『本を読む人だけが手にするもの』の読書感想 – 「みんな一緒」の時代は終わった、ということは

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本を読む人だけが手にするもの

幸せのテンプレは見つからない、だからこそ。

藤原和博著『本を読む人だけが手にするもの』(日本実業出版社)の読書感想です。

この本について

東京都杉並区立和田中学校で民間人校長として活躍した藤原和博さんの読書論。

なぜ今の時代に本を読むことが必要なのか、本を読むことで人生がどうなるのか、読書の価値、必要性を分かりやすく理解できる内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

なぜ読書が必要なのか?(P15)

なぜ今の時代にこそ読書が必要なのか、それを考える時、真っ先に必要なのは、正しい時代認識。

20世紀は価値観が均一、みんな一緒の「成長社会」の時代だった。パターン化された、テンプレ的な幸せ(共同幻想)があった。

21世紀の今は、人それぞれの「成熟型社会」。皆それぞれ、自分の人生、幸せを個別に見つけていく必要がある時代になった。

そこにはもはやみんな一緒の幸せはなく、「こうすれば幸せになれる」というようなテンプレ的な幸せはない。

21世紀は人それぞれが自分自身の幸福論を見つけていく時代

だからこそ、私たち一人一人が自分の価値観を育み、幸せをつかむための教養を自分で獲得する必要がある。そのために、読書が必要。

本を読む人と読まない人(P27)

これからの日本は、富や権力による階級社会ではなく、本を読む人と読まない人による階層社会がやってくる。

読書をしないと、深い思考力が身につかず、自分なりの意見、考え方を身につけることができない。

そのため、本を読んで自分なりの考え方を持つ人と持たない人、その差が出てくる時代になる。

まずは300冊を目指す(P125)

量は質に転化する。

読書は文字のシャワーを浴びること。本を読んでいると、自分の中から言葉が溢れ出す。自分で何かを語りたくなる。本を読み続けていると、何かが変わっていく。

そこに到達するため、読書もまず300冊を目指す。

「成長社会」から「成熟社会」への転換(P134)

20世紀の「成長社会」は「みんな一緒」の感覚が強い社会であり、価値観、「こうすれば幸せになれる」という幸福論が人々の間で共有されていた

教育も、正しい答えを見つけるための情報処理力が重視される時代だった。受験に代表されるような、自分で考えるよりも、知識重視、暗記重視の勉強が大切だった。

一方、21世紀になって時代は「成熟社会」へ変化。「それぞれ一人一人」の感覚が強い時代になり、人それぞれ、単一の価値観、幸福論を共有できにくい時代になった。

自分の答えは自分で見つけていく、それが成熟社会であり、そのために、情報を集めて、それを編集、自分なりに納得できる答えを見つける力が大切になった。

人が一皮むけるためには(P167)

強いショック、衝撃的な経験をすると、人は一皮むける。極限状態を経験、生き抜くことによって、人の価値観は一変してしまう。

良い本を探そうとしない(P180)

読書は数勝負。「良い本」だけを読もうとしない。

本に「良い」「悪い」を判断する客観的な基準はない。だからこそ、たくさんの本を読んで、読書経験を積んでいく。

読書に効率を求めない。

人生における素晴らしい出会いを効率的に設定できないように、人生を変える素晴らしい本との出会いも効率的に設定できない

だからこそ、読書は数勝負の乱読でOK。

子どもの教育に大切なこと(P191)

子どもに勉強させたい、本を読ませたいと思ったら、大人がまずその姿勢を示すこと。

子どもは大人の姿を見て成長する。大人の学ぶ姿が、子どもにとって一番の教材になる。

感想など

「成長社会」と「成熟社会」というキーワードで、なぜ読書が必要なのか、分かりやすく理解できる本。

時代は変わり、みんな一緒の共同幻想から人それぞれの個の時代へ。あの人と私の人生は違う、だから当然、価値観や幸せも違う。

そんな時代に大切なのは、「私はこれを大切にする」「私はこれに幸せを感じる」という自分の価値観。それを育てていくためには読書が大切。

要約するとこのような感じですが、本当にそうだと思います。

本を読むことで、「世の中にはこんな考え方があるんだ」ということに気がつきます。そして、「この考え方はちょっと違うと思う」というもの、「これはその通りだと思う」というもの、しっくりくる考え方、そうでない考え方が出てきます。

そんな具合、読書を続けていると、「私はこうしたい!」「これが大切!」という感覚が生まれてきます。これが自分の幸せ、価値観を育む過程なのかもしれません。

今の時代は「こうすれば幸せになれる」というテンプレ的な幸福がなくなってしまって、人それぞれ状況が違う時代

だからこそ、「私の状況はこう、だからこの中で幸せを見つけるにはどうすればいいのか?」という、自分で自分の在り方を考えていくことが大切だと思います。

答えがない時代だからこそ、自分で答えを作っていく。読書をすることは、そのための第一歩。

「自分自身、納得した答えを見つけるため、本を読み続けたい!」

そんな気持ちになった本でした。

本はこちら

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