好き嫌い、そのシンプルな感情が人間関係を作っていく。
和田秀樹著『人間関係は「感情」で動く』(新講社、ワイド新書)の読書感想です。
この本について
感情がいかに人間関係、仕事、人生、いろんなところに影響力を与えているのかを説明している本。
この本を読むことで、感情が思考、行動、人間関係に与える大きさの影響力の大きさを実感することができ、感情に振り回されないためのヒントを見つけることができます。
以下、本書の読書メモです。
感情の振れ幅をコントロールする(P18)
私たちの思考は、思った以上にその時々の感情の影響を受けている。
気持ちがグラグラしているときは、普段考えもしないような弱気な考えをしてしまうし、気持ちが昂ぶり過ぎているときは、考えも大きくなり、後で後悔してしまうような間違いを犯してしまうこともある。
感情の起伏はあっても良いし、感情の振れ幅があってもいい。ただし、一時の感情に振り回され、間違った行動だけはしないよう、注意したい。
嫌われたら何を言ってもダメ(P30)
人は嫌いな奴の話は聞かない。どんなに正しいことを言っても、「この野郎は気に入らない」という人の話は拒絶する。
安易に人から嫌われることは、人間関係で自分の影響力を発揮する上で、大きなマイナスとなる。
なので、人間関係においては、いかに周囲の好感を得るか、そこも気を遣った方がいい。自分の言動、振る舞いが人にどんなふうに捉えられているのかを認識し、改善していく。
意思あるところに道がある(P67)
結局人は、「こうなりたい」という方向へ導かれ、進んでいく。したい、やりたい、なりたい。こういう気持ちを失わない限り、いつか答えが出てくる。
人生で迷った時はいつも、自分がどうなりたいか、どう在りたいかを思い出す。想像がつかない道筋を進むかもしれないが、最後は、自分の思いから大きく外れた人生を歩むことはない。
「好き」で選べば後悔は少ない(P106)
人生で後悔しない秘訣は、「好き」という気持ちを尊重して生きること。
自分で選んだものがハズレでも、好きで選べば後悔はしない。自分がしてみたかった、好きでやった。そういうことは、気持ち的に引きずらない。
結果がどうであれ、納得できる。
目指すは感情でつながる人間関係(P133)
主義主張や仕事、利害でつながっている人間関係はもろくて浅い。
本当に意味あるつながりがもてるのは、感情的なつながりがある人間関係。感情的に分かり合える、共感できる。そういった人間関係が、人生を豊かにしてくれる。
感想など
「感情って考えれば面白いな」と思った本。
この本に書かれている通り、確かに普段の自分の思考をモニターすると、確かに感情の影響というか、その時の気分によって、思考の大きさ小ささが変わってくるのは実感しているところ。
疲れていたり気分がグラグラしていると考えることも弱気になるし、いいことがあってテンションが上がっているときは「何でもできる!」という気持ちになります。
でも、考えれば感情って不思議ですね。
感情を単純化すると、その究極にシンプルな形は好き嫌いになると思うのですが、好き嫌いという感情的要素が、仕事、人間関係、いろんなところに顔を出してきます。
ある人は自然と好感を持てるのに、しかしある人は肌が合わずに距離を置きたくなる。なぜある人に好感を持ってある人には好感を持てないのか。
ある仕事はやっていて楽しくて仕方ない。でも、ある仕事はやるだけで疲れてしまい、イヤな気持ちになってしまう。
好き嫌いが原因シンプルな話ですが、でもそのシンプルなことによって、仕事や人間関係、いろんなことが決まっていくような気がします。
人は思ったよりも理性では動いていなくて、実のところ、案外好き嫌い、シンプルな感情で物事を判断しているのかもしれませんね。