続・青年のその後。
岸見一郎、古賀史健著『幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えII』の読書感想です。
この本について
ベストセラーとなった『嫌われる勇気』の続編。
こちらの本では愛と自立をテーマに、どうすれば人は幸せになれるのか、アドラー心理学をもとにした幸福論をじっくり味わえる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
はじめに(P10)
人は今この瞬間から幸せになることができる。気持ちさえ決めれば、幸福へと足を向けることができる。
ただしそのためには、幸せになろうと踏み出した道を、自分の意志で歩み続ける必要がある。
人間関係の大原則(P33)
人は誰かの期待を満たすために生きているわけではない。人もまた、自分の期待を満たすために生きているわけではない。
共感とは技術である(P55)
人間関係で大切なのは共感。
その人が何を感じているか、察しようとする能力であり技術。それは技術であるがゆえ、努力で身につけることができる。
過去は変えられる(P61)
人は過去の出来事によってすべてを決められる存在ではない。過去の出来事をどう解釈するか、それによって、自らの存在意義を決めることができる。
大切なのは目的(P67)
人は誰でも自分の人生を作り上げているストーリーテラー。「こう生きたい!」という目的に沿って、自由に物語を紡いでいくことができる。
そのためには、目的に反する過去は自由自在に消し去ることができる。
「悪い子」が人に迷惑をかける本当の理由(P94)
学校で授業を邪魔する子ども。誰かを傷つける子ども。
彼らの目的とは「ダメな子」「悪い子」として振る舞うことによって、誰かの注目を集めること。
行動には必ず目的がある。存在を無視されず、人から注目を集めたいがゆえ、悪いことをしてしまう。
仕事で最も大切なもの(P193)
最大限の誠実さを持って仕事に取り組む。これこそが仕事で最も重要なもの。
誠意と熱意を持って仕事をしていれば、誰かと一緒に助けられることも多いし、人々の支持を得ることができる。だから仕事もうまくいく。
自立とは(P250)
自立とは人生の態度であり、ライフスタイルの問題。自らの意思で決意し、行動し、生きていく。これこそが本当の自立。
愛について(P257)
人は無意識のうち、誰か愛されることを恐れている。
愛とは何の保証もない行為で、こちらが愛せば向こうからも愛されるとは限らない。愛とは、相手の態度がどうであれ、反応がどうであれ、自分が愛すると決めること。
つまり、愛とは覚悟であり、決意。
「出会いがない」本当の理由(P264)
出会いがない人=人との関わりを避けている人。
出会いは向こうからやってくるものだと錯覚しており、誰かと出会うことで人生が変わると盲信している人。
指をくわえて出会いを待っているだけでは、運命の人など一生やって来ない。
感想など
『嫌われる勇気』がおもしろかったので、続編の本書に挑戦。
感想としては、理解できないところ、納得できないところが多かったな、という印象。
アドラーの考え方は、個人の生き方に限定してみると参考にしてみたい考え方ではあります。
でも、本書においては、青年の反応は極めてまともで、哲人の方が現実的でない理想主義者的な印象が拭い去れませんでした。
そりゃ、理想は哲人が言う通りになれば素晴らしいかもしれません。しかし現実はそう上手くいかないでしょ、という話が多かった印象。
特に、現実の教育現場でアドラー云々を言うのは無理があるだろう、という感じ。
叱ること、ほめることについての話は、個人的には正直なところ、青年と同じく、賛同しかねる話が多いように感じています。
ということで、本書は「幸せになる」という話より、むしろ自分の考え方を確認する上で良い本だと思います。
つまり、自分が青年となって哲人に対して反論する。そういう本だと思います。
理想は大切だけど、現実から目を背けないようにしたい。個人的には、そのことが印象に残っています。