女はことばで満たされて、男は思いで満たされる。
黒川伊保子著『感じることば』(河出文庫)の読書感想です。
この本について
『英雄の書』『夫婦脳』など、脳関係の著作で知られる黒川伊保子さんのエッセイ集。
この本では、家族や恋愛など、身近な話題を題材に「ことば」がもたらすものを考察。音と人の脳にどんな関係があるのか、独特な視点のエッセイを楽しむことができます。
以下、本書の読書メモです。
男がこんな女に弱い(P23)
男は「娘」と「母」に弱い。
父親を頼って甘える娘、ミスをしてもかばってなぐさめてくれる「母」、男は「娘」と「母」を演じられる女を前にすると、手のひらで転がされてしまう。
夫婦関係の影響力(P32)
父親が母親をどう扱っていたか、母親が父親がどう扱っていたか、両親の関係が子どもの男女像に影響する。
男をバカにする母親を持った娘は男を軽んじるさげまんになり、母親をバカにする父親を持った息子は、DV男予備軍になる。
表情が場の空気を作る(P46)
人の表情には周りの雰囲気を変える力がある。
ニコニコ、何となくいい感じがする人々にはそれなりの理由があって、非言語の感性的なコミュニケーションが、人にとって居心地の良い場所を作る。
若者への教え(P54)
若いうちにできる価値があること、それがたくさんの失敗を経験すること。
若いうちの失敗は、その全てが貴重な学びになる。失敗を経験し、乗り越え、成長していくこと。それは若いうちにできる特権。
若いうちはいろんなことに挑戦し、失敗の苦しみを経験し、そこからカムバックする経験をする。それによって、魅力的な大人になることができる。
子どもはほめて育てない?(P69)
子どもをほめて育てる教育が流行しているが、それを鵜呑みにするのはよくない。
子どもをほめることは、子どもの自己肯定感を育てる上で大切なことだが、ことさらほめることばかりしていると、逆効果になる。
本当の自己肯定感は、人から頼りにされることで芽生える。人から頼りにされ、感謝される。そういう経験が、本物の自己肯定感を育む。
子どもに自己肯定感を身につけさせたければ、無意味にほめるのではなく、「あなたは私にとってとても大切な存在だ、頼りにしている」という姿勢で、子どもに接すること。
成長にとって大切なこと(P88)
成長に大切なのは結果ではなくプロセス。
なぜその結果になったのか、結果に至るまでどんなプロセスをたどったのか、そこ。プロセスにこそ、たくさんの学びがある。
感想など
「女性視点で物事を考えるとこんな感じなのか」という、女性的な感覚・感覚が楽しめるエッセイ集。
恋愛や家族など、身近な題材をもとに、女性の感覚はこう、脳はこう、言葉どうなど、男性にはない視点のエッセイが満載。
この本を読むと、確かに男と女は脳の作り自体が違うことが実感できるかも。新鮮な感覚で読めたエッセイでした。