人にはそれぞれ、いろんな悩みがあるけれど。
浅田次郎著『世の中それほど不公平じゃない 浅田次郎 最初で最後の人生相談』(集英社)の読書感想です。
この本について
週刊プレイボーイに掲載された作家の浅田次郎さんの人生相談集。
笑いあり涙あり、人生の様々な悩み相談と回答が楽しめる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
男女関係(P22)
恋愛は人為的な行為で結婚は運命的。「この人と結婚すべき?」と悩む相手は、結婚相手ではない。
友人関係(P62)
友人関係は利害関係がない、信頼を基本とした関係。
「信」を基本に付き合える、そういう関係こそが本当の友人関係で、おべんちゃらを言ったり、必要以上に気を使ったり、そんな必要はない。
男の浮気と女の浮気(P86)
男の浮気は一過性。
一時期浮かれてそれで終わり。致命的にはならないが、女の浮気は本気になりやすい。女の浮気は離婚へ発展しやすい。
人を知る(P106)
人の悩みを聞くこと=「世の中にはこんな人がいる、こんな考え方がある」と気がつくチャンス。誰かが悩んでいたら、それを聞いて、いっしょに悩む。
運が悪いとき(P108)
運は感染する。運が悪いときは、調子のいい人、勢いのある人の側へよって、運を回復する。
良い人生を歩む鉄則(P110)
良い人生を歩みたいと思っていたら、自分に近い人を大切にすること。身近にいる人、普段関わっている人を大切にして、良い関係を築くこと。
人生は好き嫌いで決める(P124)
どんな道へ進むのか、それを決めるのが好きか嫌いか。
人と比べてどうだとか、相対的な評価は必要ない。自分が好きか嫌いか。人生の道はそれで決めるのが一番。
道楽を持つ(P160)
良い道楽は人生を豊かにする。楽しいこと、したいことはどんどんやる。
感想など
「彼女に結婚を迫られています」(P19)
「妻が浮気しています」(P84)
「好きで始めた仕事が辛いです」(P118)
「日々を無気力に過ごしています」(P234)
という具合、男女、仕事、人生、様々なテーマの悩みを浅田次郎さんとそのアシスタント(?)が回答。その掛け合いが面白く、ためになります。
相談内容も軽いものから笑えるもの、ヘビーなものまでバラエティに富んでいるので読んでいて飽きません。サクサク読めて、笑いあり沈黙あり、夢中で読み終えてしまいました。
ところで、たくさんの小説を発表している浅田次郎さんは、結構デビューが遅かったんですね。
僕は物心ついたころからずっと小説家になりたかった。くる日もくる日もボツ原稿を書き続けて、ようやくデビューできたのは40の声も聞こえるかという時期だった。
当然それまでは、生きるためにいろいろ仕事をした。自衛隊にいたこともあったし、それこそミュージシャンをしていたこともあった。結婚して家族の人生を背負うことになってからは、考え直してアパレルの業界に就職した。
~略~
僕の頭にあったのは、いつも小説のことばかりだ。・・・しかし、食うためには職を求めねばならない。それは仕方ない。そのときに、志を忘れていないかどうかだよ。それさえ忘れなければ、それは退路を断っているということだから。
(P255)
小説が好きで、それで食っていきたい。
でもなかなかデビューできず、いろんな仕事を経験、40前でデビュー、小説家の道へ進んだということですが、意志あるところに道があり、したいこと、実現したいことは、ずっとその気持ちを忘れない。
そうすることで、いつかどこかのタイミングで、実現できるチャンスがやってくるのかもしれませんね。