自信が持てない原因を心理学的に解釈。『なぜ自信が持てないのか』を読む

自分に自信があるかないかで人生はガラリと変わる!

根本橘夫著『なぜ自信が持てないのか 自己価値感の心理学』(PHP新書)の読書感想です。

この本について

自信を持つための本というよりは、なぜ自信が持てないのか、その原因を心理学的な視点から説明した本。

「自信が持てない人、人生を生きにくく感じてる人=根本的に自己無価値観を持つ人」で、本書を読むと、自己無価値観がもたらす影響について、分かりやすく理解することができます。

以下、気になった内容です。

頑張れる人、頑張れない人の違い(P1)

人生、良い時も悪い時も、常に最善を尽くして頑張れる人がいる一方、すぐに物事を諦めてしまう人がいる。この違いは、自己価値観の有無。

「自分には価値がある」という感覚が持てる人は、状況がどうであれ自分を信頼し尊重することができるので、感情的にダメにならず、頑張ることができる。だから、自分の人生を受け入れ、人生を楽しむことができる。

しかし、「自分には価値がない・・・」という自己価値観のない人は、自分のことを信じることができず、ちょっとしたことで自信を失くしてしまう。結果的に、物事が上手くいかず、ネガティブな人生を送りがち。

自己価値観について(P18)

自己価値観は、自分には価値があるという感覚のこと。「人と比べて劣っているところがあるとしても、自分は自分、他の誰でもないかけがえのない存在なのだ」と実感している感覚。

自己価値観が、自信や尊厳、自尊心、自己肯定感等の感覚につながっていく。

自己価値観の形成は幼児期から(P21)

基本的な自己価値観は、家庭環境によって育まれ、児童期には自己価値の感覚が形成されていく。

愛情豊かな家庭で適切に育てられた子どもは、「自分は大切な価値のある存在である」という自己価値観を形成する。自分を受け入れて信頼しているため、それが他者への肯定的な感覚につながり、ポジティブな人格につながっていく。

一方、、不適切な養育を受けた子どもは、自己価値観が形成されず、自分の存在に自信が持てない。自己価値観を形成できなかった子どもは、劣等感や自己不信を抱え、それが人格形成にネガティブな影響を及ぼす。

他者、外界に対して不信感があるため、引っ込み思案になったり、過度な警戒心で人との関係が上手くいかないなど、日常生活や人間関係で苦労してしまう。

競争的な人の心の弱さ(P26)

常に競争心をむき出しにする人、やたらと人と競争したがる人、物事に順位をつけたがる人間は、劣等感の塊。自分に対して無価値観を持っているため、人と競い、目に見える形で順位を決めることで、自分の価値を見出そうとしている。

例)

・「年収○○万稼ぐ自分はすごい」と威張る人。

・「○○大(有名大)を卒業して△△会社(一流会社)に勤めている」と学歴や所属を過剰にPRする人。

→劣等感や屈折した自己無価値観が根本にある。やたらと自慢する人、「オレはスゴイ」系の人は自信がない人。

自己価値観を持つ人は感覚を大切にされてきた人(P31)

自己価値観を持つ人は、自分への無条件の信頼がある。自分の感覚や感情、要求や意志、存在そのものを肯定されて育ったため、自分に価値があることを、無条件で信じることができる。

そのため、必要以上に自分をよく見せようとする虚栄心や、過剰な競争意識を持つことがないため、自然に物事を味わい、経験することができる。

しかし、自己価値観のない人は、自分への信頼感がないため、力や学歴、お金、他者からの賞賛などを追い求めることにより、代償的に自分の価値を見出そうとする

傷つきやすい人(P35)

自分に信頼のない無自己価値観を持つ人は、自分に自信がないがゆえ、他人の言動によって、簡単に精神を傷つけられてしまう。揺るぎない自己がないため、他人の言葉によって、感情を動かされ、心の平和を脅かされてしまう。

傷つきやすいということは、幼少期からの自己無価値観が原因で、感情が混乱してしまうのは、幼少期のトラウマが根本にある。

自己価値観が育たない人は決して満たされることがない(P42)

自分の無価値観をベースに偉大な業績を残す人がいる。しかし、彼らはいくら偉大な業績を残そうとも、決して満足することはできない。

どれほど成功しても、その成功に確信が持てず、「自分の人生は間違いではないか、失敗したのではないか?」という疑念がつきまとう。彼らは典型的な「成功して不幸になる」人々。

自己価値観のない人の行動傾向(P46)

自己価値観のない人は、自分のなかに確固たる自信がない。そのため、物事を判断する基準が、社会や他者の目になりがち。そのため、不自然な行動を取ってしまうことが少なくない。

自己価値観のない人は、次のようなタイプに化けて、自己を隠蔽しようとする。

・過剰に気を遣い、周囲に適合しようとする。常に相手の言動を予測し、あれこれと気を遣う。ハタから見れば「いい人」だが、どこか不自然で、本人も自分の本心を隠しているため、ストレスがたまっている。

・攻撃的になり、喧嘩っ早く、暴力的な言動で他者を威圧する。人からの批判には反撃、周りの人間を敵か味方に分け、自分の派閥を作る。

・人と関わることを放棄、無関心になる。職場での雑談や飲み会をスルー、人と距離を「置き過ぎる」タイプ。周囲からすればどう関わっていいのか分からないため、放置プレイされてしまう。

自己価値観を持てるかどうかは親しだい?(P64)

子どもの能力や達成水準は関係なく、子どもがどう育つかは、親の子どもに対する接し方がすべて。親に愛情があれば、育て方に間違いがあっても、子どもは自己価値観を持つことができる。

親の愛情に歪みがあれば(親が愛情と思っていることがそうではないことが多々ある)、その歪みは子どもに伝わり、子どもは自己価値観を育てることができない。

乳幼児期は特に重要(P83)

子どもの養育において、乳幼児期の頃にきちんと子どもと向き合い、子どもの変化に気づいてあげることが大切。それが子どもの自己価値観の肯定につながる。

子どもにいたずらに不安を与えないこと(P85)

子どもを突き放すような言動は、子どもの心に不安を与え、自己価値観の形成に悪影響を及ぼす。子どもには、適切な養育と、安心できる環境を用意してあげることが大切。

親の不安が子に伝わる(P91)

親が世界を見る目が子どもに伝わる。親が子どもに世間の大変さをグチグチ言っていると、子どもは「世界=怖くて大変なところだ」と認識し、世界に対して不安を抱くようになってしまう。

過保護・過干渉は子どもの自己価値観を奪う行為(P108)

過保護や過干渉は、子どもの生きる力を奪うこと。何でもしてあげるということは、自分では何もできない子どもに育てること。真の愛情は、子どもの力を伸ばし、自ら生きる力を育ててあげること。

遺伝の影響について(P117)

不安になりやすい基質など、遺伝においてはネガティブになりやすい遺伝子がある。子どもの基質やメンタリティは遺伝的な要素もある。

今の世の中は生き抜くい社会(P169)

現代社会は勝者と敗者が生み出される競争社会。

誰もが勝ち残るため、日々競争を繰り広げている。そのような環境が多くの人にストレスを与え、競争に負けた人は、敗北感と無力感を与えている。

悪いことに、競争はさらに過熱し、勝ち組より負け組が多い社会へ。希望より絶望が溢れる時代になりつつある。

独裁者が台頭する環境(P197)

一般人に自己無価値観を抱えた人が多いほど、独裁者が台頭する。

自己価値観のない人は、他人の言動に影響され、すんなりと心をコントロールされてしまう。だから、自己価値観のない人が増えれば増えるほど、独裁が台頭していく

自己無価値観から脱却するために(P202)

「自分に自信が持てない、価値がない」という人のための脱却プロセス。

・第一段階

→「自分は価値がない、自分はダメだ」と感じている自分に気がつく。人の言動で傷つくこと、生きづらさを感じている自分に気がつくこと。

・第二段階

→自分の生き方を疑ってみる。「人の言動に振り回される自分、生き抜くさ、それは自分の生き方が間違っているからではないか」と疑う。

・第三段階

→イキイキとしている人を観察し、よくなると思える方法を試してみる。

・第四段階

→自分の深層心理を内省する。自分の心の奥底に救う無価値観と向き合う。

・第五段階

→人間の価値とは何なのか、本当に大切なことは何なのかを考察をし、行動を修正。自分が信じる正しさを追求していく。

感想など

自信のなさ、自分への信頼のなさが人生にどのような影響を与えるのか、読んでいると怖くなる本でした。

個人的に印象に残ったのは、自己価値観のない人が成功しても満足できず不安で仕方なくなるという話。

自己価値観がなければ、社会的に成功しても、大金を稼いでも、異性にモテまくっても満足できない。人の賞賛や社会の評価は自信を与えてくれるものの、他人や社会の目を価値評価基準にすると、いつも不安で不満足。

『パイレーツ・オブ・カビリアン』に出てくる呪われた船長一味を思い出しましたが、自分の感覚を信じられないというのは、想像もできないほど大きな悲劇なのかもしれません。

「みんなが評価することを頑張った。そこで結果を出した。人からちやほやされた。でも、心のどこかで寂しい気持ちがする・・・。みんなはもっと期待するし、頑張らなくちゃいけない。失敗してはいけない・・・。」

想像するととても恐ろしいことです。

自己価値観の有無は私達の人生に影響を与える大きな要素であり、自分をおろそかにしたネガティブなマインドは、無意識のうちに自分の人生をスポイルする危険なものなのかもしれません。

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