よくよく考えれば、人生長く生きればいいってもんじゃない。
松原惇子著『長生き地獄』(SB新書)の読書感想です。
この本について
「長生きすることは幸せなこと」という価値観に一石を投じる本。
この本では、高齢会社会を迎えるなか、長生きすることでどのような問題がのしかかってくるのか、具体的な現実を次々と明らかにしていきます。
本書で問題提起されているなかで特に印象的だったのは延命治療。
問題は根治しないけれど、ただただ生かすためにだけに延命治療を行う。それが果たして本当に良いことなのか。真剣に考える価値がある問題だと思います。
個人的には、本書で紹介されているオランダの終末医療の考え方(P80)にはとても納得。
もともと人生50年。ただ長く生きればいいというものではないというのは、本当にそうだな、と。
それと老人ホームの話(P112)も怖いですね。
人生最後の住処として老人ホームに入り、
ニュースでも老人の虐待の話とかもよくありますし、サービスを受ける側も、サービスを提供する側も、いろいろ難しい問題があるみたいですね。
人は絶対年を取っていく
人は生きていく限り老いからは逃げることができません。それならほどほどの年齢で、寿命を迎える方が自然ではないか。
体が不自由になってしまって自分では何一つできなくなる。そう考えると、単純に長生き=幸せと考えていいものなのか、悩んでしまいます。
それなら、体の自由がきき、意識も思考もしっかりしているうちにぽっくり逝ける。そんなあの世へ行く方が、人生の質的には、満足できるのではないか。
そんな感じで、年を取ることについて、老後の人生について、「こんな現実がある」ということが分かった本でした。
30代40代、まだまだ「若い」というときにこそ、読んでおいて損がない本だと思います。