食っていくために、特別な才能はいらない。
藤原和博著『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(東洋経済)の読書感想です。
『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』について
4つのタイプをベースに、これからの働き方(=生き方)を説いている本。
大切なのは自分を知り、自分に合う働き方を見つけること。では具体的にどんな働き方があって、どんな生き方ができるのか。
興味が湧いた方には、特におすすめできる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
働きがいの基準(P5)
仕事はお金のためでもあるが、それだけではない。大切なのは仕事をすることで人生そのものが豊かになること。
そこで大切なのが、1)経済的価値、2)経済以外の価値という、2つの尺度を持つこと。
経済的価値とはずばりお金であり、お金という基盤があってこそ、人生を謳歌できる現実がある。
もう一方、お金以外の価値、例えば人間関係や時間の豊かさなどは、人生を豊かにするためにとても重要。
大切なのは経済的価値+それ以外の価値を、並立して高めていく働き方(=生き方)を模索していくこと。
つまり、生きるためのバランス感覚を保つことが重要。
4つの働き方(P41)
人には個性があり、仕事や働き方にも、向き不向きがある。大切なのは、自分の素養に合う働き方を選ぶこと。
そのために知っておきたいのが次の4つの働き方。
1・経済的価値を重視し、かつ権力志向がある社長タイプ
2・経済的価値を重視するが、自分の技術にプロ的な誇りを持つ自営業タイプ
3・経済以外の価値を重視するが、権力を志向する公務員タイプ
4・経済以外の価値を重視するが、自分の専門領域に特化したい学者タイプ
自分がそのうちどのタイプに当てはまるのかを知り、それを選び、無理のない働き方をしていくこと。
本を読む人 本を読まない人(P52)
これからの時代は、本を読む人とそうでない人の間に致命的な大きな差が広がる。
なぜなら、本を読まない人は、自分の限られた一次情報でしか、物事を語れないし、考えることができないから。
本を読むということは情報を入手するだけでなく、多様な人の考え方、発想を自分の中に取り込むこと。
ネットやテレビを使えば情報は入手できるが、それはあくまで断片的なもので、体系的、重層的に自分の内側に取り入れることが難しい。
だからこそ、本を読むことが大切。一次情報だけでなく、人の経験や発想がある人をもとに、幅広い視点で物事を考えることができる。
作業と仕事の違い(P67)
人から与えられるもの=作業。自分からするもの=仕事。
これからの世の中で活躍し、豊かな生活できるのは、他の人に替えがきかない希少価値が高い人。
希少価値が高い人になるためには、作業をしていてはだめ。自分から積極的に仕事をし、自分にしかできない、持てないスキルを価値を生み出す。
そのためには、仕事に対して根本的なマインドを変えていく必要がある。
組織で上に行ける人(P104)
組織で出世し、最後まで生き残る人の特徴は、大胆な成功をおさめる人というよりはむしろ、大きな失敗をしない人。
つまり、勝負せず、最後まで失敗をしない人が、組織では出世し、リーダーになれる。
もし会社で出世し生き残りたければ、なにかに挑戦して目立つような失敗をしないことに全力を注ぐ。
しかし、そういう人がトップになれば、会社はだめになっていく。
サラリーマンにとっての最大のリスク(P107)
サラリーマンは組織マン。つまり必ず上に上司がおり、この上司こそがサラリーマンにとって、最大のリスクとなる。
上司と折り合いが悪く、関係が悪化してしまえばそこで終わり。逃げることができない。とくにそれは、出世すればするほど、顕著になる。
出世すれば競争相手が少なくなる一方、上司の数も少なくなっていく。
それまで、上司に可愛がられて上にいけても、新しい上司と馬が合わなければ、努力しても関係がうまくいかず、詰む可能性が高い。
会社で生き残る処世術(P109)
会社の業績がどうであれ、絶対に生き残る人になる方法は、「この仕事はこの人しかできない」「いてもらわなければ困る」といった、希少な価値を持つ人になること。
そのために、業務を独占して自分にしかできない仕組みを作ったり、大口顧客を抱えたりして、「こいつをクビにしたら我が社は損をする」と上から思われる人を目指すこと。
自営業タイプのおすすめポイント(P125)
経済的価値を重視し、そして自分の仕事にプロ意識を持つ自営業タイプ。
このタイプの人に大切なのは、いかに自分が良いパフォーマンスをできる環境を手にすることができるか、その点に最大限の注意を払うことが大切。
なぜならこのタイプの人は誰からも守ってもらえない。最終的には自分で自分を守るしかないので、常に自分の力をのびのびと発揮できることが重要。
そのために、環境への意識を持つことはとても大切。
どんな人と一緒にいればのびやかになれるか。どんな場所なら快適に仕事ができるか。自分にとって心地良い人。エネルギーが満ちる環境。
そういったものに、意識を払うこと。
1万時間の法則(P128)
何かの分野でプロになりたければ、その分野に1万時間の努力を投資すること。
芸術やスポーツなどの才能が関わる分野においては、環境(親の姿勢や体格)などの要素が必須条件となる。
しかし、特別な才能がなくても、1万時間投資すれば1流になれる分野はたくさんある。「これだ!」と思った道は、1万時間頑張ること。
男が注意すべきこと(P165)
男が人生をダメにするお約束が、お金と女。特に、出世願望や、有名になりたい願望があるなら、お金と女は絶対に注意すること。
後ろめたいことはせず、将来何を掘り起こされても大丈夫なように、身ぎれいにしておくこと。
結婚はするべきか(P205)
経済的価値を重視せず、かつ自分の好きなこと。専門分野に特化して生きていきたい人。こういう人こそ、さっさと結婚するべき。
二馬力になって経済的な土台ができれば、仕事にも打ち込める。お金のことを考えず、仕事に集中できる。
特に、公務員など、堅い仕事をしている相手がベター。ご縁があれば、さっさと結婚するのが良い。
感想など
働き方、生き方について、分かりやすく理解できる一方、自分の進路を考える上でのヒントをもらえる本。
自分がどんな働き方をすれば幸せになれるのか。お金?それ以外?こうして本書を読みながら、いろいろ考えていくと、あれやこれ、いろんな発想が浮かびます。
これこそがまさに読書の楽しさで、ネットやテレビでは味わえない本。
まるで著者が目の前で講義をしているような躍動感やリアリティがある本で、これからの生き方を考えたい方。どんな働き方をすれば満足できるのかを考えている方。
そういった方には、特に一読をおすすめしたい本です。
ようは、自分の頭の中に、働き方のアウトラインを持つようなもので、この発想があるとないとでは、歩む道に大きな違いが出てきます。
ということで、個人的にも何度も読み返したいと思う素晴らしい本でした。
人生は一度きり。どうせなら、心から「自分の道はこれでいいんだ」と思える生き方をしたいものです。