『陰翳礼讃』の読書感想 – 日本人ならではの美意識を探る

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陰翳礼讃 (中公文庫)

日本人ならではの美的感覚を考察。

谷崎潤一郎著『陰翳礼讃』(中央文庫)の読書感想です。

この本について

『痴人の愛』や『細雪』などで知られる日本の文豪、谷崎潤一郎の日本の美的感覚を論じた本。

西洋式の洋式トイレと日本式の和風トイレを比較して、日本独自の美的感覚を論じたり、西洋美人と日本美人を云々してその美的な違いを考えて日本人ならではの感覚とは何なのかを論じた、読み応えのある本となっています。

感想など

二度目の再読。

日本の陰影ある独特の美意識や感覚を論じた本で、夜の帳や暗い灯りのもとでの生活、かつての日本人の暮らしでは、陰影が生活に美しい彩りを添え、それが日本人の美的感覚を育ててきたことが分かる、読んでいるとなつかしい気持ちにさせられる本です。

田舎の古い家々が並ぶ町並み、夕方になるとそこにオレンジの電灯の光がつき、真っ暗な町並みとオレンジの色が暗い夜空に映え渡る、子どもの頃そんな景色を見たことがありますが、子ども心に「キレイだな」としみじみしたものです。

「このキレイだ」という感覚は、西欧の日本人には明るすぎる白亜の家々を見たときの感覚とは違って、もう少しぼやけた感覚が入り混じった不思議な気持ちだったのですが、それを言語化することができませんでした。

この本を読むと、モヤモヤとしたものが、「そうなんだ!」と分かって、日本人の感覚の独特さ、日本文化の根源になっている美的感覚について、理解を深めることができます。

でも面白いのは、繊細で独特な美的感覚を持っている日本人が、ある部分では全く無頓着なところ。

この本では、谷崎潤一郎が「電車のトイレのドアを閉めなかったり、水を流さなかったりする配慮のなさは不思議だ」(P182)と書かれており、「昔の日本人もそんなところがあったのか」と不思議な気持ちにさせられます。

日本人は昔も今も、複雑な民族なのかもしれませんね。

本はこちら

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