これくらいの幸せなら、実はお金で買うことができる。
藤原和博著『中くらいの幸せはお金で買える』(筑摩書房)の読書感想です。
この本について
「お金で全ての幸せは買えないけれどこの程度の幸せは買えますよ、その具体的な方法はこうですよ」という本。
お金という現実と向き合い、いかにお金を幸せに役立てていくか。人生を豊かにするヒントが満載の内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
なぜ日本人は幸せを感じられないのか(P11)
日本の問題点はモノにしか価値が認められないこと。家の中にモノが増えていく。それが幸せや満足感につながっていくと勘違いしているところ。
お金の使い方が分かっていないので、お金を幸せになるために使うことができない。
幸せの種類(P13)
幸せには、
1・大きな幸せ
→自分の夢を実現したときに得られるような、大きな喜び
2・中くらいの幸せ
→お金を使うことで増幅できる幸せ
3・小さな幸せ
→日々の何気ないことに感じる幸せ
の3種類がある。
大きな幸せや小さな幸せはお金は関係ないが、中くらいの幸せは、自分のお金の使い方次第でどんどん人生を豊かにすることができる。
お金の皮肉(P21)
巨富を持つ人は幸せになれない。何でもお金で買えるようになった時点で、欲しいものがなくなってしまう。これが人生の皮肉。
「お金はあればあるほどいい」と思ってしまうが、実際にはお金はあっても幸せいなれない。持ってしまったがゆえの不幸がこの世のにはある。
だから実際は、ある程度お金に不満を感じている方がいい。
金銭的な限界があるからこそ、良い知恵が出て、頭が柔らかくなる。いろいろ工夫のしがいもあり、人とつながりやすくなる。
体験を買う(P78)
人生の豊かさは人とのつながりであり会話。人と顔を合わせたときどんな話ができるか。そこが人生の豊かさにつながってくる。
相手にきちんとした印象を残すためには、人生でいろんなことを体験することが必要。
そこで、人がしない体験をすること、旅行をすること、面白い趣味に夢中になることなど、体験にお金を使う。
特に、誰もしていないことを体験していると、それだけで話のネタができて、「こいつは面白い」と思ってもらいやすくなる。
すると、人間関係という資産がどんどん増え、人生が豊かになっていく。
外注という発想(P105)
つまるところ時間はお金以上に大切なもの。
お金を失くさないように節約していくことは重要だが、面倒なことや時間を節約したいことにお金を払うことで、時間を買うことができる。
掃除やクリーニング、通勤など、時間を節約できるお金の遣い方ができると、時間に余裕ができて、人生がもっと豊かになる。
何を外注して何を自分でするか。そこが人生の美学となる。
収入差は希少性の差(P117)
世の中にはいろんな仕事があって収入の差がある。なぜ仕事によって収入の差があるのかというと、それは希少性の差。
みんなできることより限られた人しかできない仕事は収入が高い。みんなできる仕事は代わりがいくらでもいるので、収入は低い。
これが世の中のルール。
もし稼げる人になりたければ、世の中のニーズがあり、かつ自分しかできない仕事を模索する。
通勤時間を節約する(P126)
働き盛りのときほど、仕事場の近くに住む。
通勤時間で人生をすり減らすのはとても損。時間をお金で買って、大切な時間を失わないようにする。
感想など
お金の遣い方を考えてしまう本。
本書に書かれている通り、お金で全ての幸せを買うことはできないけれど、ある程度の幸せは買うことができる、それは本当にそうだなと。
お金とは不思議なもので、お金がないときは、「お金さえあれば」ということを考えるわけですが、実際収入が増えてお金が増えると、ある程度は満足できます。
ところが、収入が増えてお金の自由度が増えていっても、それで致命的に人生で何かが変わるわけではありません。
むしろ、手持ちのお金が増えるほど、その遣い方次第で幸せにも不幸にもなれる。そんな不思議なところがあります。
(※お金が増えれば強制的に持って行かれるお金も増えます)
だから、お金と幸せを考えるなら収入を増やす云々は大切かもしれませんが、本書に書かれている通り、お金の遣い方が肝心なのかな、と。
モノではなく体験を買うとか、時間を買うとか、確かにそういうお金の遣い方って、大切だと思います。
モノを買っても確かにそのときはいいですが、モノを所有する喜びは本当に儚いです。
ということで、何が自分にとって本当に良いお金の遣い方になるのか、じっくり考えるきっかけになった本でした。