行動とはまさに科学。
石田淳著『「やる気を出せ!」は言ってはいけない 行動科学で見えてくるリーダーの新常識』(フォレスト出版)の読書感想です。
この本について
行動科学をビジネスに適応、リーダーが部下を動かすための心構えやノウハウが語られている本。
大切なのは行動するための仕組み。根性論ではなく、科学的な仕組みをもとに行動をコントロールしたい方におすすめの内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
やる気より大切なこと(P20)
部下を動かすために大切なのはやる気云々、根性論ではなく、具体的に何をどうやるか、詳細な手順。
こうやってこうする。それをきちんと説明し、楽しませる仕組みが必要。
ビジネス本は役に立つか(P26)
「読めば役に立ちそうだ」とビジネス書を読んでも、実践的な役には立たない。
「この問題を解決したい。そのための情報を見つけたい」という具合、読書が本当に役に立つのは、きちんとした目的意識を持っているとき。
こういう場合の読書は最高。
心理学について(P34)
部下のモチベーションを高めようと心理学を学び人は多いが、心理学を学んでも、具体的かつ、再現性が高いノウハウを身につけることはできない。
心理学はあくまで学問であり、効果があるなしの、明確な基準がない。だからビジネスでは話のネタにはなるが、役に立つかどうかは、非常に微妙。
動機付けの条件(P38)
人をやる気にさせるためには、
1・必要性
2・利点
この2つの条件が必要不可欠。
つまり、精神論で相手にやる気を出させるのは意味がない。相手がそれをやる必要性を感じており、かつ、それをやれば何らかのメリットがある。
この場合、適切な動機付けとなり、モチベーションを高めることができる。
成果主義がダメな理由(P52)
一時期、日本の社会では成果主義を導入する会社が増えたが、多くは失敗に終わり、会社にとってマイナスにしかならなかった。
その原因はシンプル。
成果主義とは目に見える結果を出している者だけが評価される偏ったシステムで、会社の仕事のなかには、目には見えないけれど、とても大切な役割の仕事がある。
そういったものをないがしろにされ、評価されなければ皆やる気がなくなり、会社の土台がダメになる。
そして何より、元から会社のなかで結果を出すのは2割の人間であり、8割の人間は、目に見える結果を出さない。
2割の人間のみを優遇していると、残りの8割がますますやる気をなくし、会社全体としてはダメになってしまう。
ビジネスの本質(P62)
ビジネス=行動の集積。今までしてきたことの積み重ねこそが、ビジネスの結果。
結果を出す方法(P93)
勉強でも仕事でも、目に見える結果を出したいならやるべきことはシンプル。結果につながることに的を絞って、それに特化する。
つまり、何をどうすれば結果になるのかを考え、それだけを集中的にやっていくこと。
感想など
「行動マネジメント」という文言に興味を惹かれ読んでみた本。
人の行動にはしかるべき動機付けの方法があって、曖昧な根性論、精神論では人は動かない、ということが分かりました。
大切なのは結果を出すために具体的に何をどうすればいいか。そのための仕組みが行動マネジメントであり。それを実践すれば再現性がある結果につながっていく。
そういう話で、物事をもっと合理的、効果的に考える発想が勉強になりました。