あのおっさんが偉そうな理由。『他人をバカにしたがる男たち』の読書感想

他人をバカにしたがる男たち (日経プレミアシリーズ)

なぜ人は老害化してしまうのか?

河合薫著『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)の読書感想です。

この本について

「SOC」(Sense of Coherence)というキーワードで老害化する人たちの特徴を明らかにした上で、老害化しないためにはどうすればいいのかを提案している本。

この本を読めば、なぜ身近なあの人が偉そうで迷惑なのか、その理由が分かるかも。

以下、本書の読書メモです。

はじめに(P3)

優秀なミドル層の転職、女性が活躍できない社会、正規と非正規の賃金格差。これらの元凶は全て「ジジイの壁」にあり。

「ジジイの壁」とは年齢的や性別を指すのではなく、「常に自分の保身のことだけを考えている人」の象徴のこと。

組織で権力を持ち、自分の利益や保身のために権力を振るう。

そのような人たちが「ジジイの壁」であり、組織のガンであり、組織をより良くしようとする人たちにとっての敵。

ジジイ化を防ぐために(P15)

ジジイ化を防ぐカギはSOCにあり。SOCとは自分の人生を自分でつじつま合わせができる、「首尾一貫した感覚」のこと。

他人がどうだろうが、社会がどうだろうが、自分のなかでカッコたる基準や感覚を持っている。

だからこそ、ジジイ化して他人をディスったり、嫉妬で誰かを貶めたりすることなく、自分の人生を誇りを持って生きていくことができる。

なぜエリートが挫折しやすいのか(P34)

ジジイ化しやすい人の特徴は、小さい頃から勉強ができ、学歴社会で成功してきたいわゆるエリート。

彼らは幼い頃から親の期待に答え、勉強に励み、それによって常に人生で勝者となってきた。

しかし、上へ行けばいくほど、周りには自分と同じような勝者がたくさん集う。そのため、彼らも人生のどこかで必ず、敗北を経験することになる。

そのとき彼らは敗北を認めることができず、「なぜ俺がこんな待遇を受けなければいけないんだ」と不満を募らせジジイ化。

最終的には過去の栄光を盾に、他人に害をなす存在と成り果てていく。

老害になる人、いつまでも慕われる人(P58)

ミドル世代になり、老害化してしまう人と、いつまでも周りから慕われ尊敬される人の違いは、いつまでも自分の可能性を信じられるかどうか。

人は40を超えてくると、「自分の能力はこんなもんだ、これからの自分の未来はこんなもんだ」と先を見てしまい、自らの人生を制限してしまう人が多い。

その場合はこれ以上自分の成長を信じることができず、気持ちは保身に傾き、老害化しやすい。

一方、何歳になっても自分の人生の可能性を信じ、自らの成長を信じることができる人は、いつまでも若く元気で、進化していくことができる。

だから老害化とは無縁であり、周囲からも魅力的な人として尊敬される。

成長する思考態度と固定された成長態度(P60)

老害化しない人は、常に「学びたい」という成長志向を持っており、自分の人生を常に変化していく過程だと考えている。

そのため、今人生がダメだろうが、上手く言っていようが、それらは全て過程であり、人生のその時々、柔軟に考えて対応していくことができる。

一方、老害化してしまう人は、自らの人生に対して固定化した思考を持っている。

それがゆえに、今の結果に執着し、自分にとって都合の悪いことには目を背け、自分をよく見せるために他者を蹴落とす老害と成り果ててしまう。

早死する社員と長生きする社員(P71)

会社ではトップより平社員の方が寿命が短い。その原因は平社員が常に他人に動かされる存在だから。

トップは自分で物事を決めることができるが、平社員は自分で考え行動することを許されていない。

おまけに、自分の仕事の評価も第三者によって決められる。自分の頑張りが適切に評価されないストレスを味わい続ける。これが良くない。

人生の危機(P108)

男の人生の危機は40代にやって来る。

人は、20代30代、世の中で自分の居場所を探し、その後40代になると、今度は自分が何のために生きているのか、人生の根源的な問題と直面することになる。

肉体的精神的に不安定な状態になり、思春期の頃のように、再度人生の意味を探し始める。

ここで自分の弱さや不甲斐なさ、不安と正面から向き合うことができれば危機を成長につなげることができる。

正義マンが危険な理由(P129)

正論や建前を振りかざし人を糾弾する正義マンが有害なのは、彼らの行動の根本が嫉妬だから。

彼らは、「自分は正しい存在だから、自分の意見は尊重されるべきだ」と考えているが、現実には自分は自分が思っているほどには周囲から尊重されていない。

そのため、尊重されている人が憎らしいく、嫉妬心を抱いている。そこで、正論を盾にして、相手を糾弾して引き下ろす。これらは全て嫉妬であり、自分のため。

誰もが反対できない正義や大義名分を盾にして誰かを糾弾する人間は決して信用してはいけない理由はここにある。

本物のSOCとは(P191)

人生を生きていく上で大切なのはSOC力=自分の人生を上手くつじつま合わせできる感覚。

自己を持つことも大切だけれど、自己中心になってはいけない。人生で経験する色んな出来事をあるがままに受け止め、そのときそのときに応じて、柔軟に対応していく力を持つ。

人生に対する柔軟性こそがSOCであり、本当の生きる力となる。

感想など

読後、暴言を吐くおっさん、ネチネチ迷惑なお局のおばさんの心理が分かる本。

なるほど、人はこういうことが原因で老害化し、自分だけでなく、他人にまで害をなす存在になってしまうのかと、読んでいてあまり気分はスッキリしません。

ただ、人は皆年をとります。そして、常に人生に希望を抱けるわけではありません。ときには絶望し、人生にうんざりすることもあるでしょう。

そこで本書が提案するのがSOCなのですが、結局老害化しないために大切なのは人生態度。この本を読めば人生への考え方が重要なのがよく分かります。

個人的には自分が老害化しないための自戒としてこの本を読みましたが、老害化してしまう人の心理背景を理解しておけば、身近なところでも、「イラッ」とする機会は減るかもしれません。

この意味で、知ることって、本当に大事だなと思います。

身近なところで偉そうなおっさんの態度にイライラしている方、上司がなんでもNGマン(部下の提案を全スルー)の方、「うちの会社は老害だらけだ」という方は、彼らへの理解を深める一貫として本書が役に立つかもしれません。

ただ、老害化した人への対処法は書かれていないので、その点はあしからず。

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