『幼児教育の経済学』の読書感想 – 「生まれ」という致命的な格差

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

幼児教育の経済学

生まれたときから、運命は決まる。

ジェームズ・J・ヘックマン著『幼児教育の経済学』(東洋経済新報社)の読書感想です。

この本について

なぜ幼児期の子どもの教育が大切なのか、ノーベル賞学者が40年にわたって調査した結果をまとめている本。

結論から言うと、今のアメリカの不平等の原因は家庭環境の格差で、どんな環境で生まれるかが、子どもも未来を決めてしまうという恐ろしい話が書かれています。

アメリカでは専門技術を持つ人とそうでない人が二分化されていて、その違いは何かというと、結局のところ幼児期の環境の差

恵まれた環境で育った子どもは、将来専門的な技術を身につけ、高収入を稼ぎ、そして子どもを作っても、その子どもも同じように専門技術を身につけ、稼げるようになる。

ところが、恵まれない環境で育った子どもは、生涯賃金が低く、病気、犯罪、10代での妊娠など、様々な問題に直面して苦労していく。そして彼らの子どももまた同じような運命をたどる。

アメリカではこの両極端な二分化が進行しているという話で、この格差を是正するために、公的な支援をしていこうというのが本書の内容になっています。

感想など

「格差の本質は家庭格差」であることが分かる本。

これはアメリカの話なので、必ずしも日本で当てはまるかどうかは分かりませんが、「三つ子の魂百まで」、育った環境って、すごい影響力があるのは確かだと思います。

まぁそこに科学的根拠がなくても、少し頭を働かせれば家庭環境の重要さは理解できます。

例えば、母親が子どもをほったらかして男と遊んで育児を放棄している家庭で育った子どもや、父親がDV野郎で子どもや妻に暴力をふるっている家庭で育った子ども。

親が愛情深くて子どもにいろんな体験をさせ、小さいときから手をかけて育てられた子ども。彼らが将来どうなるか、科学的な根拠などなくても、その姿は多少なりとも想像がつきます。

そうなると、どんな家庭で育ったのかはそれこそ人生を左右する大きな運命で、運が悪い子どもは、生まれたときから不運を背負って生まれてくる。

「そういう子どもがいるのは国の損失なので、国が何らかの援助をして恵まれない家庭に生まれた彼らを支援していきましょう=公平なチャンスを与えましょう」

というのが著者の主張なのですが、では具体的にどうするのか、税金はどうするのか、いろいろ問題もありそう。

本書では著者の主張のほか、様々な関係者(?)の著者への反論が書かれていましたが、それも一理あるな、と。

「生まれたときから差がある」という世の中の現実を否定していても何も始まりませんが、日本がアメリカのような格差の大きすぎる社会にはなってほしくないなと思います。

でも自分の子どもができたとしたら、親としてやるべきことをやりたいなぁ。そう考えると、家族を持って子どもを作るというのは、本当に責任重大なのかもしれません。

読後はそんなことを考えてしまいましたが、いろいろ複雑な気持ちになった本でした。

本はこちら

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする