学校で一生懸命を勉強を頑張って大学へ行き、どこかの会社で就職して、そこで働いてお金を稼いでいきていく。
それが当たり前の生き方で、世間のスタンダードかもしれませんが、世の中には本当にいろんな生き方がある。
そのことを教えてくれるのがこの本。ジェイムズ・リーバンクス著『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』(早川書房)です。
この本について
本書はオックスフォード大学卒(イギリスの超名門大学)でありながら羊飼いとして暮らしている著者が自らの人生と、羊飼いの暮らしを語っている本。
先祖代々、羊飼いの家系に生まれた著者は、普通に羊飼いとして暮らしていこうと考えていたものの、ひょんなことから勉強にハマって名門オックスフォード大学に合格。
しかし中流階級になる道を選ばずに、羊飼いとして生きることを選択。
具体的に現代で羊飼いたちがどのような暮らしをしているのか。先祖代々続いている伝統的な暮らしを、この本で伝えています。
羊飼いという伝統的な仕事をして生活の糧を得て生きていく。昔ながらの生き方をこの現代という時代で引き継いたこと。
そこから私たちは、働くこととは何なのか。生きることとは何なのか。本当に、学校に行き学歴を手に入れて就職。生きていくことだけが生きる道なのか。
羊飼いの暮らしを見つめることによって、その疑問を深く考えるようになります。
感想など
すべてを棄てて、どこか遠くへ行き、羊でも飼って静かに暮らしたい。
20代の頃はそんな隠遁願望があって、朝起きて夜遅くまで働く。それを週5~6続けて生きていく。
そういう生き方に疑問をずっと感じていました。
その結果、組織では働かずに一人で仕事をして食っていく人生を選択したわけですが、本書を見つけたときは驚くほど胸がワクワク。
が、実際本書で羊飼いの暮らしを知ると、自分の考えていたことなんて、本当に甘かったな、と。
結局働くこととはいわば、人生の一部であり、スタイル。都会での暮らしも、羊飼いの暮らしも、結局は生きていくことの一部。
形は違えど結局は、何かをして真剣に生きていかなくてはいけない。本書を読めばまさに、そのことを実感させられます。
形はどうであれ、自分自身で「これが自分の生き方である」という答えを見つけなければならない。
つまり何を仕事のするのか。それは結局、人生を生きる覚悟なのかもしれません。