『意欲格差』の読書感想 – 教育格差の本質的な問題とは

意欲格差

やる気の違いが格差の本質。

和田秀樹著『意欲格差』(中経出版)の読書感想です。

この本について

格差社会を「学力や意欲の差」という視点で考察する本。

社会的に豊かでない層が自分の人生をあきらめ、子どもの教育に無関心に。一方、社会的に上位の層は、子どもの教育に意欲を持ち、お金を使い学歴を手に入れさせる。

この結果、更に格差が広がっている日本の現状を指摘した内容になっています。

この本を読むと、親の経済力の差が子どもの意欲に影響、学力の差になっていることが分かります。

以下、本書の読書メモです。

はい上がる気力を失った人々(P2)

今の世の中は、意欲のある人間と意欲がない人間の差が広がっている社会。

下克上、上昇志向の強いはずの貧しい層が、上を目指す意欲を持たず、強いあきらめを抱いている。結果、彼らはますます下層に固定されていく。

学歴社会が日本の高度経済成長を支えた(P20)

「良い大学に入って、良い会社に入ろう!」という人々の上昇志向が、日本の経済発展、高度経済成長の原動力となった。

上昇志向の強い国民が多ければ多いほど、国家は成長し、繁栄していく。

「はい上がれない」というあきらめ(P61)

日本では貧しい層は貧しいまま、豊かな層は豊かになる階層の固定化が進んでいる。

金持ちの子どもは教育環境に恵まれ、東大など高学歴を手に入れやすい。結果的に、高収入の職を手に入れやすい。

しかし、貧しい層の子どもが、難関大学に合格したり、大学でダブルスクールをしながら難関資格取得を目指すのは、現実的にかなり厳しい現状がある。

結果、彼らは「頑張ってもどうにもならない」と現実をあきらめ、上昇志向を捨ててしまう。

学力の二極分化(P70)

日本では子どもの学力が下がったと言われるが、成績上位の子どもはしっかり勉強している。

しかし、成績下位の子どもは、ほとんどもしくはまったく勉強せず、上位の子どもと下位の子ども、学力格差が広がっている。

管理人註

現在、公教育では、中学1年レベルで英検3級に受かるような子どもがいる一方、漢字が読めず簡単な計算すらできない子どもが同じ教室に所属している状況。

勉強のできない子ども、学ぶ意志がない子どもは暴れて授業妨害。校内をバイクで爆走したり、そんな現実を目の当たりにしました。格差の問題は深刻です。

親の学歴は関係あるか?(P74)

学力上位の子どもの保護者は、高収入・高学歴の傾向がある。特に、母親の学歴が高いほど子どもも学力が高くなる傾向にある

高学歴の親が、子どもに期待をかけ、子どもも頑張る。結果的に、成績も伸びる。

学力格差の本質(P79)

親の社会階層が上位で、金持ちで高学歴であれば、子どもは意欲を持って勉強し、高学歴を手に入れやすい。

しかし、親が貧しく貧乏で学歴が低い場合、子どもは勉強せず、学歴を手に入れようとする意欲も低い。

結局は、子どもを取り巻く環境の差、意欲の差が、学力格差の根本にある。

格差の固定化(P131)

上位層の保護者は、日本の教育について危機感を感じ、子どもに本を読ませたり、勉強をさせる。

しかし、社会的に下位にいる保護者は、子どもの教育に関心を持たないので、子どもは勉強しない。結果的に、子どもも下位層になる。

意欲のない人間は生きていけない(P156)

現在、非正規労働者が増え、正社員になれない人が増えている。

企業は人件費削減のため、これからは、ロボットができる仕事は、人に変わって、ロボットが仕事をするようになる。

将来を考えると、仕事への意欲がない人、工夫がない人、何も特殊なスキルがない人は、低賃金で買い叩かれるか、仕事を奪われてしまう。

感想など

格差の本質は親の意欲の差、「書きにくいことをストレートに書いてあるな」という印象の本。

子どもの格差は広がる背景には親の格差があって、結局は、親の格差が子どもの格差になっている。親のあきらめの気持ちが子どもに伝わり、子どもも人生をあきらめてしまう。

学歴という問題を置いておいても、やる気や意欲があるかないか、周りに上昇志向を刺激してくれる存在がいるかいないかは、人生に影響を与える大きなファクターです。

金持ち・高学歴=成功とは単純化するのはアレですが、現実社会を冷静に見ると、「意欲の差」が現実の差になっているのは確かだと思います。

貧すれば鈍する、お金の問題なしに、教育は語れないものなのかもしれません。

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