歴史を動かすのは人の自己愛?『自己愛型社会―ナルシスの時代の終焉』の読書感想

自己愛型社会―ナルシスの時代の終焉 (平凡社新書)

岡田尊司著『自己愛型社会―ナルシスの時代の終焉』(平凡社新書)の読書感想です。

最初は心理学の本かと思ったのですが、本書では、ローマ帝国から近世のオランダ社会、そして現在アメリカ社会をもとに、自己愛型社会の正体と、自己愛型社会になっていく日本について分析しているのが特徴。

日本社会の行く末を、歴史と自己愛という視点で分析していて、個人の自己愛が、社会を動かしていく過程が分かりやすく理解できました。読み応えたっぷりの本でした。

個人の自己愛が世の中を動かす

本書によると、自己愛型社会とは「欲望と快楽が唯一最大のモチベーションであり、自分が常に輝いていることを求める社会」のこと。誰もが、自分が輝くこと、スポットライトが当たることを求める社会。

誰もが自己愛を追求し、それが最高潮に達したとき、文明は崩壊する・・・。それは、ローマ帝国の崩壊過程を見ると、あながち間違いではないかもしれません。

「ローマ社会は周辺諸国からのかっぱらいによって繁栄し、周辺国の街の破壊によって金品や芸術品、奴隷がもたらされた。」

「奴隷による安価な労働力によって、暇を持つ市民が出てくる。大量消費社会になる。」

「政府が市民のために娯楽を提供、運動競技や闘技など、過激なショーが催されるようになる。」

「市民が台頭することで、家父長権が崩壊。倫理や権威が崩壊し、享楽的な社会になっていく。その結果、政治的な混乱が起こり、人々は自分の利益や得を追い求め、共同意識が失われていく。」

本書では、ローマ帝国が崩壊していく過程がこのように分析されていますが、まさしく、今の日本社会ともオーバーラップするものがあります。

今の日本も、誰もが「自分らしさ」や「輝く自分」を追求する自己愛型社会。この本を読むと、日本がこれから、どのような社会に向かおうとしているのか、アレコレ想像をめぐらしてしまいます。

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