これがホワイト企業の作り方。『町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由』を読む

町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由

大切なのは前例にとらわれない現実的かつ合理的な判断。

吉原博著『町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由』(ポプラ社)の読書感想です。

この本について

町工場を経営し、従業員に業界でもトップクラスの給料を払っているにも関わらず残業なし。

ワーク・ライフ・バランスを大切にする経営者の経営哲学を公開、働き方改革のヒントが満載の本。

世の中で働く上で最高なのは、低時間労働+高収入。しかし避けたいのは長時間労働+低収入のコンボ。

そして実際、そのような仕組みになっている会社も少なくないのが現状。

しかし、この本を読めば、短い労働時間でも、きちんと仕組みを作ることによって、社員を長時間労働させない。かつ、適切に利益を分配できる。

そんな会社ができることが分かります。

以下、本書の読書メモです。

経営者として目指す方向(P7)

リスクを背負い、設備投資をして仕事をする場所を作り、そこで社員に働いてもらう。そして、得た利益を適切に配分しつつ、会社の利益を積み上げていく。

これこそが経営者の仕事。

そこで大切なのは、ただ社員に優しい会社を作るだけではだめ。大切なのは社員が納得して働くことができ、労働と報酬に満足できること。

会社と社員は互いにギブ・アンド・テイクの関係が大切で、そのための仕組そのものを考えていく必要がある。

人が集まる会社を作る(P28)

労働者そのものの数が減っていくこれからの時代、もはや3Kの求人で人を集めるのは難しいし、それは考え方からして間違っている。

経営者として大切なのは、求人者から自然に「この会社に雇われたい」と思われる会社にすることがそもそもの筋。

低賃金長時間労働で働きたい人などいない。

良い人材を求めるなら、会社そのものをしかるべき仕組みにしていくことが、本質的な改革であり、今後生き残っていく会社になる。

社員をムダに拘束しない(P48)

仕事は仕事、プライベートはプライベート。

業務が終わったら、不要に社員を人間関係で拘束せず自由にさせ、個人がしたいことを自由にさせる。

会社が社員のプライベートに介入するのはナンセンスであり、そんなことをしていても、社員は仕事で頑張ってくれない。

それより、社員のプライベートの時間を増やし、人生を愉しむ時間を十分に与える。それが仕事にも良い影響を与える。

この意味で、職場懇親と称してムダな飲み会や懇親会を増やすのはまさにムダ。社員の仕事が終わればさっさと帰らせて、自由にさせてあげるのが良い。

成果アップのポイント(P70)

社員のやる気を増やすために大切なのがボーナスの使い方。

社員にボーナスを与える場合、誰か特定の人を報奨するために与えるのではなく、社員全体の共同報酬にする。

つまり、会社の売上が伸びたら、ボーナスを出す。それは若手だろうと、ベテランだろうと関係ない。

大切なのは、自分が頑張って仕事をして会社が儲かれば、それが自分の得にもなるということを、社員に認識させること。

特定の個人だけボーナスアップとかはNG。それより、みんなが会社のために頑張ってくれる仕組みにするほうが良い。

問題を把握する(P83)

会社がうまくいっていない。それには必ず原因がある。社長自ら現場を把握し、何が問題なのかを、正確に把握し、それを変えていくための手を打つ必要がある。

会社がダメな傾向としては、

・変化を嫌う社員がいる。とくに、仕事ができずプライドだけは高い社員がのさばっていること。

・ベテランが勤続年数を鼻にかけて威張って、協調性がない。

・ベテランは自ら仕事をせずに若い人材にやらせ、さぼっている。

・現場が実力主義ではない。

・若手が社長よりも現場のベテランの顔をうかがって仕事をしている。

などの傾向がある。

これらの傾向がある場合は、早急に間違いを正さなければいけない。

とくに、現場のベテランが社長をなめているようではダメ。誰が一番責任者なのか、その認識を社員に徹底させる必要がある。

リストラを覚悟する(P90)

ダメな社員は何があろうとクビにしたほうが良い。「腐ったみかん」で、放置していればどんどん会社がダメになる。

リストラ対象者を見分けるポイントとしては、自分から進んで仕事をするかどうか。

技術力だとか、年齢とか、独身とか、どういうことは気にしなくてもいい。大切なのは仕事への取り組み方。

言われたことしかしない。自分から仕事をしようとしない。こういう人は雇っていてもお金のムダになるだけでなく、周囲に悪影響を及ぼす。

心を鬼にして、クビにするのが良い。

社員がやる気になる仕組みを作る(P94)

会社が伸びていこうとするときに絶対に必要なのが社員の力。

そして、社員の力を引き出すためには、精神論や根性論で社員をやる気にさせるのではなく、社員が自然にやる気になる仕組を作ることが大切。

そのためには、社員が頑張り自らの能力を高めることが直接、会社の利益につながり、その結果社員自身に利益が還元される仕組みになっていることが大切。

自分が頑張れば頑張るほど、結果的に自分にそのメリットがある。それが分かれば社員は、自然とやる気になるし、頑張ってくれる。

頑張っても報われない努力をしたい人はいない。そこは綺麗事なしに、社員も努力の意味が実感できる仕組みにすること。

給料の考え方(P127)

給料とは、仕事を頑張ってくれた人に支払うもの。仕事をテキトーにする人や、頑張らない人。サボる人に払うものではない。

待遇についても同様。一生懸命頑張ってくれれば給与、待遇をアップさせる。これが社員との約束であり、経営の原則。

感想など

ともかく吉原社長の考え方の合理性が印象に残る本。

もともともはブラック企業だったのが、社員の反乱や部下の裏切りなど様々な契機をきっかけに会社を改善。

その結果、年末年始はもちろんのこと、GW、盆、主要な休みは完全に休める。おまけに、完全週休2日に対応するホワイト企業に生まれ変わり。

にも関わらず給与は業界標準よりもずっと良い年収600万。

本書を読むと、あの伝説の未来工業を思い浮かべましたが、結局大切なのは経営者の考え方。

根性論で社員を叱咤激励して働かせるのではなく、理想の働き方を現実にするにはどうすればいいのか。

その現実的な仕組みづくりをすることの大切が伝わってくる本で、そのために必要なのは合理性。何が効果があって何がムダでカットすべきなのか。

人に働いてもらうにも、何が人をやる気にさせて、何が人をダメにするのか。組織を腐らせてしまうのか。

その現実的な考え方が、とにかく印象的でした。

つまりは結局は仕組みであり環境。利益を出すにも社員に利益を還元するにも。現実的に考え、その上で最も効果が出る仕組みになっている。

それが結局は会社にも、そこで働く社員にも、最も幸せな環境なのかもしれません。

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