
人は日々の気づきから変化を起こし、成長していくことができる。そのきっかけが感じる力。
今のままではダメだ、このままでは良くない、もっと良い方法がある。そんな感じる力こそ、人を成長させるきっかけになる。
自分に問題意識を持てない者、感性ゼロの者は成長できない。
努力することを諦めない(P32)
努力は絶対に大事。努力は今すぐの結果にならないし、続けなければ意味がない。
しかし、地道な努力を続けていくこと、それによって確実に何かが変わっていく。努力することを放棄してはいけない。
失敗とは(P35)
失敗は成長のチャンス。人は失敗するからこそ、どうやれば良かったのかを反省し、考える。そうやって人は成長していく。
だから失敗したときに言い訳はいらない。間違ったことを認め、反省し、変えるべきことを変えていけばいい。
平凡なことを頑張る(P97)
人は地道な努力を嫌うが、地道な努力こそ平凡が非凡になる方法。
努力は即効性がなく、時間がかかる。しかし、努力を続けていればどこかで道が開ける。努力した分だけ結果はついてくる。
今できること、平凡なことをとことん続けていく。その努力は決して自分を裏切らない。
組織で生きるために(P110)
自分の代わりはいくらでもいる。これが組織の本質。
組織で生きるということは、誰でも代替可能な部品の一部になるということであり、「俺がいなければ」なんてことは通じない。
組織はいつでも自分を切る可能性がある。そのことを悟って自分を高め続けられるものが、上に立つことができる。
天才タイプと不器用タイプ(P126)
世の中には、物事の習得が早くサクサク習熟する天才タイプと、習熟に時間がかかる不器用タイプがいる。
天才タイプは何でも効率よくできるので、習熟は早いが、その才に自惚れ、地道な努力を怠ってしまう。そのため、ある段階で成長が止まってしまう。
一方で、不器用タイプは、物事の習熟に時間はかかるが、覚えたことを一つ一つものにしていく。頑張り続ければ、大器晩成、最後の最後には一廉の人間になれる。
出会いを大切にせよ(P144)
日本には1億人も人がいるが、その多くは決して関わることがない人々。
そのなかで出会った人々というのは、何かしら縁があったということ。どんな人と出会っても、必ず意味はある。
損得勘定など考えず、全ての出会いを意味のあることだと考えること。
感想など
もっと言葉の使い方に自覚的になろう、そう思える本。
普段発する何気ない一言がどれだけ無意識に影響を与えているか、周りにどんな印象を与えているか、そして人を変えるか。
この本を読んでそんなことを考えたのですが、それだけ言葉って、無意識に影響があるものだと思います。
例えば、周りにグジグジグネガティブな言葉を撒き散らす人がいたとして、そういう話を毎日聞いていれば、知らず知らず、思考もネガティブになって、気分も暗くなります。
そして、「俺はダメかもしれない」と弱気になりやすくなってしまいます。
でも、周りに言葉に意識的で、ポジティブで前向きな言葉を使う人がいれば、きっと気持ちも明るくなって、「俺もできるかもしれない」と前向きになりやすくなります。
そんな具合、良い言葉を使っていれば気分もいいですし、悪い言葉を使っていれば、気持ちも荒んできます。
結局人を殺すも生かすも、言葉掛け次第。
自分が使う言葉が人を生かしているのか。それとも人を殺しているのか。言葉について考えさせられた本でした。