女同士の争いは男同士よりもコワイ?
菅佐和子、小坂和子、服部孝子、河原省吾、高石浩一共著『彼女がイジワルなのはなぜ? – 女どうしのトラブルを心理学で分析!』(とびら社)の読書感想です。
この本について
職場の同僚OL同士、母と娘、舅と姑など、女性同士のトラブルを心の専門家が分析した本。
「娘とは仲が良かったのに、娘が私を嫌うようになった・・・」と嘆く母親と娘の関係。
「苦しいとき助けてくれた叔母さんが、私が幸せになったとたん態度が変わってしまった・・・」と不信感を感じる叔母と姪の関係。
女性同士のトラブルを、心の専門家である臨床心理士が分析。女性の複雑な心について考える内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
友人関係の発達(P13)
友人関係を作る土台となるのは幼児期。しっかりと安定した母子関係を土台にし、こどもは同年齢のこどもたちの輪に入っていく。
その後、こどもは集団での人間関係を通じ、争いやトラブル、陰口など、人間関係で上手くやる方法を学んでいく。
思春期に入ると、仲間集団が細分化され、より深い、より親密な関係を求めるようになる。
人間関係の難しさ(P21)
人間関係のなかには、こちらに悪気がなくても、相手よりも人生が上手くいっているというだけで、相手を無自覚に傷つけてしまい、それによって代償を支払うハメになるようなケースがある。
人間関係は無神経にならず、相手とこちら、距離感や上下の立ち位置を認識、不用心な態度は慎む。
状況が良くなると人間関係が変わる(P27)
人生が上手くいかず、トラブル続きだったのが一転、人生が成功し出すと、それまで仲良くしてくれた人たちが離れていくことがよくある。
それまで上手くいっていた関係が、こちらの成功をよく思わない相手の嫉妬によってしっくりいかなくなるのはある意味テンプレ。状況が変わる=付き合う人間関係が変わるサイン。
意識と無意識の相補関係(P70)
人間には、表で現れている意識の部分と、表には現れない、無意識の部分がある。
意識と無意識は互いを補い合う関係であり、それが人間関係にも投影される。自分が普段抑圧している自分のイヤな部分を他人の中から見出し、それに嫌悪する。
中年期について(P83)
中年期は体だけでなく、家庭や社会など、あらゆる場面で変化を経験しなければならない時期。
何かを「失う」機会の多い時期であり、老年への転換期として、心理的にも重要な時期。
中年期で、これまでの人生を振り返り、人生を見つめなおし、また新しい世界を見つけていくことが、中年期の危機を乗り越えるカギになる。
本当に良い指摘とは(P117)
人からの指摘は、意味があるもの、非建設的なものまで様々。
本当に意味のある指摘は、自分の意見を押しつけるようなものではなく、問題解決のための力になる意見のこと。
人は自分が扱われているように人を扱う(P138)
人への接し方を見れば、その人がどう扱われているかがわかる。
人は自分が扱われたように人を扱う。モノ扱いされている人は、人をモノのように扱う。人間として扱われている人は、人を人間として扱う。
ユングのシャドウ(影)について(P248)
人は、自分が抑圧してきたもの、自分のなかにあって見てこようとはしなかった姿を他人に投影する。
それは自分自身のシャドウ(影)で、「ムカつく人」や「イヤな奴」などの他人の姿を借りて登場する。
身近に、どうしようもなく気に食わない人や、苦手な人間がいるとすれば、それは自分自身の影なのかもしれない。
感想など
相談者の悩み→臨床心理士による分析&解説といった構成の本。
扱うテーマは嫉妬や妬み、不幸などドロドロした内容が多く、読んでいて爽快な気持ちにはなれません。
とはいえ、人間のダークな心理的な部分は男女関係なく誰もが胸の奥に秘めているもの。
人の悪口を言ったり、足を引っ張ったりする人には、それなりの理由があって、根本には感情的な問題があるのかも。
人間の心は、いろいろ難しいですね。
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