『きちんとした日本語がいい人生をつくる』の読書感想 – 日本人だからこそ、知っておきたい母国語の話

きちんとした日本語がいい人生をつくる

良い言葉、正しい日本語を話そうとする意識が人生を変える。

難波菊次郎著『きちんとした日本語がいい人生をつくる』(PHP研究所)の読書感想です。

この本について

日本語と日本人、言葉が持つ力について考える一冊。

日本語が生まれた背景や、日本語と文化、言葉が持つ役割が、分かりやすくまとめられている本で、日本語とは何なのか、日本人の感性はどこから生まれるのか、言葉が持つ役割を考察していく内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

日本人と文字(P15)

日本人の祖先が日本列島に住み始めた頃は文字はなく、古代日本においては、記憶力の良い語り部に知識を口伝えで伝承させていく口伝文化が長く続いた。

その後、中国から漢字が輸入され、使用されてきたが、日本人は独自のかな文字を発明、漢字とかなを組み合わせる独自の言語文化を築く。これが、日本人の言語力を飛躍させる力になった。

日本人と外国語(P22)

日本人は、外国から輸入したものを、日本独自のものに変えていく。

中国から輸入した漢字をはじめ、オランダ語、英語も、ただ受動的に取り入れるのではなく、日本人式の用途に変えて、使いこなしていく。このような外国語への柔軟性が、日本語が進歩するきっかけになっている。

日本語と欧米語の違い(P27)

英語などの欧米語は、論理に向いた言語で、言葉の定義が明確なのが特徴。

その理由は、西欧の歴史にある。西欧社会は複数の民族が暮らし、侵略と略奪、争いの連続で発達した社会。そのなかで、言葉も1つの武器として発達してきた。

一方、日本は、単一民族が暮らす土地で、人々は価値観と感性を共有してきた。争いが苦手で、論理よりも情操を重んじる感性が日本語独特のあいまいさを生んだ

子どもが言葉を身につける過程(P50)

幼児は、良心や家族が話す言葉を聞いて言葉を覚える。入力される日本語が、幼児の脳に日本語の回路を作り、思考を形成する。

言語脳は、最初に音や発音を認識して、それから言葉に置き換える。言葉によって概念が形成され、その概念から思考が生まれる。

思考停止=脳の死(P54)

雑誌や新聞、テレビで言われていることを、自分の判断なしに無条件で受け入れることは思考停止であり、それは脳が考えることを拒否している状態。

このような状況が続けば、脳は考える力を失い、自分で物事を判断できなくなってしまう「脳死」状態になってしまう。

「信じる者は救われる」は危険な状態で、世間やメディアで言われていることを鵜呑みにせず、自分で考え判断する、思考の柔軟性を保つことが大切。

何事も自分の頭で考えること。人から「絶対の真理」を求めない。

言葉の役割(P60)

人は、言葉によって抽象的な概念を理解する。言葉で理解できた概念を組み合わせ、内面世界や価値観を作り出していく。向上心や自己内省は言葉あってのもの。言葉があるから、人は人生に生きがいや思想を生み出し、苦しいときも生きていくことができる。

最高の情報源は読書(P80)

読書は、自分のペースで場所を選ばず、興味関心に応じて、柔軟に情報を吸収することができる知の獲得源。本を読むことは、優れた情報吸収術。

母国語を疎かにすることの危険性(P89)

近年、日本では早期英語教育が盛んで、母国語の日本語より、英語を優先される風潮がある。

しかし、早期の外国語教育は幼児にとってリスクがあり、幼児の日本語と英語の概念の区別があやふやになってしまうリスクがある。

我々日本人は母語である日本語を優先し、自国の言語や文化を大切にすることが重要。それが、国際人として必要な「常識」。

フィンランドの教育と日本の教育(P119)

日本の教育は、中央の官僚による統制が厳しく、学校や教師の裁量で教育ができない。一方、フィンランドでは、中央からの干渉は最低限、実際の教育は、現場裁量が比較的自由。

西欧の考え方は日本の考え方と違う(P179)

西欧の科学は、人が物事を「統制」することであり、西欧人は自然を管理、コントロールできると考える。日本では、自然は共生するものであり、管理やコントロールするという発想ではない。

「共生」は日本人の感性であり、日本人は争いを好まず、和を尊ぶ。おすそ分けの習慣は、周囲の人と共生していく日本人の姿勢。飾らず、周りと和気あいあい、共生していくのが日本人の価値観。

感想など

「日本人が持つ価値観や生き方の模範は日本語にある」と感じた本でした。

日本人は、周囲と溶け込み、周りと足並みを揃え、周囲の人の感情を察知つつ、生きていきます。このような行動背景の根本には、日本語があって、日本語があるからこそ。

明確で論理的、自己主張する欧米人とは違う、日本人ならではの価値観が生まれるのは日本語があるからです。

言葉によって、人は世界を理解するための概念を理解して、考え方や価値観を作っていきます。私達日本人にとって、日本語は世界を理解するための入り口であり、ツールです。

この本を読んで、もっと日本語を勉強したと思いました。

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