人が人たる所以。それは思考力であり、言葉力。
「人は自分が考えた通りの人になる」という有名な言葉があるように、いかに自分を考えるか。それこそがまさに、人生を考えるということ。
ではどうすれば深い思考を身につけ、自分の人生を適切な言葉で表現することができるのか?
己の言葉を深く研ぎ澄まし、自分の中に眠る最大限の可能性を引き出す方法を説いている本がこちら。
田坂広志著『深く考える力』(PHP新書)です。
『深く考える力』について
本書は38のエッセイを通じて、いかに思考を研ぎ澄まし、言葉によって表現んしていくことが人生力の差になるか。
論理的かつ明快に理解することができる魂の言葉が満ちている本です。
本書が説いているのは、自分のなかにいる「もう一人の自分」との深い対話。自分を見つめ、そして深いレベルで対話をする。
それによって、人生の新しい気づきを発見。可能性を引き出すことができる話が語られています。
語るべき言葉を語る
私たちは普段、何気ない瞬間、自分自身に言葉を発しています。
「疲れた」
「最悪」
「だるい」
もう一人に自分にこのような言葉を投げかけるのではなく、「静寂心」を身につけるべく、然るべき言葉を、自分自身に語れるようになること。
それがまさに、健全な自己対話の法になります。
思考を研ぎ澄ます
『深く考える力』ではそのために何を見つめ、己に問う必要があるのか?普段意識を集中させるべきものとスルーするもの。
思考と言葉に関する気づきを促される言葉をじっくり、味わうことができます。
特に個人的に好きな言葉はこちら。
「引き受け」
すべてを、自分自身の責任として、引き受けること。
それは決して容易なことではないが、その心の姿勢を大切に歩むならば、我々は、確実に、一人の職業人として、一人の人間として、成長できる。
P164
言葉の力は強大です。たった一つの言葉に出会うだけで。意識はビフォア&アフター。驚くくらい、変化します。
本書はまさに、気づきの宝庫です。
感想など
本にはじっくり味わいたいものと、サクッと必要な情報だけを読むタイプの本があります。
『深く考える力』は前者の代表。250ページほどの新書ですが、ページを読み進めていくたびに、「この言葉はどんな意味なのか?」と考えること多数。
読んではとまり、読んではとまって、じっくり時間をかけて読了。改めて、読書とは著者の対話であることを、強く実感した経験になりました。
結局分かったことはシンプルで、まだまだ自分は学ぶことがあるということ。「謙虚」という言葉を本当の意味で実感するには、まだまだ自分のケツが青いという話です。
ということで自分のペースで着実に前進。自分との対話を深めることによって、後悔のない道を歩みたいところです。